保険で100万円以上の運用益?いま注目の運用型保険とは
配信日: 2017.11.22 更新日: 2019.01.11
保険会社も、契約者から預かった資金を低金利の中で運用して増やすのが難しくなってきたのです。
その結果、返戻率が下がり、魅力がなくなってきました。そんな中人気を集めているのが、変額保険です。変額保険にもいくつか種類がありますが、今日は変額終身保険についてお伝えしたいと思います。
Text:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
変額終身保険とは?
保険料の一部を株式や債券で運用し、運用実績によって保険金や返戻金が増えたり減ったりするのが変額保険です。運用実績が悪い場合でも、基本保険金額分は最低保証されるので、万一の保証としては安心です。
注意が必要なのは解約時です。解約返戻金には最低保証がないので、運用実績が悪ければ大きく元本割れするリスクがあるのです。とはいえ、運用実績が良ければ大きく資産を増やせる可能性も秘めています。
運用益は引き出したほうがいい?
ここ数日、日経平均は2万円を突破し、アメリカのダウは最高値を更新しています。株価が上昇する中、変額保険で運用益が出ている人が多いようです。
契約途中で運用益を引き出せるかどうかは契約している会社によって異なりますが、運用益を引き出せる場合は、引き出すべきか悩まれる方が多いです。
結論から言えば、「今すぐこのお金が必要」というわけでは無いのなら、引き出さない方がお得です。運用資金は大きければ大きいほど利益を膨らませることができますから。
ただし、運用益を確保するにはメンテナンスが必要。運用対象の決め方については、契約者自身が選択できる保険商品もありますので、その場合はローリスクの運用に切り替えて運用益を確保しておきましょう。
先日も運用益の引き出しについて相談を受けました。この方は10年前に契約していたにもかかわらず、運用状況を気にしたことがなかったようです。
担当の営業マンが変わり後任の担当から挨拶の連絡がきた際に、100万円以上もの運用益が出ていることを知らされたとのこと。契約当時からの平均運用利回りは9.7%。なかなかの好成績です。
とはいえ、今後、株式市場が悪化する可能性は十分にあります。ですから、一部の利益をローリスク型に移管させること、運用対象は日本や海外の株式型、債権型など幅広く選択した方がリスクを抑えることができることをアドバイスをしました。
「変額保険で運用しよう」は間違い?
運用次第では大きく資産を増やせる変額保険ですが、「保険機能も貯蓄機能もそろって一石二鳥。ちょっと保険金額を増やして資産運用も兼ねてしまおう」なんてことはお勧めできません。なぜなら、保険料の支払いが苦しくなって解約や保険種類の変更などを行うことになった場合、返戻金が払い込み保険料を下回るなど、契約者にとって不利な事態に陥るからです。
また、変額保険で運用に充てられているお金は、支払っている保険料全額ではなくその一部です。保険金を増額する資金があるなら、その資金全額をNISAやiDeCoなど税制優遇された制度に充てて運用を行っていくほうが効率的に資産を増やすことができます。
変額保険は、万一に備えるには優秀な保険です。ですが、あくまでも保険。運用面ばかりにとらわれすぎないようにしてくださいね。
(プロフィル)
Text:前田菜緒(まえだ・なお)
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP(R)認定者