親と費用を分担して建てた二世帯住宅を「私の単独名義」にしました。相続対策のつもりでしたが、本当に問題ないのでしょうか?

配信日: 2026.04.30
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親と費用を分担して建てた二世帯住宅を「私の単独名義」にしました。相続対策のつもりでしたが、本当に問題ないのでしょうか?
親子でお金を出し合って建てた二世帯住宅の名義を、相続対策として子どもの単独名義とする事例が時折見受けられます。しかし、その名義の付け方が、かえって税金や相続の火種になることもあります。
 
そこで本記事では、親子で費用を分担して建てた二世帯住宅を、子どもの単独名義とする相続対策の是非について考えていきます。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

「親もお金を出したのに子ども単独名義」は贈与税が問題になる

親が建築費の一部を負担し、その家を子ども単独名義で登記した場合は、実質的に建築費を親が贈与したものと考えられます。
 
国税庁によれば、親が買い入れた土地や家屋を子どもの名義で登記した場合など、お金を出した人とは別の人の名義にした財産は、原則としてその名義人となった人が、その取得資金を贈与によって取得したものとされると示されています。
 
さらに、共働き夫婦の例として、取得した不動産を一方の単独名義にした場合には、名義人となった人は、その取得に充てた資金のうち、他の一方が負担した部分をその人から贈与によって取得したものとされるとも説明されています。
 
これは親子間でも考え方は同じです。つまり、親が負担した分があるのに家全体を子どもの単独名義にすると、その親が負担した分については、子どもが親から贈与を受けたと扱われる可能性があるのです。
 
特に、贈与税の基礎控除額110万円や、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の上限500万円(省エネ等住宅の場合は1000万円)を超えるような場合は、予想外の贈与税が発生することになるため注意が必要です。
 
親子間の相続対策だから大丈夫、同居用だから問題ない、というわけではないのです。
 

重要なのは「出したお金に応じた持分」になっているか

思わぬ場面で贈与とみなされ、贈与税が発生しないようにするには、実際に負担した金額に応じて、不動産の持分を決め登記することです。そうすれば、親が費用の一部を出して購入した住宅であっても、贈与税は発生しません。この考え方は二世帯住宅でも同様です。
 
例えば、4000万円の住宅を購入し、親が2500万円、子どもが1500万円という割合でお金を出したにもかかわらず子どもの単独名義とした場合は、親から子どもへ2500万円もの贈与があったものとみなされます。
 
これでは相続対策になっていないどころか、むしろ別の問題を誘発している状態です。現在すべきことは、可能な限り速やかに、親と子どもでお金を出した金額の割合に沿って登記し直し、必要に応じて贈与税の申告をするべきでしょう。
 

生前贈与よりも相続をした方がいい場合もある

そもそもの話になってしまいますが、財産については生前贈与などの相続対策をするよりも、そのまま相続した方がいいこともあります。
 
なぜなら、贈与税は原則として年間で110万円を超えた部分に対して課税されますが、相続税については「3000万円+600万円×法定相続人の数」の金額までは非課税となるからです。
 
今回の事例のように、二世帯住宅の建築費用を親子で負担し合って建て、子どもの単独名義にするというような方法をとると、金額によっては、本来なら贈与税も相続税も発生しなかったところ、贈与扱いとされて贈与税が発生するということが起こりえます。
 
相続対策は、あえて何もしないことが正解という場合もあるのです。
 

まとめ

たとえ親子で居住する二世帯住宅であっても、名義はお金を出した割合に沿ったものとすることが原則です。資金は共同で出したにもかかわらず、どちらかの単独名義にした場合、一方から他方への贈与とみなされ、贈与税が発生する可能性があります。
 
間違った相続対策は、かえって逆効果になりかねません。相続対策をするのであれば、相続や贈与のルールをしっかり確認し、実態に即した範囲で行うようにしてください。
 

出典

国税庁 II贈与税のあらまし (3)贈与税の課税財産(39ページ)
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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