更新日: 2020.05.17 その他保険
お得に「学び直し」ができる!「教育訓練給付金」活用のコツ
執筆者:仁木康尋(にき やすひろ)
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント
人事部門で給与・社会保険、採用、労務、制度設計を担当、現在は人材会社のコンサルトとして様々な方のキャリア支援を行う。キャリア構築とファイナンシャル・プランの関係性を大切にしている。
3種類の教育訓練給付金がある
教育訓練給付金は3つのカテゴリーに分類されています。
具体的には「一般教育訓練給付金(以下「一般」と略します)」「専門実践教育訓練給付金(以下「専門」と略します)」「特定一般教育訓給付金(以下「特定一般」と略します)」の3種類、それぞれ対象者や支給額なども異なります。簡単に概要を(図1)にまとめていますのでご覧ください。
詳細はハローワークインターネットサービス(※1)で確認できます。
利用上の留意点を洗い出してみました
1.対象の講座は厚生労働大臣が指定
教育訓練給付金を利用することができるのは、厚生労働大臣が指定する講座に限定されています。また、「一般」「特定一般」「専門実践」各カテゴリーで講座が指定されています。
2.複数の講座を学習する場合には、次回利用できるまでの期間も考慮
初めて利用する場合には、受講時に雇用保険の被保険者期間は1年以上(「専門」の場合は2年)となっていますので社会人2年目(「専門」の場合は3年目)から利用することができます。
ただし、次回利用する場合には新たに3年以上の被保険者期間が必要となり、かつ受給後3年を経過していないと利用できませんので注意が必要です。
例えば、3年以内に複数の資格を取得することを念頭に置いている場合には、受講料の高い講座で給付制度を利用するなど計画的に利用したほうが良いでしょう。
3.会社からの補助があっても併用できる場合がある
お勤め先によっては資格支援制度により補助がでる場合があります。会社が100%負担してくれる場合は利用できませんが、受講料の一部を負担してくれる場合にはその額を差し引いた額、つまりご自身で負担した額を給付制度上の受講料として計算し、給付金を利用することは可能です。
4.修了認定基準はスクールによって異なるので事前に確認しておく
「一般」の場合の修了認定基準は、通学コースの場合には出席率(通信コースの場合には添削課題の提出率)と修了認定試験の得点率としているところが多く、資格試験の合否は基準としていません。
留意いただきたい点は、出席率や得点率のボーダーラインは各スクールが決めているということです。必ず事前に確認しておくことを忘れないでください。
確認するときは、授業を欠席してしまった場合に他のクラスに振替が可能か?可能な場合に選択できるクラスがどれくらいあるか?欠席した場合に選択できるフォロー制度は他にあるか?またそれぞれのフォロー制度を利用した場合に出席率の対象になるか?についても確認をしておくと安心です。
5.給付制度が使える講座やスクールの情報の調べ方
先ほど『「一般」「特定一般」「専門実践」とカテゴリーごとに講座が指定されています』とお伝えしました。実際の調べる方法を3つご紹介します
(ア)まず、「厚生労働省のホームページ(教育訓練給付制度検索システム)」です。
勉強したい分野や資格名からの検索、スクール名からの検索の両方向で検索ができます(※2)。検索システムの補足として、「専門実践(※3)」「特定一般(※4)」の一覧表を見つけました。下部のURLよりご参照ください。
(イ)次に、「各スクールのホームページ」です
制度の概要、手続きの仕方、修了認定基準、そのスクールが厚生労働省から指定を受けている講座一覧など確認できます。
(ウ)最後に、「各スクールが発行するパンフレット」です
ホームページ以外にも専用のパンフレットを用意しているところもあります。ホームページよりも詳しく説明しているようです。ほとんどのスクールは資料請求すると送付していただけますので取り寄せておくといいでしょう。
まとめ
教育訓練給付金は、働く方の主体的な能力開発の取り組みまたは中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることをも目的としている制度です。
制度の目的を理解し有効に活用したいですね。その際は利用できる給付金の種類、手続きの方法、修了認定基準などスクールのホームページやパンフレットで必ず確認を行ってください。
特定一般や専門実践は学習開始1ヶ月前までにハローワークでの手続きが必要になりますので早めに確認しておくと安心です。
(出典)
ハローワークインターネットサービス
厚生労働省のホームページ(教育訓練給付制度検索システム)
(※1)ハローワークインターネットサービス
(※2)教育訓練給付制度
(※3)専門実践教育訓練指定講座一覧(2017年10月~2020年4月指定)
(※4)特定一般教育訓練指定講座一覧(2019年10月~2020年4月指定)
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント