更新日: 2020.03.30 自動車保険

自動車保険の構造を知っていますか?(その2)

自動車保険の構造を知っていますか?(その2)
その1では、自動車保険のベースとなる自賠責保険の機能と補償の内容について説明しました。その2では自賠責保険と任意の自動車保険の関係、自動車保険の補償内容について述べてみたいと思います。
 
浦上登

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。

現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。

ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。

FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。

2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。

現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。

早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。

サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow

自賠責保険と任意の自動車保険の関係

自動車保険には、自賠責保険と任意の自動車保険があります。
 
自賠責保険は自動車事故の被害者への最低限の補償を行い、強制保険として自動車保険全体の基礎を構成します。それに対し任意の自動車保険では、自賠責保険では足りない補償を供給することで、被保険者のさまざまなニーズに応えています。
 
任意の自動車保険に加入した場合、保険求償の際には、保険会社が任意保険の求償と合わせ自賠責保険の求償も行ってくれるので、被保険者にとってはそれぞれ手続きを行う必要はありません。
 
ですから、自動車保険というと任意の自動車保険を想像し、自賠責保険に入っていることをほとんど意識していない方も多いのではないでしょうか。

自動車保険の特徴

任意の自動車保険の補償にはどのようなものがあるでしょうか?
 
まずは、その前に自動車保険の特徴について述べたいと思います。自動車保険はいろいろなタイプのリスクを補償する複合保険です。つまり、別の保険で補償するリスクが一つの保険の中に盛り込まれています。自動車保険の主な補償内容は次の通りです。
 
1.対人賠償責任保険
2.対物賠償責任保険
3.人身傷害補償保険
4.搭乗者傷害保険
5.自損事故保険
6.無保険車傷害保険
7.車両保険
8.その他特約

 
これらの補償内容について、一つ一つ説明したいと思います。

対人賠償責任保険

契約している自動車(被保険自動車)の所有・使用・管理に起因して、他人を死傷させ、法律上の賠償責任を負うことによって被保険者が被る損害が補償されます。
 
自動車保険の最低限の補償を担う自賠責保険の補償内容は、自動車事故の被害者の死亡と傷害に関する補償です。それはすなわち、この対人賠償責任保険にあたります。
 
自動車保険の補償のうちでも、第三者の身体に与えた損害に対する賠償責任が最も重要であるから、自動車損害賠償保障法(自賠法)により強制化されたということができます。
 
自賠責保険による補償額では一般的に不足することが多いので、任意保険により補償金額が上積みされます。対人賠償における請求額は多額になることが多いので、任意保険の補償限度額は「無制限」と設定することが一般的です。

対物賠償責任保険

被保険自動車の所有・使用・管理に起因して、他人の財物に損害を与え、法律上の賠償責任を負うことによって被保険者が被る損害が補償されます。
 
具体的にいうと、車同士の衝突によって相手の車に与えた損害や、営業中のレストランに車で突っ込んで店舗に与えた損害などが補償の対象となります。前者の場合、「過失相殺」といって、それぞれの責任の度合いによって損害賠償をする金額が決まります。
 
例えば、こちら側の過失割合が60%、相手方の過失割合が40%である場合、相手側の自動車の損害額を50万円とすると、こちら側の対人賠償責任保険で賠償すべき金額は、50万円×60%=30万円となります。
 
後者の場合は単に店舗の修理費のみならず、修理期間中の「逸失利益」も損害賠償の対象になるので、かなり大きな金額になることがあります。「逸失利益」とは、通常の状態で営業していたならば、その期間に得られたであろう利益の減少をきたす損害をいいます。
 
対物賠償における請求額も多額になることがあり得るので、補償限度額を「無制限」と設定することが多く見られます。
 
なお、対人賠償責任保険・対物賠償責任保険は、任意保険においても被害者救済の観点から、無免許運転や酒酔い運転であっても保険金が支払われます。
 
しかし加害者となる運転者本人が被った損害について、その3で説明する人身傷害保険や搭乗者傷害保険、自損事故保険などは適用されません。

まとめ

その2では、自賠責保険と任意の自動車保険の関係、人の自動車保険の補償の一部について解説しました。その3では、残りの補償について解説したいと思います。
 
[出典]
一般社団法人日本損害保険協会「自動車保険」
一般社団法人日本損害保険協会「損害保険Q&A くるまの保険」
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー


 

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