親が「銀行口座をたくさん残して死ぬ」のは“大迷惑”!?「戸籍謄本取って、印鑑証明書も準備して…」“本人以外の解約”にかかる手間とは? 使わない口座を早めに解約しておくべき理由
もし親が複数の口座を残したまま亡くなった場合、子どもにはどのような負担がかかるのでしょうか。本記事では、使わない銀行口座を早めに解約しておくべき理由を解説します。
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親が亡くなると銀行口座はどうなる?
親が亡くなった場合、銀行が名義人の死亡を知った時点で口座は凍結される仕組みです。凍結された口座では、預金の引き出しや振り込み、公共料金やクレジットカードの引き落としといった一切の取引ができなくなります。
口座の凍結を解除して預金を受け取るには、金融機関ごとに相続手続きが必要です。一般社団法人全国銀行協会によると、遺言書がなく遺産分割協議書もない場合、主に以下の書類が求められます。
・被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
これらの書類を準備したうえで、各金融機関の窓口に提出し、審査を経てようやく払い戻しを受けられます。書類提出後、金融機関での審査を経てからの払い戻しとなるため、すぐに預金を受け取れるわけではありません。
なお、葬儀費用などで急ぎの支払いが必要な場合は、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」を利用できることがあります。ただし、この制度で引き出せる金額には上限があり、全額を自由に使えるわけではありません。
口座が多いほど相続手続きの負担が増える
ここで注意したいのが、この相続手続きは口座がある金融機関ごとに行わなければならないという点です。仮に親が5つの銀行に口座を持っていた場合、5つの金融機関それぞれで手続きの申し出や書類の提出が必要になります。
また、口座が凍結されると、公共料金やクレジットカードの自動引き落としも止まるため、契約先への連絡や支払い方法の変更手続きも発生します。
金融機関によって必要書類の様式や手続きの流れが異なるため、一つひとつ確認しながら進めなければなりません。残高がわずかな口座であっても省略はできず、相続財産として手続きの対象です。
さらに、故人がどの金融機関に口座を持っていたか、相続人が把握していないケースもあります。通帳やキャッシュカードが見つからなければ、心当たりのある金融機関に1つずつ照会しなければなりません。
したがって、口座の数が多ければ多いほど、相続人にかかる時間的・精神的な負担が大きくなります。
使わない口座は「休眠預金」になるリスクも
口座を放置しておくと、相続手続きの問題だけでなく「休眠預金」になるリスクもあります。
休眠預金とは、10年以上入出金などの取引がない預金のことです。政府広報オンラインによれば、10年以上取引のない預金は過去の実績で毎年1200億円程度発生していました。2018年1月に施行された「休眠預金等活用法」により、こうした預金は預金保険機構に移管され、社会課題の解決に活用される仕組みになっています。
休眠預金になったあとも手続きをすれば引き出しは可能ですが、通常の預金と比べて手続きに時間がかかる場合があります。
なお、残高が1万円以上の口座については、休眠預金になる前に金融機関から通知が届きます。ただし、届け出の住所が古いままだと通知を受け取れず、知らないうちに休眠預金となってしまう可能性もあるため注意が必要です。
まとめ
親が使っていない銀行口座を複数残していると、亡くなった際に子どもの相続手続きの負担が増えてしまいます。金融機関ごとに窓口での手続きや書類の提出が必要となり、口座が多いほど手間と時間がかかります。
また、長期間使われていない口座は休眠預金となるリスクもあります。親が元気なうちに、不要な口座の整理・解約を進めておくことが、将来の負担を減らす有効な方法といえます。
出典
一般社団法人全国銀行協会 預金相続の手続に必要な書類
一般社団法人全国銀行協会 預金相続の手続の流れ
執筆者 : 金子賢司
CFP