アルバイト・パートにも雇用保険が適用される? 条件をわかりやすく解説
配信日: 2020.04.13
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
雇用保険とは?
雇用保険とは、一定の要件を満たす労働者を対象とする国の保険制度です(※1)。雇用保険への加入条件を満たす労働者は、本人や使用者の意思に関係なく雇用保険に強制的に加入することになります。
雇用保険は、労働者を守る総合的機能を有する保険であり、主に次の3つを目的として運営されています。
・失業した労働者への給付
・一定の教育訓練を受けた場合の給付
・失業の予防など労働者の能力向上や福祉の増進
雇用保険に加入することで加入者は被保険者となり、上記の目的に基づく一定の給付などを受けることができます。
●加入条件を確認
次の3つの条件に該当する労働者は、学生など一定の例外を除き、原則として雇用保険に加入することとなります。
(1)雇用保険の適用事業所に雇用されている
(2)1週間の所定労働時間が20時間以上
(3)31日以上の雇用見込みがあること(31日以上続くことが明確でない限り見込みがあるということになります。)
なお、小規模な農林水産業を営む事業所など一定の例外を除き、労働者が1人でも雇用されていると、基本的にその事業所は雇用保険の適用事業所となります。
●社会保険との違いはどこ?
一般的に社会保険と呼ばれるものは次の5つです。
・健康保険
・厚生年金
・介護保険
・雇用保険
・労災保険
つまり、雇用保険と社会保険は別物というわけではなく、社会保険と呼ばれる保険のなかの1つに雇用保険があるということになります。
アルバイト・パートの人もチェック! 雇用保険の加入条件とメリット
雇用保険は、アルバイト・パートとして就労されている人も加入対象となります。
すでに述べた通り、
(1)雇用保険の適用事業所に雇用されている
(2)1週間の所定労働時間が20時間以上
(3)31日以上の雇用見込みがあること
これら3つの条件を満たすことで、アルバイト・パートとして就労されている人でも、正社員と同じように雇用保険に加入することになります(※2)。
●加入は自分でするの?
雇用保険への加入手続きは事業主が行います(※3)。手続き自体を加入者が行うことはありません。
●雇用保険に加入するメリット
雇用保険に加入すると、失業してしまったり、一時的に仕事を休まざるを得なくなってしまったときに、次のような給付を受けることができます。
・基本手当(※4)
・傷病手当
・教育訓練給付金
・育児休業給付金
・介護休業給付金
上記のほかにもさまざまな給付を受けることができます。
●各種手当・給付金などの申請方法
雇用保険の手当や給付金などの申請は、基本的にハローワークの窓口で行います。必要書類など具体的な手続きの内容については、お勤めの会社などに相談するとともに最寄りのハローワークへお問い合わせください。
失業保険をもらいながらアルバイト・パートで働くのは違法?
失業保険(雇用保険の基本手当)を受給するには失業状態でなければいけません。そのため、アルバイトなどで働いていることを隠したまま基本手当の受給を継続していると、不正受給として扱われてしまうおそれがあります(※5)。
ただし、基本手当の受給中に働くこと自体が禁じられているわけではありません。
雇用保険の基本手当の受給中にアルバイト・パート、その他雇用形態を問わず働くのであれば、必ず失業認定を受ける際に提出する「失業認定書」にその旨記入するようにしてください。
不正受給として扱われると、不正に受給した手当の返還に加え、その返還した金額の2倍までの範囲の金額で、納付を命じられこともあります。
まとめ
雇用保険は正社員独自の制度ではなく、一定の条件を満たすことでアルバイト・パートでも加入することになります。雇用保険については、最寄りのハローワークに相談するようにしてください。
[出典]
※1 ハローワーク「雇用保険制度の概要」
※2 厚生労働省「雇用保険に加入していますか〜労働者の皆様へ〜」
※3 厚生労働省「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」
※4 ハローワーク インターネットサービス「基本手当について」
※5 ハローワーク インターネットサービス「不正受給の典型例」
執筆者:柘植輝
行政書士