今年の春、念願だった「独立」を検討しています。「個人事業主」は「社会保険」に加入できないそうで、「保険料負担」はどのくらい増えそうですか?

配信日: 2025.02.12

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今年の春、念願だった「独立」を検討しています。「個人事業主」は「社会保険」に加入できないそうで、「保険料負担」はどのくらい増えそうですか?
IT業界をはじめ、理美容関連や小売業など、多種多様な業界で個人事業主として開業し活躍している方がいます。いずれは独立して、自分の会社や店舗を持ちたいと野望を抱いている方もいるのではないでしょうか。独立する際は、さまざまな手続きや変更点がありますが、社会保険も大きく変わるもののひとつです。
 
本記事では、個人事業主になった際の社会保険の変更点から、個人事業主では保険料の負担がどのくらい増えるのかを解説します。
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「個人事業主」は「社会保険」に加入できない?

個人事業主になると、会社員や公務員として加入していた「社会保険」には加入できなくなります。ここからは、社会保険の定義や個人事業主になった際の社会保険の変更点について確認していきましょう。
 

そもそも「社会保険」とは?

そもそも「社会保険」とは、一般的に医療保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険の5つの総称として使用されています。本記事では便宜上、会社員や公務員などが加入する健康保険と厚生年金保険を「社会保険」とします。
 
厚生労働省によると、以下の4点すべてに該当する方が社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入対象です。

・従業員数51人以上の企業で働いている
 
・週の勤務時間が20時間以上(※残業時間は含みません)
 
・給与が月額8万8000円以上(※残業代、賞与、通勤手当、臨時の手当を含みません)
 
・2ヶ月を超えて働く予定がある
 
・学生ではない(※休学中、定時制、通信制の方は加入対象となります)

個人事業主は会社員(従業員)が対象である健康保険と雇用保険、労災保険には原則加入できません。また、個人事業主は「自営業者」となるため、厚生年金保険も対象外です。そのため、個人事業主は「社会保険」に加入できないといわれています。
 

「個人事業主」は「国民健康保険」と「国民年金」に加入するのが原則

個人事業主は、健康保険と厚生年金の加入対象ではありません。しかし、日本には国民皆保険制度があり、また「日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人」が国民年金に加入する義務があります。そのため、個人事業主として独立し「社会保険」の資格を喪失すると、健康保険ではなく「国民健康保険」、厚生年金ではなく「国民年金」に加入することが求められます。
 
なお、介護保険は40歳以上の方が対象となる保険です。個人事業主になっても、40歳以降は、介護保険にも加入することになります。
 

国民健康保険・国民年金の保険料は年間いくらくらい?

実際に国民健康保険と国民年金に加入した場合、年間の保険料はどのくらいになるのでしょうか。ここでは、令和5年度の所得額が400万円の30歳で、東京都世田谷区在住の方を例に試算してみましょう。
 
まず国民健康保険料は前年度の所得額に応じて金額が変わります。世田谷区の「令和6年度国民健康保険料早見表」によると、1年間分の国民健康保険料は47万5793円です。
 
次に国民年金保険料は、収入にかかわらず一定となっています。日本年金機構によれば、令和6年度は月額1万6980円のため、1年間では20万3760円が必要です。
 
したがって、今回の条件における国民健康保険料と国民年金保険料の総額は67万9553円(47万5793円+20万3760円)となります。
 

「社会保険」と比べていくらくらい保険料負担が増える?

令和5年度の年収が400万円の30歳で、東京都世田谷区在住の方を例に試算してみましょう。
 
一例として、年収400万円を12ヶ月で除して月給約33万円、賞与はなしと仮定して、社会保険の保険料負担を計算します。全国健康保険協会(協会けんぽ)によれば、健康保険の保険料は標準報酬月額によって決まり、月給約33万円・賞与なしの方の標準報酬月額は34万円(報酬月額33万円以上35万円未満)の第24等級です。
 
健康保険料は基本的に会社と折半となるため、月額1万6966円になります。つまり、年間では20万3592円です。
 
次に、厚生年金保険料も基本的に会社と折半になります。厚生年金の保険料も健康保険と同様、標準報酬月額に応じて金額が変わります。月給約33万円の方は第21等級に該当するため、厚生年金保険料は月額3万1110円です。つまり、年間では37万3320円になります。
 
以上より、健康保険料と厚生年金保険料の総額は57万6912円(20万3592円+37万3320円)です。
 
前章で計算した通り、個人事業主として独立し国民健康保険と国民年金に加入した場合、保険料は総額67万9553円となるため、今回の条件では、社会保険と比べ保険料の負担が約10万円も増える計算になります。
 

まとめ

今いる会社から独立し「個人事業主」として自分の会社や店舗を運営することが夢という方もいるでしょう。個人事業主になると変わる点も多々ありますが、そのひとつに社会保険料が挙げられます。
 
個人事業主は、健康保険や厚生年金保険など、いわゆる「社会保険」には加入できなくなるためです。また、会社と折半していた保険料を自分1人で全額支払うこととなり、負担が増加するケースがあります。その他にも、会社を運営するための諸費用も売り上げから差し引かれるため、独立する際はどの程度利益を出す必要があるのかなど、しっかりシミュレーションすることが重要です。
 

出典

厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 社会保険加入の対象者
世田谷区
日本年金機構 国民年金保険料
全国健康保険協会ホームページ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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