「子どもがしたこと」じゃ許されない!自分の子どもが加害者になる危機と対策
配信日: 2018.02.08 更新日: 2019.01.11
ボール遊びという身近なことから、損害賠償問題に発展するのは想像しがたいですが、実際、賠償命令が出ている事件もあり、自分の子どもが加害者になってしまった場合の備えを考えておいたほうがよいかもしれません。
Text:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
実際どんな事故が起きているのか
<平成14年4月>
小学4年生の男の子2人が公園内でキャッチボールをしていたところ、ボールがそれて近くにいた小学5年生の男の子の胸部にあたり死亡。小学4年生の男の子2人の両親に対して、それぞれ3000万円の賠償金の支払いが命じられました。
<平成16年2月>
小学6年生の男の子が蹴ったサッカーボールが校庭から飛び出し、バイクに乗っていた男性がボールを避けようと負傷。その後、死亡した事故で遺族側の請求は棄却されています。
これらの事故は死亡に至るほどの大きな事故ですが、身近でも、同じ公園で遊んでいた人にケガを負わせてしまったり、ボールが近所の家の車に当たり傷をつけてしまった。あるいは、公園の施設を壊してしまったりと、さまざまなケースが考えられます。事故は予防するのが一番ですが、起きてしまった事故や損傷は元に戻せません。
人や物に損害を与えてしまうと、損害賠償責任が発生します。では、事故を起こしてしまい、損害賠償されたときの備えはどうすればよいでしょうか。
個人賠償責任保険でカバー
個人賠償責任保険(日常生活賠償保険)とは、他人にケガをさせたり他人のものを壊してしまい、法律上、損害を賠償しなければならない事故を起こしてしまった場合に備える保険で、損害賠償額や争訟費用を補償してくれます。海外での損害賠償も補償されたり、示談交渉サービスがついているケースもあります。
補償される事故の例としては、
・子どもとお出かけをして、子どもがお店のものを壊してしまった
・自転車に乗っていて、歩行者にケガをさせてしまった
・マンションで階下の部屋に漏水させてしまった
などがあげられます。
自転車事故では、一生かかっても支払えないような高額な賠償命令が出た判決があり、この保険に加入する人が増えています。
補償の範囲や保険料は?
個人賠償責任保険は、単独で加入することはできないもので、火災保険、自動車保険、傷害保険いずれかに特約として付帯するものです。クレジットカードに付帯されている場合もあります。補償の対象者は、同居の家族、別居の未婚の子です。保険料は月々100円ほどで、保険金は1億円を設定している保険会社が多いです。
注意点としては、火災保険、自動車保険、傷害保険のいずれか一つの保険に付帯しておけば、家族全員が補償の対象となるので重複しないようにすること、そして、メインの保険を解約してしまうと、個人賠償責任保険も解約されてしまうことです。
高額な支出を保険でカバーすることは、家計を安定させる一つの方法です。この保険が気になったら、現在、加入しているかどうか、あるいは加入できるかどうか、ご自身の保険をチェックしてみてください。
Text:前田 菜緒(まえだ なお)
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP(R)認定者