4月から東京の大学に通う娘に仕送りをする予定です。物価高なので渡す金額が10万円を超えそうなのですが、贈与になりますか?
FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員
大手電機メーカーで人事労務の仕事に長く従事。社員のキャリアの節目やライフイベントに数多く立ち会うなかで、お金の問題に向き合わなくては解決につながらないと痛感。FP資格取得後はそれらの経験を仕事に活かすとともに、日本FP協会の無料相談室相談員、セミナー講師、執筆活動等を続けている。
子の生活のための贈与は非課税
親が子に金銭的な支援をするのは、日常的によくあることです。子が小さいときは、養育のため親が生活費や教育費を負担することに疑問を持ちませんが、成人後やその金額が大きいときには、「これって贈与税の対象では」と気になるかもしれません。
実は、子とその父母や祖父母など一定の親族間には、「扶養義務者」の関係があります。扶養義務者相互間において生活費や教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち、「社会通念上認められる範囲」で通常必要と認められるものは、贈与税の課税対象外となります(※)。
例えば、次のような観点から判断されると思われます。
・周辺で間取りや面積が同様な物件と家賃相場の比較
・ひとり暮らしでセキュリティー機能を考慮した物件であること
・通学への利便性からみた物件の立地
など
これらの観点から判断するので、一律に課税対象、あるいは10万円以上が感覚的に高額だから課税対象、といった思い込みは禁物です。「通常必要と認められる」範囲と水準であれば、非課税に該当するでしょう。
気をつけたい非課税の条件
では、非課税とならない場合とはどのような状況が考えられるでしょうか。
例えば、セキュリティー対応を考慮しても、周辺と比較し相当高額な家賃や、ひとり暮らしにふさわしくない広い間取りと家賃である場合などは、「通常必要と認められる」範囲から逸脱していると判断される可能性があります。
また、仮に娘さんが家賃にその一部を充当できる程度の十分な収入や資力を持っている場合、必要な家賃と娘さんが負担できる額との差額を超える支援額は贈与対象になる可能性があります。
今回のケースの場合、例えば都心でセキュリティーがしっかりし、交通や生活の利便性が高い物件を借りるのであれば、10万円以上の賃料はあまりにも高額とまで言い切れず、非課税となる可能性が高いでしょう。
同様な扶養義務者間での家賃支援であっても、相応の相場や事情に応じた金額かどうかという相対的な要素もあるため、一概に何万円以上が課税ラインといった考え方にはならないのです。あくまで個々のケースでの判断が必要です。
目的外の支出に使用すると
気をつけたいのは、家賃の支払い方法です。
毎月、家賃相当を娘の預貯金口座に送金する、あるいは親が直接家賃を賃貸人に振り込むのであれば、用途が特定できるため望ましい支払い方法といえます。半年、1年分をまとめて娘に振り込むなどの方法は、そのお金の用途が家賃以外に使われることもあり得るでしょう。
贈与を受けたお金が実態として預貯金となっていた、株式の購入費用に充てられた場合などのように、非課税贈与となる「生活費(家賃を含む)」に使われなかった部分については、贈与税の課税対象となるので注意が必要です。
授業料など、親の教育費負担も同様です。「その都度必要な額」を子に振り込む、あるいは親が直接支払うなど、非課税対象とすることを意識した支払い方法を心掛けましょう。
出典
(※)国税庁 「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」について(情報)
執筆者 : 伊藤秀雄
FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員