兄が「相続の話は親が元気なうちにすると失礼では?」と言うのですが、私はむしろ早めに確認したほうがよい気がします。家族で相続の話を切り出すなら、どのタイミングが良いのでしょうか?
そこで本記事では、家族で相続の話を切り出す適切なタイミングや、親に配慮した伝え方について解説します。
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目次
相続の話は親が元気なうちに始めるのが望ましい
相続の話は、親が元気で判断力があるうちに始めるのが望ましいです。これは単なる資産管理の話ではなく、親本人の希望を直接確認できるからです。
相続は、親が亡くなった後に残された家族だけで考えるものと思われがちですが、実際には預貯金や不動産、保険、借入金、介護費用など、事前に把握すべき情報は多岐にわたります。親の希望が分からないまま相続が始まると、兄弟姉妹の間で「親はこう言っていた」「そのような話は聞いていない」と意見が分かれることがあります。
また、相続発生後には期限の定められた手続きが複数存在します。例えば、相続放棄は原則として相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
相続税の申告と納税が必要な場合は、死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。期限が迫ってから慌てて財産を調べ始めると、精神的にも事務的にも残された家族の負担は大きくなります。
そのため、相続について早めに話し合うことは、決して失礼ではありません。親の考えを尊重し、将来の家族の負担を減らすための準備として、家族全員で取り組むことが大切です。
相続の話を切り出しやすいタイミングは家族が集まるとき
相続の話は、突然「財産はどうするのか」と切り出すと、親に警戒心を与えてしまいがちです。話題を振るなら、家族が自然に集まるタイミングが適しています。
例えば、年末年始やお盆、法事、親の誕生日、親戚間で相続が発生したときが好機です。こうした場では家族の将来や健康、介護の話題が出やすいため、自然な流れで相続の話にもつなげやすくなります。
ただし、大勢が集まる場でいきなり具体的な遺産分割の方法を話す必要はありません。まずは、「家族が将来困らないように、少しずつ整理しておきたい」「通帳や保険の証券などがどこにあるか、家族で把握しておけると安心」といった事務的な整理を目的とした伝え方から始めるのがよいでしょう。
もし親が話題を嫌がるようであれば、無理に進めないことも大切です。相続の話は、一度で終わらせるものではありません。まずは親の希望や気持ちを丁寧に聞き、日を改めて少しずつ確認していくほうが、結果的として家族間の信頼関係を保ちながら話し合いが進みやすくなります。
最初から財産の分け方を聞かず、親の希望を確認する
相続について親に話すときは、最初から「誰が何をもらうのか」と尋ねるのは控えたほうがよいでしょう。遺産分割の話題から入ると、親は自分の死後の財産処分を急かされている、あるいは責められているように感じてしまう可能性があるためです。
まず確認したいのは、親が今後どのように暮らしていきたいかです。例えば、「介護が必要になったら自宅で過ごしたいのか、施設も考えているのか」「医療や葬儀について希望があるのか」といった、親自身の将来の安心に関わることから尋ねてみましょう。
その流れで、必要な費用や財産の管理といった話題に広げていくと、相続だけを目的にしている印象を避け、親の希望に寄り添った対話が可能になります。
遺言書についても、必要に応じて親と話し合っておくとよいでしょう。遺言書は、財産の分け方に関する親の意思を明確にする方法の一つです。自筆証書遺言を作成する場合は、法務局で保管してもらえる「自筆証書遺言書保管制度」を利用する方法もあります。
この制度を使えば、遺言書の紛失や改ざんのリスクを抑えられます。また、相続開始後に家庭裁判所で行う検認手続きが不要になるため、相続人の負担を軽くできる点もメリットです。
ただし、子ども側が遺言書の内容を強く誘導することは避けるべきです。何よりも大切なのは、親自身が納得して考えられる環境を整えることです。相続税や不動産、遺言書の作成方法で迷う場合は、税理士や司法書士、弁護士などの専門家に相談すると安心です。
相続の話を家族の安心を守るために早めに始めよう
相続の話を家族で切り出す場合は、親が元気で落ち着いて話せる時期が適しています。具体的には、年末年始やお盆、法事、親の健康や将来の暮らしについて話す機会があるときがよいでしょう。
相続の話を切り出すときは、「財産を知りたい」ではなく、「家族が困らないように準備したい」という姿勢で伝えましょう。最初から遺産の分け方を決めようとせず、親の希望や財産の所在、介護や医療に対する考え方を少しずつ確認していくことで、親も受け入れやすくなります。
相続の話は、親の死を急ぐための不吉な話ではありません。親の意思を尊重し、残された家族の負担を減らすため大切な準備です。早めに、かつ穏やかな雰囲気のなかで話し合っておけば、家族全員が安心して将来に備えやすくなるでしょう。
出典
最高裁判所 相続の放棄の申述
国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
法務省 自筆証書遺言書保管制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
