夏休みに海外旅行を計画中。海外で病気になったらどうする?
配信日: 2023.06.29
執筆者:正田きよ子(まさだ きよこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
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海外で病院にかかっても公的医療保険が使える
国内で病院にかかると、健康保険証を提示すれば医療費の自己負担は1~3割です。海外で病院にかかっても、国民健康保険や健康保険などの公的医療保険が使えます。ただし、現地で全額をいったん自己負担します。帰国後、海外療養費の申請を行い、医療費の一部の払い戻しを受けます。
海外療養費の支給対象は、国内で保険診療と認められる医療行為に限られます。国内で保険適用となっていない医療行為や薬が使用された場合は支給対象になりません。
支給金額は、国内で同じ治療をした場合にかかる治療費を基準に計算した額から自己負担分を差し引いた金額です。国内と海外での医療体制や治療方法等が異なるため、海外で支払った総額から自己負担相当額を差し引いた額よりも、支給金額が大幅に少なくなることがあります。外貨で医療費を支払うと、支給決定日の為替レートで円に換算して支給されます。
在ニューヨーク日本国総領事館のサイトでは、以下のように明記されています(抜粋)。
米国の医療費は、日本に比べて非常に高額です。その中でも、マンハッタン区の医療費は同区外の2倍から3倍ともいわれており、一般の初診料は150ドルから300ドル、専門医を受診すると200ドルから500ドル、入院した場合は室料だけで1日約2000ドルから3000ドル程度の請求を受けます。
海外で病院にかかっても民間の医療保険が使える
生命保険会社や損害保険会社の医療保険に加入していれば、海外での病気やケガでも給付金を受け取ることができます。手続きは、国内で給付金を受け取る手続きと同様です。保険会社所定の診断書を現地の医師に記載してもらう必要があります。
給付される額は約款に基づいた金額なので、高額な海外での医療費に対応できない可能性もあります。
治療には医療費以外にもお金がかかる
海外で病院にかかった場合、病院に支払う医療費以外にも費用がかかることがあります。親族が現地に来るための費用(救援者費用)、旅程を変更して帰国するための交通費、治療のための交通費や雇った通訳の費用などがあげられます。
海外療養費の支給対象外ですが、医療費以上に高額になる可能性があります。海外旅行保険はこれらの費用を補うことができます。
海外旅行保険に入っておいたほうがよいのか?
海外で病院にかかっても、公的医療保険や加入している民間の医療保険で医療費の一部を補うことができますが、海外旅行保険はより手厚く備えることができます。旅行中の病気やケガの治療費だけでなく、亡くなった場合の保険金、アクシデントによる賠償責任、携行品の紛失や交通機関のトラブルによる補償など、海外旅行中のさまざまな危険に備えるものです。
クレジットカードには、海外旅行保険が付帯されているものもあります。補償内容や付帯条件はさまざまですので注意が必要です。特に、カードを持っていれば自動的に付帯されるのか、旅行代金のカード支払いなどの条件付帯なのか必ず確認しましょう。クレジットカード付帯では補償が心配な場合は、海外旅行保険への加入を検討しましょう。
「海外旅行中は十分に注意するから大丈夫」「健康に自信があるから大丈夫」などと思っていても、国内と違う環境でのストレスや疲労で病気になったり、思いがけない事故、事件に遭遇したりする可能性があります。万一のお守りとして、海外旅行保険に入っておくと良いかもしれません。
出典
在ニューヨーク日本国総領事館 医療概要/1.医療費
執筆者:正田きよ子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者