「毎年100万円ずつ贈るから相続税は心配不要」と言う父。生前贈与の“7年ルール”を適用しても節税になるのでしょうか?

配信日: 2026.04.20
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「毎年100万円ずつ贈るから相続税は心配不要」と言う父。生前贈与の“7年ルール”を適用しても節税になるのでしょうか?
相続税における生前贈与のルールとは、亡くなった日からさかのぼって7年前までの贈与を、相続財産として加算することです。
 
そのため、相続税対策のつもりで生前贈与をしていても、受け取ってから7年以内に贈与をした本人が亡くなると、贈与された人は加算対象期間内に贈与された財産についても相続税が課税される可能性があります。
 
今回は、生前贈与の7年ルールが相続税の計算にどう影響するのか、また贈与の方法による違いなどについてご紹介します。
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生前贈与の加算対象期間が7年以内になった影響

令和5年分までの暦年贈与に関しては、亡くなった日から3年前までが相続財産の加算対象でした。しかし、法改正により令和6年分の贈与からは、段階的に亡くなった日から7年前までが対象となります。
 
ただし、新たに増加した4年分に関しては、合計100万円までは、相続財産には加算されません。3年から7年に増えたことで、贈与のタイミングによっては、相続財産に加算される生前贈与の金額も増えることになります。なお、対象となるのは令和6年以降に受け取った贈与です。
 
令和6年以降に相続をしても、場合によっては今までと同じ3年分の贈与が相続財産の加算対象となる可能性があります。相続開始日を基準に、加算される年数が決められるためです。
 
国税庁によると、法改正で対象となる年数は表1の通りです。
 
表1

被相続人の相続開始日 加算対象となる贈与の期間
~令和8年12月31日 相続開始前3年以内
令和9年1月1日~令和12年12月31日 令和6年1月1日~亡くなった日まで
令和13年1月1日~ 相続開始前7年以内

出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問) No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」を基に筆者作成
 
表1からも分かるように、令和8年末までに相続をした場合は、今までと同じ3年以内の贈与が対象になります。相続財産を合計するときは、表1の内容も参考に加算期間を間違えないよう注意しましょう。
 

相続税額はいくらくらいになる?

今回は、以下の条件で相続税額を計算します。


・生前贈与で毎年1月に100万円を受け取っていた
・令和9年12月31日に相続
・相続財産は生前贈与を除いて3400万円
・法定相続人数は子ども1人
・子ども以外に遺贈などを受け取っている人はいない

まず、今回のケースだと生前贈与で相続財産となるのは「100万円×4年※-100万円」で300万円です。もともとの相続財産と合計すると、3700万円になります。
※令和6年~令和9年の4年分
 
また、相続税の基礎控除は「3000万円+法定相続人数×600万円」のため、3600万円です。相続財産の総額から基礎控除を差し引くと、100万円が課税対象となります。100万円のときの税率は10%のため、支払う相続税額は10万円です。
 

暦年贈与と相続時精算課税の違いとは

贈与には暦年贈与と相続時精算課税の2種類があります。生前贈与の7年ルールが適用されるのは、通常の贈与である暦年贈与です。相続時精算課税制度を選択していた場合、計算方法が変わります。
 
相続時精算課税制度は、18歳以上の人が60歳以上の両親や祖父母から受け取る贈与に対して適用できる制度です。
 
この制度は贈与者ごとに選択でき、受贈者がその選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までの間に所轄の税務署長に対して申告をすると、その贈与者から受け取る贈与は通常の贈与とは分けて計算します。
 
相続時精算課税制度を利用した場合、贈与税およびその人からの相続にかかる相続財産の計算は次の手順で行われます。


(1)特定贈与者ごとに、その年に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除110万円を差し引き、さらに特別控除額(限度額2500万円、前年以前にすでに特別控除額を控除している場合はその残額が上限)を差し引く

(2)(1)の控除後に残額がある場合は、その金額に一律20%を乗じて贈与税額を計算する

(3)制度の贈与者が亡くなった場合、もともとの相続財産に相続時精算課税制度で受け取った金額(基礎控除後)をすべて合計する

(4)(3)の合計金額を基に相続税額を計算したあと、相続時精算課税制度で納付した贈与税額を差し引いた金額が、実際に負担する相続税額となる

計算手順からも分かるように、相続時精算課税制度には全体を通して特別控除2500万円があります。場合によっては、制度を利用した方が節税できる可能性もあるので、親とよく相談して受け取り方を決めるとよいでしょう。
 

相続のタイミングによっては生前贈与によって相続税額が高くなる可能性がある

生前贈与は、法改正により令和6年分以降に受け取った贈与は7年ルールが適用されます。ただし、実際に何年分加算されるかは相続開始日により異なります。そのため、相続のタイミングによっては相続財産の金額が増え、相続税の課税対象となる可能性があります。
 
贈与には7年前ルールが適用される暦年贈与と、計算方法が少し異なる相続時精算課税制度があるため、試算をするなどして節税できる可能性が高い方を選ぶとよいでしょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和7年度版) 財産を相続したとき
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4103 相続時精算課税の選択
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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