親に言われるがままに終身保険に入りましたが、40歳になり結婚の予定もないので、掛け金が安い「掛け捨て保険」に変えたほうがいいでしょうか?
特に結婚の予定がなく、保険料の負担が気になる場合、「終身保険をやめて掛け捨て型にしたほうがいいのでは」と考えることもあるでしょう。保険の役割は、人生の状況によって変わります。
本記事では、終身保険と掛け捨て保険の違いを整理しながら、見直しのポイントを解説します。
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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生命保険の基本的な役割
生命保険を見直す際には、まず「何のために入っているのか」を整理することが大切です。
生命保険の主な目的は、万一の際に家族の生活を守るための資金を準備することにあります。生命保険は、「死亡や病気、老後などのリスクに備えるための金融商品」であり、家計のリスク管理の一つとして利用されるものです。
一般的に、扶養する家族がいる人ほど死亡保障の必要性は高くなります。一方、独身で扶養家族がいない場合は、大きな死亡保障が必ずしも必要とはかぎりません。
そのため、結婚や子どもの誕生などライフステージの変化に合わせて保険内容を見直すことは当然のことです。現在の自分の生活や将来設計に合っているかを確認することが、保険見直しの第一歩です。
終身保険は「保障と貯蓄の性格を併せ持つ」商品
終身保険は、名前のとおり一生涯保障が続く生命保険です。保険料は定期保険より高い傾向がありますが、途中で解約すると「解約返戻金」が戻る場合があるという特徴があります。
終身保険は、「一生涯の死亡保障を確保しつつ、解約返戻金があるため貯蓄性もある保険」とされています。そのため終身保険は、次のような目的で加入されることが多い保険です。
・葬儀費用などの準備
・相続対策
・老後資金の一部
・子どもの教育資金準備
つまり、終身保険は「死亡保障+貯蓄」の性格を持つ商品であり、単純に「保険料が高いから不要」と判断するものではありません。
掛け捨て保険(定期保険)の特徴
一方、掛け捨て保険と呼ばれるものの多くは「定期保険」です。定期保険は、一定期間のみ死亡保障があり、満期や解約時に返戻金がほとんどない代わりに、保険料が比較的安いという特徴があります。
定期保険は、「保険期間を限定することで、比較的低い保険料で大きな保障を準備できる」保険です。例えば、子どもが小さい間だけ大きな死亡保障を確保したい場合などには、合理的な選択肢となります。
ただし、保障期間が終了すれば保障もなくなるため、長期的な資産形成の機能はほとんどありません。
独身の場合の「保険の考え方」
結婚の予定がなく扶養家族もいない場合、必要な死亡保障はそれほど大きくないケースが多いでしょう。一般的に独身の人に必要とされる保障は、主に次のような費用です。
・葬儀費用
・医療費
・生活費の一時的な補てん
葬儀費用は、ケース・バイ・ケースですが、110万円程度といわれています。そのため、終身保険をすでに契約している場合、その保険が「葬儀費用などの準備」として考えているなら、必ずしも見直しが必要とはかぎりません。
一方で、保険料の負担が家計を圧迫している場合には、次のような方法も検討できます。
・保険金額を減らす
・払済保険にする
・一部解約する
・定期保険に切り替える
このように、保険を「やめるか続けるか」の二択ではなく、内容を調整する方法もあります。
総合的な家計バランスが重要
保険の見直しでは、「保険料が安いかどうか」だけで判断するのはお勧めできません。終身保険を解約すると解約返戻金が少ない時期もあり、加入から年数が浅い場合には元本割れになることもあるためです。
また、保険の見直しは、「保障内容・保険料・ライフステージを総合的に確認することが大切」なので、次のような視点で考えるとよいでしょう。
・将来、結婚や家族を持つ可能性
・老後資金の準備状況
・貯蓄額
・保険料負担
もし、終身保険が老後資金の一部として機能している場合、単純に掛け捨て保険へ変更すると、将来の資産形成の一部をあきらめてしまう結果になる可能性もあります。
まとめ
終身保険を掛け捨て保険に変えるべきかどうかは、「独身かどうか」だけでは判断できません。終身保険は一生涯の保障と貯蓄性を持つ一方、掛け捨て保険は保険料が安く保障を確保できるという特徴があります。
大切なのは、自分のライフプランと家計に合っているかを確認することです。保険料の負担が大きい場合、解約だけでなく減額や払済などの方法もあります。
保険は「安いか高いか」ではなく、「今の人生に合っているか」で考えることが重要です。まずは、現在の契約内容と解約返戻金の状況を確認し、家計全体のバランスのなかで見直しを検討するとよいでしょう。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 生命保険契約にあたっての手引き
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者