新型コロナの影響で収入減。「保険の見直し」を考える場合の注意点

配信日: 2020.08.25

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新型コロナの影響で収入減。「保険の見直し」を考える場合の注意点
新型コロナウイルス感染症が「家計」に与える影響は深刻です。依然として収束の兆しが見えず、その影響は長期にわたることが予測されています。「家計が苦しい」「家計が回らない」といった声も多く耳にします。
 
家計改善の手段として「保険の見直し」は有効です。
 
しかし、安易に解約や減額をした場合には、後で悔やむことになります。加入時の保険の目的を思い出しつつ、慎重に進めましょう。見直すうえでの注意点やポイントをお伝えします。
大竹麻佐子

執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)

CFP®認定者・相続診断士

 
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
 
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
 
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
 
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/

家計改善の流れ 3つのステップ

これまで何事もなく日々を過ごしていたのに、突然の休業要請から収入が減少し、家計が回らなくなっている方からのご相談が増えています。
 
月単位での赤字家計を賞与で補填する年間収支トントン型のご家庭では、賞与の減額は痛手ですね。特別定額給付金は、一時的にはありがたく助かりますが、収入回復の見込みが立たない今、この先の生活を変えていく必要がありそうです。
 
家計改善の流れとして、以下の3つのステップが考えられます。
(1)支出の内訳の洗い出し
(2)固定費の見直し
(3)変動費の削減
 

(1)支出の内訳の洗い出し

支出について、これまでざっくりと把握していたつもりでも、書き出してみると、意外と「使途不明金」が存在することに驚くでしょう。
 
「こんなに使った覚えはないのに」「いったい何に使ったのだろう」とおっしゃいます。「この分、貯蓄しておけばよかった」という声も多いのですが、この点については、今、後悔しても仕方ありません。未知のウイルスが世界中を震撼させるとは、誰も想像していなかったのです。
 
今回の新型コロナウイルスが私たちに「考える機会」を与えてくれたものと捉え、前に進むことを考えていきたいですね。もし、近い将来、想定外の事態が起こったとしても、今度は問題なく対応できるように準備をしていきましょう。

(2)固定費の見直し

支出項目の中から、毎月支出している固定費に注目してみましょう。継続する出費が改善できれば、長く続く分、効果は大きいものです。電気代などの光熱費や携帯代などの通信費、保険の見直しも効果的です。
 

(3)変動費の削減

緊急事態宣言中の外出自粛に伴い、外食費や交際費が激減したという方が多くいらっしゃいます。
 
一方、自宅で食事をとるようになったため、食費が増えたケースも多くみられます。新しい生活様式といわれていますが、ざっくりとした予算をベースに、数ヶ月かけて試行錯誤を繰り返しながら、自分にとっての最適な金額を調整し、実行していきましょう。
 
ポイントは「自分らしさ」「無理をしない」ことです。

固定費削減の効果が大きいのは保険の見直し

保険の見直しに絞って、考えてみましょう。
 
注意したいのは、少しでも出費を抑えようとして見直しをした結果、必要な保障までカットしてしまうことです。安易に解約することは避けましょう。どういった目的で加入したのか、なぜその保障金額に設定したのか思い出してみてください。
 

(1)現在加入中の保障内容を確認する

まず、現在の保障内容を確認するところから始めましょう。
・いつ加入したのか。
・どんな状況の場合に保険金が受け取れるのか。
・いくら受け取れるのか。
・保障はいつまで継続されるのか。
・保険料はいくらか、いつまで払うのか、このまま金額は変わらないのか。
などがポイントとなります。
 
もし不明点があれば、担当者やコールセンターに問い合わせてみましょう。
 

(2)現在の生活スタイルに合った保障は何かを考える

すすめられるがまま加入したけど、内容が分からない。という方も多いでしょう。長い人生の間で、必要な保障額には変化があります。独身時代はご自身のことを考える必要あります。
 
パートナーができると、もしものときに困らないように備える責任が生じますね。子どもが生まれると、さらに責任は大きくなるはずです。
 
遺された家族には、夢をあきらめることなく、生活をしていってほしいですね。子どもが働き始めた後、ご自身が退職した後では、責任は小さくなるかもしれません。家族構成や住宅ローンの有無などにより、人それぞれです。価値観も違うはずです。
 
もしもの場合の保険について考える場合には、それぞれの人生をトータルに考える必要があります。だからこそ、ライフステージに合った保険の見直しが大切なのです。

(3)現在の保障内容と必要な保障内容を比較してみる

保険加入の目的は、病気になったときの備え、万一の場合の備え(遺された家族の生活費、お葬式代など)、教育資金、老後資金などさまざまです。目的に沿っているか再確認をしたうえで、継続もしくは過不足を判断しましょう。
 
・継続という選択肢
検討した結果、必要で最適という場合には、保険料を払い続けることで、保険を継続しましょう。
 
・不要であれば解約という選択肢
現在と将来を考えた結果、不要であるという場合もあります。過大な保険は保険料の無駄となります。
 
・保障は必要だけど、保障金額が多過ぎるという場合
商品設定や契約形態によりますが、「減額」という手続きが可能です。担当者やコールセンターにお問い合わせしてみましょう。
 
・保障は必要だし、保障金額が足りないかもしれないという場合
増額ができる場合と、新たに追加で加入するなどのほか、同じ保険会社内で、規定の範囲内であれば、審査なしで商品を変更できる場合もあります。
 

保険の見直しを行ううえで注意すべきポイント

保険料を削減することと、もしものときに遺された家族が困らないようにすること、保険以外で備えることができるのか、について考えてみましょう。
 
安易に保険料の削減を考えての解約は、保障がなくなることでのちのち困る可能性があります。保険料は一般的に年齢が上がるほど高くなります。後になって入り直す場合には、同じ保障内容でも当然に保険料負担は大きくなります。
 

健康面での心配はありませんか?

新しい保険に切り替える場合には、新しい保障の契約が成立した後にそれまでの保障の解約を申し出るようにしましょう。
 
タイミングによっては重複することになりますが、解約した後に成立しない旨の連絡があり、結果的に無保険になることだけは避けたいものです。そのためには、保険会社の担当者とうまく連携することで、申込時の書類や告知などで不備のないように進めたいですね。
 
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた家庭も多いことから、保険会社各社は保険料の支払い猶予の申し出を受け付けています。「保険を守る」ことも大切です。支払い猶予期間後は、まとめて保険料を支払う必要がありますので、可能であれば、先送りせずに他の支出を工面して、月払いで支払いを捻出したいものです。
 
先の見えない現在の状況では、保険の見直しによる固定費の削減が効果的であることは間違いありません。
 
ただし、ご自身やご家族のライフプランを踏まえ、20年、30年先までの長期的視野で考えて後悔しない決断をしてください。ひとりで悩まずに、ファイナンシャルプランナーに相談してみるのも選択肢です。
 
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士


 

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