2025年度から国民健康保険料の上限が「3万円」引き上げ!年間支払い額はどう変わる?
配信日: 2025.02.04 更新日: 2025.02.05

多くの加入者に影響を与える可能性がある保険料の変更について、本記事ではどのような影響があるのかをまとめました。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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保険料の上限額引き上げの概要
国民健康保険料の算定基準、徴収期限、方法などは、居住している市町村の条例(国民健康保険組合は規約)で定められており、世帯単位で算定します。
世帯所得などに応じた部分の上限額(賦課限度額)が、現行の89万円から92万円に3万円引き上げられますが、40歳から64歳の方が納める介護保険料の17万円は据え置かれ、保険料全体の上限額は109万円となるようです。引き上げは、厚生労働省が社会保障制度を維持するために、保険財政の改善を目的として実施するものです。
引き上げの背景
保険料の上限が引き上げられるのは4年連続で、以下のような理由があります。
●高齢化の進行に伴う医療費の増加
●持続可能な制度運営のための対策
●所得の高い層により多くの負担を求める形
日本では高齢者人口が増加しており、国民医療費は年々増加しています。2024年の総務省のデータによると、65歳以上の高齢者が3625万人と全体の29.3%を占めており、医療費の負担が大きくなっていることがわかります。医療給付制度を維持するために、保険料の引き上げが続いているといえるでしょう。
また、所得が高い人に対してより多くの負担を求めることで、低・中間所得層の負担を軽減する狙いもあります。
引き上げの影響を受ける世帯とは
2025年度からの上限額の引き上げにより、年収がおよそ1170万円以上の世帯では、負担が2.8%増える試算となっています。限度額を引き上げることで、大部分を占めるそれ以外の加入者への影響を1.0%と小さくしながら、保険制度を維持していくことが可能となるしくみです。
多くの加入者には、引き上げによる直接的な影響は少ないとみられています。上限額の引き上げは、長期的に保険制度の安定化につながるため、間接的に恩恵を受けることになるでしょう。
国民健康保険料の負担はどれぐらい?
国民健康保険料は、年収や住む地域、年齢によって異なります。今回は東京都世田谷区に住む単身者のケースを仮定し、表1に所得別の年間保険料の目安額を試算しまとめました(令和6年度の場合、数字は概算)。
表1
所得額 | 39歳以下 | 月平均 | 40~64歳 | 月平均 |
---|---|---|---|---|
0円 | 6万5600円 | 5466円 | 8万2100円 | 6841円 |
300万円 | 36万893円 | 3万74円 | 43万8045円 | 3万6503円 |
400万円 | 47万5793円 | 3万9649円 | 57万6545円 | 4万8045円 |
500万円 | 59万693円 | 4万9224円 | 71万5045円 | 5万9587円 |
1000万円 | 89万円 | 7万4166円 | 106万円 | 8万8333円 |
出典:世田谷区「令和6年度国民健康保険料早見表・試算ツール」により筆者作成
40歳以上では介護分が加算されるため、その分保険料は増えることになります。
上限額が3万円引き上がることで、年収がおよそ1170万円以上の世帯の負担は2.8%増える見込み
2025年度の国民健康保険料上限額の引き上げは、おもに年収がおよそ1170万円以上の世帯に影響を与えることが分かりました。
高齢化がさらに進む中、国民健康保険制度を取り巻く環境は常に変化しており、今後も制度の見直しや改革が行われる可能性が高いです。加入者は、日頃から政府による医療保険制度の変更内容や自身が居住している自治体の情報をチェックしておき、必要に応じて適切な対応を取ることが大切です。
出典
総務省 統計トピックス No.142 統計からみた我が国の高齢者(2ページ)
世田谷区 国民健康保険料について 保険料の計算方法 令和6年度国民健康保険試算ツール
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー