専門知識が欲しいけど、お金も時間もない。そんな人は「専門実践教育訓練給付金」を利用してみては?
配信日: 2019.10.09 更新日: 2021.06.24
執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。
一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金の違い
働く上での専門的な知識を習得したい、資格取得のために勉強したい、というような場合に利用できるのが、雇用保険の教育訓練給付金制度です。教育訓練給付金には、一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金があります。
一般教育訓練給付金の対象となる講座は、簿記検定や情報処理技術者資格など幅広い分野にわたっています。講座の受講期間は数ヶ月程度のものが多くなっています。厚生労働大臣が指定した支給対象となる講座を修了すると、入学料と受講料の合計の20%(上限10万円)が給付金として戻ってきます。
専門実践教育訓練給付金は、看護師、保育士、建築士などの専門的な勉強をしたいという場合に利用できるものです。これらの資格では、より専門的な知識を習得する必要がありますので時間もお金もかかります。
そのため、給付金は入学料と受講料の最大50%(年間上限40万円)、資格を習得して再就職をするなどの必要な要件を満たすと、20%が上乗せされ、最大70%(年間上限56万円)が支給されるのです。
最大4年間支給される講座や条件は?
教育訓練給付金の対象となる講座は、ハローワークのホームページにある「教育訓練給付制度 講座・検索(※1)」から探すことができます。
このうち、専門実践教育訓練給付金の支給期間は、2019年3月末までは最大3年間でしたが、2019年4月1日以降は、4年課程の管理栄養士の講座が加わり、最大4年間支給されることもあります。
この講座の教育訓練を受けると、40万円を4年間ですので160万円、資格取得後再就職などの要件を満たすと合計で最大224万円の専門実践教育訓練給付金を受給できます。今後、対象となる講座が増えることがあるかもしれません。
教育訓練給付金は誰でも受給できるわけではなく、基本的には支給要件期間が3年以上必要です。
支給要件期間とは、受講を開始するまでに同じ職場で引き続き雇用保険の被保険者として雇用されていた期間のことですが、転職で職場が変わった場合もブランクが1年以内でしたら通算できます。以前に教育訓練給付金を受給したことがある場合に対象となった期間は通算できません。
ただし、初めて教育訓練給付金を受給する場合の支給要件期間は当分の間緩和されており、一般教育訓練では1年以上、専門実践教育訓練では2年以上でよいということです。すでに専門実践教育訓練を受けたことがある方は別途制限もありますので詳しくはハローワークで確認しましょう。
キャリアコンサルティングも必要
専門実践教育訓練は最大4年という長い期間にわたるものですから、しっかりと目的をもって自分のキャリアに役立つ訓練なのか、自分に合った訓練なのかといったことも事前に十分確認しておくことが必要でしょう。
そのため、キャリアコンサルタントによるコンサルティングを事前に受け、就業の目標や職業能力の開発・向上に関する事項を記載したジョブ・カードの交付を受けなければなりません。
必要な書類も多いため手続きもよく確認して行わなければなりませんが、手厚い給付金を受けながらキャリアアップが可能な制度ですので、利用できる方はうまく活用したいですね。
(※1)ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度 講座・検索」
執筆者:福島佳奈美
DCアドバイザー