父名義の預金とは別に、母が“へそくり”のようなお金を持っていることが分かりました。家族のお金なら同じような気もしますが、相続税を考えるうえでは名義が重要になるのでしょうか?

配信日: 2026.05.09
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父名義の預金とは別に、母が“へそくり”のようなお金を持っていることが分かりました。家族のお金なら同じような気もしますが、相続税を考えるうえでは名義が重要になるのでしょうか?
父が亡くなったあと、遺品整理や預金の確認を進めるなかで、母が別にお金を持っていたことが分かる場合があります。このへそくりのようなお金は、家族の間では深く考えずに保管されがちですが、相続税の申告では誰の財産として扱うべきかが問題になりやすいものです。
 
そこで本記事では、母名義のへそくりと相続税の考え方について解説します。
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母名義のへそくりでも父の相続財産になることがある

相続税では、亡くなった人の財産が課税対象になります。そのため、父が亡くなった場合は、原則として父の財産を調べ、その金額をもとに税額を計算します。
 
ただし、母名義の預金だからといって、必ず母の財産になるとはかぎりません。例えば、父の給与や退職金を生活費として母が受け取り、その一部を長年貯めていた場合です。この資金は母が節約して貯めたものではありますが、もとはというと父の収入から得たものです。そのため、実質的に父の財産と判断される可能性があります。
 
このように、口座の名義人と実際の所有者が違う預金は「名義預金」と呼ばれるものです。国税庁も、「名義にかかわらず、被相続人が資金を拠出しているなど、被相続人の財産と認められるものは相続税の課税対象になる」としています。
 

母名義でも「誰の財産か」で相続財産かどうかが決まる

相続税で大切なのは、預金の名義だけではありません。具体的には、資金の出どころ、通帳や印鑑の管理状況、父から母へ贈与された事実があるかどうかを確認します。
 
特に重要なのは、資金の出どころです。母が専業主婦で大きな収入がなく、預金の原資が父の給与だった場合は、父の財産と見られる可能性が高くなります。一方で、母が働いて得た収入や、母自身の年金を貯めたものであれば、母の財産と説明しやすくなります。
 
また、父から母へ贈与があったかも重要です。贈与とは、父が「あげる」と意思表示し、母が「もらう」と受け入れることで成立します。単に父の口座から母の口座へ資金を移しただけでは、贈与があったと認められないことがあります。
 
なお、贈与税には暦年課税の場合、年間110万円の基礎控除があります。贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から、基礎控除額110万円を差し引いて計算します。 1年間に贈与された財産の合計が110万円以下であれば、原則として贈与税は課税されず、申告も不要です。
 
ただし、110万円以下であっても、いつ・誰から・どのように贈与されたかを明確に説明できるよう、振込記録や贈与契約書などを残しておくことが大切です。
 

母自身の財産と認められやすいケース

母名義の財産が、すべて父の相続財産になるわけではありません。母自身の財産だと説明できる場合は、母の財産として扱われる可能性があります。
 
例えば、母が働いて得た給与を貯めていた場合です。パート収入や事業収入があり、その収入が母名義の口座に入っていた場合は、母自身の財産と説明しやすくなります。母自身の年金を原資とする、預金も同様です。
 
また、母が自分の親から相続した財産や、結婚前から持っていた預金も、母の財産と考えられます。この場合は、相続の戸籍謄本や相続財産一覧、通帳の入金履歴、過去の給与明細などが根拠になります。
 
一方で、母が自分で管理していたとしても、それだけで母の財産と認められるとはかぎりません。家計管理のために母が自分名義の通帳を持っていたとしても、もとの資金が父の収入であれば、父の財産と判断されることがあります。相続の場面では、感覚ではなく、通帳履歴や給与明細などの記録で説明できるかが重要です。
 

母名義のへそくりは出どころを確認し、相続財産に含まれるか確認しよう

母名義のへそくりでも、父の収入をもとに貯めた資金であれば、父の相続財産に含まれる可能性があります。一方、母の給与や年金、母が相続した財産などが原資であれば、母自身の財産と説明しやすくなります。
 
相続税の申告で大切なのは、名義ではなく「誰の財産か」を確認することです。通帳の履歴や入金記録を整理し、内容に迷いが生じた場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。
 

出典

国税庁 相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集 事例 6 被相続人以外の名義の財産(預貯金)
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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