実家を“相続前に解体”したら「税金340万円」の支払いが! 後日「相続後なら税金タダだった」と聞きショック…注意が必要な「3000万円控除」を使えるタイミングとは? 賢い売却順序を解説

配信日: 2026.04.08
この記事は約 4 分で読めます。
実家を“相続前に解体”したら「税金340万円」の支払いが! 後日「相続後なら税金タダだった」と聞きショック…注意が必要な「3000万円控除」を使えるタイミングとは? 賢い売却順序を解説
実家の老朽化が進むと、「親が元気なうちに解体して売却の準備をしておこう」と考えることもあるでしょう。しかし、良かれと思って行った「相続前の解体」が、結果的に数百万円もの税金を招く可能性があります。
 
本記事では、実家を売却する際に知っておきたい「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(3000万円特別控除)」の仕組みと、損をしないための正しい売却手順を解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

相続空き家の3000万円特別控除とは?

親が住んでいた実家を相続し、その後売却して利益(譲渡所得)が出た場合、通常はその利益に対して20%の税金(譲渡所得税および住民税)がかかります。しかし、一定の要件を満たす実家を売却した場合には、売却益から最大3000万円が差し引ける特例が用意されています。
 
これが「空き家の譲渡所得の3000万円特別控除」です。実家の売却益が3000万円以下であれば、この特例を使うことで税金は実質ゼロとなります。実家を売却する家族にとっては、この節税効果を持つ制度を使わない手はありません。
 

相続「前」に更地にすると特例が使えなくなる?

この特例を利用するための条件の1つが、「相続の開始直前において、被相続人(親)がその家屋に居住していたこと」です。つまり、親が亡くなって相続が発生した時点で、実家が「建物として存在している」必要があります。
 
もし「親が施設に入って空き家になったから、生前に解体しておこう」と更地(さらち)にしたり、親名義のまま子どもが解体してしまったりすると、相続時には「ただの空き地(更地)」を引き継ぐことになります。
 
この場合は「家屋」を相続したことにはならないため、3000万円の特別控除は一切使えなくなってしまうのです。
 

特例の有無で変わる税金シミュレーション

特例が使える場合と使えない場合で、実際にどれくらい税金が変わるのかを計算してみましょう。
 
条件として、先祖代々の受け継いだ土地で取得費が不明で、解体費などの譲渡費用に200万円かかり、更地として2000万円で売却できたと仮定します。取得費が分からない場合には、売却額の5%相当額を取得費とすることができます。
 

特例が使えない場合(相続前に解体)

まず、親の生前に「相続前に解体」してしまい、特例が使えない場合の計算です。売却額の2000万円から、取得費にあたる100万円(売却額の5%)、譲渡費用の200万円を差し引くと、課税対象となる利益は1700万円となります。
 
この1700万円に対して、譲渡所得税15%と住民税5%の合計20%の税率が掛けられるため、約340万円の税金を納めなくてはなりません。
 

特例が使える場合(相続後に解体して売却)

一方、「相続後に解体して売却」する手順を踏み、特例が使える場合はどうなるでしょうか。
 
この制度を活用すると、先ほど計算した1700万円の利益から3000万円の特別控除が差し引けます。計算上マイナスになるため、課税対象の利益はゼロとなり、税金は発生しません。
 
このように、実家を解体するタイミングが異なるだけで、納める税金が0円になるか、340万円になるかという大きな差が生まれます。
 
親が生きているうちにと思って更地にした結果、手元に残るはずの大切なお金が数百万円単位で減ってしまう事態を避けるためにも、税金の仕組みを理解し、正しい順序で売却を進めることが重要です。
 

相続発生から売却までの正しいステップとは?

税金で損をしないために、正しい順序で手続きを進めましょう。
 
まず、建物を残したまま相続します。親が亡くなるまでは、老朽化していても建物を壊さずに維持しましょう。次に、相続が発生したらまずは実家を自分(相続人)の名義に変更し、相続登記を行います。
 
そして、相続「後」に解体、または買主に解体してもらいます。自分たちで解体して更地にしてから売却する方法や、「古屋付き土地」として売却して買主に解体してもらう方法があります。
 
2024年の税制改正により、売買契約を結んだ後に買主側で家屋を解体した場合(譲渡の日の属する年の翌年2月15日までなどの条件あり)でも、この3000万円控除が適用できるようになりました。これにより、相続人が多額の解体費用を前払いするリスクを負わずに、より安全に特例を活用できる環境が整っています。
 

実家の解体は必ず「相続後」に行って、資産を守ろう

相続する前に実家の解体工事を進めてしまうと、「空き家の譲渡所得の3000万円特別控除」が使えなくなり、結果として手元に残るはずの数百万円を税金として失う恐れがあります。
 
実家を売却して税制優遇を受けるためには、「建物を残したまま相続し、自分の名義に変更してから解体(または売却)する」という正しい順序を守ることが重要です。
 
相続前に焦って更地にせず、相続登記(名義変更)を確実に行う必要があります。親が遺してくれた大切な財産を、正しい知識と選択で無駄なく安全に引き継ぎましょう。
 

出典

国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
国税庁 土地や建物を売ったとき
国土交通省 空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)
国税庁 No.3258 取得費が分からないとき
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 yumobile
FF_お金にまつわる悩み・疑問