相続した実家の登記、住所変更をサボっていたら罰金になりますか? 2026年4月から義務化と聞いて不安です。
実は2026年4月1日から住所変更登記が義務化され、正当な理由なく放置すると5万円以下の過料が科される可能性があります。何をいつまでにすべきか、FPである筆者が分かりやすく解説します。
お金と不動産相続のコンシェルジュ
宅地建物取引士・AFP・住宅ローンアドバイザー・相続診断士
不動産の登記は、黙っていては更新されない
不動産を所有すると、所有者の氏名や住所が法務局の登記簿に記録されます。しかし引っ越しをしても、登記は自動的に書き換わりません。住民票を移しただけでは不十分で、「住所変更登記」という別の手続きが必要です。
この手続きが長年放置されてきた結果、登記簿を見ても所有者に連絡が取れない「所有者不明土地」が全国に広がっています。法務省によれば、その面積は九州を上回るともいわれており、深刻な社会問題となっています。
「相続登記は済んだ」で安心していませんか?
2026年4月1日、不動産登記法の改正により住所変更登記が義務化されました。住所が変わった日から2年以内に申請しなければならず、正当な理由なく放置した場合は5万円以下の過料が科される可能性があります(不動産登記法第164条第2項)。
ここで注意が必要なのは、「自分には関係ない」と思いやすい人ほど、実は対象になっているケースが多いという点です。
例えば、「相続登記はきちんとやった」という方。それ自体は正しい対応ですが、相続後に引っ越しをしていれば、その時点で登記上の住所とのズレが生じています。相続登記の完了は「スタートライン」に過ぎず、その後の住所変更まで含めて初めて完結します。
さらに見落としがちなのが、過去の住所変更も対象になるという点です。義務化前(2026年3月31日以前)の未登記分についても義務の対象となります。ただし、2028年3月31日(令和10年3月末)までの猶予期間が設けられているため、今すぐ確認することが大切です。
田舎の実家を「共有」しているなら、なおさら早めに動きたい
相続した不動産を兄弟姉妹などで共有しているケースでは、さらに注意が必要です。共有者のうち1人でも住所変更登記が未了のままだと、いざ売却や活用をしようとしたときに手続きが止まってしまうことがあります。
「自分の分はちゃんとやった」だけでは不十分で、共有者全員の登記状況がそろって初めて動けるのが不動産です。田舎の実家を複数人で共有しているケースは珍しくありません。折を見て共有者と状況を確認し合っておくことが、将来のトラブル防止につながります。
手続きにかかる費用(登録免許税)は、不動産1件につき1000円です(静岡地方法務局の登記申請書記載例より)。申請は管轄の法務局で行え、自分で難しければ司法書士に依頼もできます。
また、「スマート変更登記」という新制度を活用すれば、事前に氏名・生年月日などの「検索用情報」を法務局に届け出ておくことで、以後の住所変更を法務局が確認・登記してくれます。一度申し出をすることで、手間を大幅に減らせる仕組みです。
まず「登記簿を見る」ことから始めよう
住所変更登記の義務化は、相続した不動産に限った話ではありません。購入・新築など、あらゆる経緯で不動産を所有している方が対象です。「そういえば昔引っ越したな」という方は、ぜひこの機会に確認してみてください。
法務局の窓口やオンラインの「登記情報提供サービス」で登記事項証明書を取得し、現在の住所と一致しているかを確認することが第一歩です。あわせて、敷地内に未登記の離れや倉庫・増築部分がないかも確認しておくと安心でしょう。また、不安な点は、法務局の窓口相談や司法書士・FPへのご相談をおすすめします。
出典
法務省 住所等変更登記の義務化特設ページ
静岡地方法務局 住所変更登記の申請書記載例(登録免許税の記載)
一般財団法人 民事法務協会 登記情報提供サービス
執筆者 : 稲場晃美
お金と不動産相続のコンシェルジュ
宅地建物取引士・AFP・住宅ローンアドバイザー・相続診断士
