けがや病気で働けなくなったらどうする? 「就業不能保険」の基礎知識を解説

配信日: 2019.10.16 更新日: 2019.10.21

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けがや病気で働けなくなったらどうする? 「就業不能保険」の基礎知識を解説
ここ数年、注目されている保険のひとつに「就業不能保険」があります。就業不能保険は、端的にいうと「病気やけがなどで働けなくなった場合に、収入が補填される」ものです。
 
重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

就業不能保険の概要

○就業不能保険の保障イメージ(例)

 
保障のイメージとしては、例えば、がんにかかり、所定の期間、働けなくなった場合、毎月、お給料のように就業不能給付金が支給されます。目的としては、働けなくなったことで生じる収入の減少をカバーするためのものなので、どちらかというと、生きている間の生活保障のような意味合いがあります。
 

就業不能保険の組み立て方

ただし、この保険を検討する際は、どのように組み立てていけばいいかを考える必要があります。他の保険と同様、社会保険制度を考慮した上で、就業不能保険の保障設計を考えていくことになります。
 
会社員のケースで考えてみましょう。働けなくなった場合に収入の減少をカバーしてくれる社会保険制度は、健康保険制度からの「傷病手当金」と、公的年金制度からの「障害年金」の2つです。
 
○会社員の場合の公的保障制度と就業不能保険の関係(イメージ)

 
ご加入中の健康保険制度から給付される「傷病手当金」は、会社を休んだ日から連続して3日間が経過した後、4日目から支給されます。支給期間は最長で1年6ヶ月です。
 
そして、傷病手当金の支給期間が終わった後、例えば、障害者として認定を受けた場合、等級によって異なりますが、公的年金制度から「障害年金」が支給されます。
 
このため、就業不能保険を検討する際は、傷病手当金と障害年金がそれぞれいくら支給されるかを事前に確認した上で、働けなくなった場合に支給される就業不能給付金を設定していきます。
 
ここで注意しておきたいことは、ほかの収入も考慮することです。例えば、ご夫婦ともに働いていて、夫に就業不能保険をかけておきたいという場合、社会保険制度からの給付に加え、妻の収入もあるため、これらの金額の合計が、家計収入になります。
 
そして、それでもなお、生活する上で不足すると思われる金額を就業不能給付金として設定していきます。会社員のご家庭の場合は、おおよそ、このようなイメージで捉えればいいですが、フリーランスや個人事業主などの自営業者のご家庭では、少し勝手が違います。
 
なぜならば、加入している健康保険制度が国民健康保険であるため、そもそも傷病手当金がないからです。このため、自営業者の場合は、社会保険制度からの給付が会社員と比べそれほど期待できず、必要になる就業不能給付金は会社員のご家庭よりも多くなります。
 

まとめ

就業不能保険は、収入保障保険や医療保険などのように、現段階では、必ずしもメジャーな保険商品というわけではありません。
 
ほかにも重要なポイントがいくつかありますが、検討する際は、保険会社の担当者やファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談の上、組み立てていくよう心がけていきましょう。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)


 

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