更新日: 2022.07.19 生命保険

相続税対策に生命保険は使える? おすすめの理由や注意点を解説

相続税対策に生命保険は使える? おすすめの理由や注意点を解説
生命保険に加入していて、被保険者が死亡すると、相続人に生命保険金が支払われます。
 
生命保険金は上手に活用することで、相続税の節税や相続人同士の争いの防止に使うことができます。
 
生命保険を活用した相続税対策を検討しましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

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生命保険金はみなし相続財産となる

生命保険金は「みなし相続財産」となります。
みなし相続財産とは、「民法上は相続財産ではないが、相続税法で相続財産として扱う財産」のことです。
 
これらの財産には、相続税が課税されます。生命保険金は、相続発生時に被相続人が所有していた財産ではありませんが、相続を理由として相続人に支給されるため、民法上の相続財産と同様に扱われるのです。
 
したがって、例えば契約者(保険金支払者)が夫、被保険者が夫、受取人が妻の場合には、生命保険金は夫の相続財産に算入されます。
 

相続税対策に生命保険がおすすめな理由

かつては相続税=富裕層の税金というイメージがありました。それは、被相続人の財産のうち、相続税が課税されない基礎控除額が大きかったからです。
 
しかし、2015年に相続税法が改正され、基礎控除額が大幅に引き下げられ、これによって、富裕層でなくても相続税の支払い義務が生じる人の範囲が広がりました。
 
生命保険を使った相続税対策は、富裕層でなくとも一般人でも簡単にできる方法です。
 

非課税枠がある

生命保険金はみなし相続財産として課税されますが、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。非課税枠の上限内であれば、相続税が発生することなく、相続することができます。
 
相続税法改正後、相続税の基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人数」となり、上限を超えた額は相続税が課税されます。
しかし、相続財産のうち上限を超える分について、生命保険料として支払ってしまい、相続発生時に死亡保険金として相続人が受け取れば、生命保険の非課税枠の分は非課税で受け取ることができます。
 

受取人を指定できる

通常、相続が発生すると、遺産分割協議によって、相続財産の分割の仕方について協議する必要があります。
 
しかし、生命保険金の受取人として指定された相続人が生命保険を受け取っても、生命保険は相続財産ではないので、遺産分割協議の対象外です。生命保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象になるだけで、遺産分割協議の対象となる「相続財産」ではないためです。
 
したがって、生命保険金を受け取るときにほかの相続人の承認を得る必要はなく、遺留分を請求される恐れもありません。
 
生命保険を活用すれば、財産を残したい人に確実に財産を受け継ぐことができます。
 

納税資金に使える

相続税は、相続が発生したことを知った日の翌日から「10ヶ月以内」に「現金一括」で納税する必要があります。
 
相続財産には、現金や有価証券以外にも土地や建物などの不動産や自動車などが含まれています。現金以外の資産が相続財産の大半を占める場合、納税資金を準備できないかもしれません。
 
生命保険金は、相続発生についての事実確認が取れた場合に、迅速に受取可能です。手元の納税資金が不足している場合に、生命保険金を納税資金として活用できます。
 
また、納税以外にも、被相続人の葬儀代や墓石購入費、飲食接待費といったさまざまな出費が発生します。しかも、相続が発生すると、被相続人名義の口座はすべて凍結されますので、「預金はあっても引き出せない」という状況に陥ります。
 
これら相続に伴う出費に対しても、生命保険金は活用できます。
 

相続放棄とは関係なく受け取れる

相続放棄とは、被相続人の財産に対する相続権を放棄することで、最初から相続人ではなかったとみなされます。
 
被相続人に多額の借金があり、相続財産がマイナスの場合、相続放棄することで返済の責任を回避できます。しかし、相続放棄した場合であっても、生命保険金を受け取ることができます。
 
相続放棄は、「相続財産」に対する権利を放棄するものですが、生命保険金は相続財産ではないため、相続放棄に関係なく、受け取ることができるのです。
 
「被相続人の借金を背負いたくないが、生命保険金は受け取りたい」という場合に、相続放棄は有効な方法となります。
 

代償分割の資金として使える

代償分割とは、相続人の一人が分割の難しい財産(不動産など)を相続したときに、その財産を相続した人がほかの相続人に代償財産を分割する方法です。
 
例えば、相続が発生し、長男と長女の2人が相続人だとしましょう。相続財産の大半が不動産のときに、長女が不動産を相続すると、長男が相続する財産はほとんどなくなってしまいます。
 
このときに長女が長男に対して、不動産価格の半分に相当する金額の現金を交付すれば、2人の相続人が納得する形で相続を完了できるでしょう。
 
そして、代償分割の原資として、長女を生命保険金の受取人に指定すれば、代償分割がスムーズに進みます。
 

相続税対策としての生命保険の注意点

相続財産を巡って相続人が争う「争族」を回避するために、生命保険金を活用したものの、それがかえってトラブルの要因になることもあります。
 
例えば、遺産分割協議の対象にならないことを見込んで、特定の相続人に生命保険金を交付すると、ほかの相続人から恨みを買う可能性があります。
 
したがって、相続発生前から受取人を指定した根拠などを説明しておく必要があるでしょう。
 
また、生命保険の非課税枠が利用できるのは、相続人が生命保険金を受け取った場合に限定されます。つまり、相続人以外の人が生命保険金を受け取ると、非課税枠は利用できません。
 

生命保険を上手く活用して相続税を節税しよう

遺産分割協議の対象外だったり、納税資金に使えたりと、相続税対策として生命保険を活用することには、さまざまなメリットがあります。
 
相続税に上手く対応するために、受取人の指定に注意しつつ、生命保険の活用を検討してみることをおすすめします。
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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