更新日: 2020.07.19 葬儀

もしものために…親族が亡くなった場合に受け取れるお金って?

もしものために…親族が亡くなった場合に受け取れるお金って?
親族が亡くなったときのことは、あまり考えたくないものですが、もしも・・・のときには精神的なダメージもさることながら、金銭的にも大きな影響を受けます。
 
そのときに役立つ給付金などは請求しないともらえないものが多いので、あらかじめどんなものがあり、どこに手続きするのか知っておくことが大切です。
柴田千青

執筆者:柴田千青(しばた ちはる)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

2級DCプランナー/精神保健福祉士/キッズ・マネー・ステーション認定講師/終活アドバイザー

小美玉市教育委員
出産を機にメーカーの技術職から転身。自身の資産管理や相続対策からお金の知識の重要性を知り、保険などの商品を売らないFPとして独立。次世代に伝えるための金銭教育活動とともに、セミナー講師・WEB記事を中心とした執筆・個別相談などを行う。

葬儀に関する給付金

大きなお葬式をしなくても、火葬や埋葬には意外と多くの費用がかかってきます。
 
「埋葬料」や「葬祭費」というように、呼び方や制度がやや違うところはありますが、加入している健康保険から、葬儀にかかる費用を補助する給付金が出るので、その請求先などについて知っておきましょう。
 

健康保険によって異なる名称と請求先

(1)葬祭費

国民健康保険や後期高齢者医療制度の被保険者が亡くなった場合、葬祭費の給付を受けることができます。
 
請求先は自治体ですが、医者などの同じ職業の人を組合員とする国民健康保険組合の場合は、その加入していた組合に請求します。
 
給付額は5万円程度が多いようですが、自治体や組合によって大きく異なりますので、住んでいる市町村や加入している組合に確認するようにしてください。
 
また、必要な書類や、通夜や告別式を行わなかった場合でも給付を受けられるかどうかなども、自治体や組合によって異なってきますので、あわせて確認するようにしましょう。

(2)埋葬料

会社員などの被用者が亡くなった場合、それぞれの健康保険組合や協会けんぽ、共済組合から埋葬料を受けることができます。
 
受け取る人はその人に生計を維持されていた人で、受け取る額は加入している組合などにより異なります。
 
例として、協会けんぽの場合は5万円ですが、加入していた組合などへ必要書類とあわせてご確認ください。
 
*埋葬料を受け取れる「生計を維持されていた人」がいない場合は、埋葬を行った人に、5万円までの範囲内で実際に埋葬に要した費用が「埋葬費」として支給されます。
 
もし被保険者が資格を喪失した後でも、3ヶ月以内(または手当金や傷病手当金の継続受給中や、継続給付を受けなくなってから3ヶ月以内)に被保険者が亡くなった場合は、埋葬料を受け取ることができます。
 
なお、業務中や通勤途上で亡くなった場合は、健康保険からの埋葬費ではなく、労災保険からの「葬祭料」の給付になるので、管轄する労働基準監督署の方に請求します(※)。

(3)家族埋葬料

被用者の扶養になっていて、国民保険に入っていない親族もいるでしょう。
 
そういった健康保険組合の被保険者の扶養になっている人が亡くなった場合は、被保険者が家族埋葬料を受け取ることができます。
 
その額や手続きについては、加入している組合などへ確認するようにしてください。
 
これらの名称と対象者および請求先について、比較しやすいよう一覧にしてみました(図表1)。

ご自身やご家族の入っている健康保険に応じて、どの給付金が受け取れるのか確認してみてください。

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いつまでに申告すればよい?

葬祭費や埋葬料の申告期限は、葬祭費については葬儀を行った日の翌日から、埋葬料は死亡日の翌日から、2年以内が申告期限となっています。
 
2年間の猶予はありますが、健康保険証の返還などの手続きは速やかに行わなければならず、返してしまうと請求先も分からなくなりがちです。
 
よって、葬祭費などの手続きは、他の健康保険関連の手続きと一緒に行ってしまうようにしましょう。

遺族に対する年金

残された遺族の生活を支えるために給付されるのが「遺族年金」です。
 
遺族年金には、遺族基礎年金や遺族厚生年金がありますが、入っている公的年金保険や、誰が受け取るのか、また子の有無などで受け取れる遺族年金の内容や額が変わります。
 
葬祭費などと同様、入っていた年金保険に応じて、自治体や勤務先で加入している保険組合に手続きしていくので、他の手続きとあわせて申請していくとよいでしょう。

まとめ

今回は、親族が亡くなったときに、公的な制度から受け取れるお金について述べました。
 
なお、民間の生命保険に入っていればその死亡時保険金などもあるでしょう。
 
ほかにも、亡くなる前に入院などで医療費が多くかかっていた場合には、高額療養費として払い戻しを受けることができるかもしれません。
 
これらはいずれも請求しないと受け取ることができないので、もしものときにどのようなお金を受け取れるのか、今一度、確認してみてはいかがでしょうか。
 
出典
(※)厚生労働省「労災保険 遺族(補償)給付 葬祭料(葬祭給付)の請求手続」
 
執筆者:柴田千青
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

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