友人から突然紹介された「雨漏り調査と保険金請求代行の業者」これって本当に大丈夫?

配信日: 2020.11.12

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友人から突然紹介された「雨漏り調査と保険金請求代行の業者」これって本当に大丈夫?
B子さん(50代主婦)のもとに、友人のA子(60代主婦)さんからメールが来ました。
 
いきなり、
「建築士に見てもらうと、素人では分からない家の損害箇所を見つけてくれるよ」
「でも、調査してもらったら、保険金請求しないとダメだけどね」
「古い家ほど保険金が出るよ」
「証券出してみる?」
と、「良いこと教えてあげる」と言わんばかりの勢いです。
 
B子さんは、最初のうちは「???」でしたが、話をまとめると、『雨漏りの箇所を調査してくれ、保険金を請求するために修理の見積書や申請書を作成してくれる代行業者がいる。
 
ただし、保険金を受け取ったら保険金の半分を手数料として支払う』ということが分かりました。さらに、古い家ほど保険金が出るという話。この話、そのまま受け取ってよいでしょうか。
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

火災保険は自然災害時にも保険金が出ます

「火災保険」は火事による災害だけでなく、台風や大雪など、風水雪害等の自然災害で被害を受けたときにも補償範囲に含まれています(補償内容や金額等は保険会社により異なります)。よって、台風で瓦が飛んでしまった、大雪で雨どいが壊れてしまったときなども保険金を受け取ることができます。
 
ただし、災害により被害を受けた部分についての補償です。経年劣化によるものや、リフォームや施工不良、過失によるものは対象外です。
 
また、免責金額が超えないと保険金は出ません。免責金額は契約内容により異なります。被害が20万円以上ないと保険金が出ないものもあります。保険証書を確認しましょう。さらに、請求には期限があります。多くの場合、請求期限は3年です。
 
ところで、これは、自然災害の被害も補償してくれる大変ありがたい火災保険ですが、この保険金に関係したさまざまなトラブルが増えています。
 

国民生活センターでも注意喚起

「保険金が使える」という住宅修理サービスの相談が増加していると、平成24年12月に国民生活センターが報道発表しました。その後も「保険金を使って住宅を修理しませんか」がきっかけでトラブルになることが増えていると、平成30年9月に報道発表しています。
 
「保険金の範囲で修理するから自己負担はありません」等と「無料」を強調して勧誘してきます。しかし、後になって保険金代行の手数料を30~50%請求してきます。そのまま工事をする場合は20%、他社が工事する場合は40%という場合もあります。
 
また、保険金が見積もりより少ない場合があります。
 
申込書に「保険金が少なくて工事ができない場合は30%の手数料を払う」と書いてあることを、保険金を受け取った後から説明される場合や、見積もりとの差額分がすぐに用意できないので、後日改めて工事をお願いすると伝えたら、保険料の30%を違約金として払うよう言われたなど、申込時に手数料や違約金に関する説明がされていません。
 
他には、一部の破損以外は経年劣化なのに「保険金を使って被害を受けたところ以外も修理をしたらどうか」と言われたとか、「火災保険で修理できますよ」と修理の必要がないのに不具合があるかのように見せかけるとか、保険金詐欺になってしまうのではと思われる相談もあります。
 

その契約、ちょっと待て

「ちょっと、それ大丈夫?」と、B子さんは待ったを掛けました。
 
「手数料として保険金が半分持って行かれる」というA子さんの話から、A子さんの場合は手数料50%の業者のようです。被災した箇所の修理に必要な額が出されるのですから、手数料に半分も払ってしまったら全部の修理はできません。
 
本来、災害で家が壊れたら、まず保険会社に連絡し、必要な書類や手続きの流れを保険会社に確認します。
 
保険金を支払うために保険会社の調査(場合によっては見積もりが必要なこともあります)により損害額が確定し、保険金額が確定します。保険請求申請は自分でします。見積もりが必要な場合、相見積を取ると良いでしょう。
 
保険金は、必ずしも届け出た場所の修理をしなければならないことはありません。しかし、修理をしなかったことで損害が大きくなってしまっても、同じ箇所の補償は難しいでしょう。
 
「古い家ほど保険金が出やすい」ことについて、経年劣化分も自然災害で壊れたことにすればいいと提案する業者もいます。また、工事費の見積もりを水増ししている事例もあります。ウソの理由で申請した場合は罪に問われることもあります(国民生活センター報道発表資料より)。
 
他に、受け取った保険金を工事代金として前払いしたのに、工事が始まらない等の工事そのもののトラブルの事例もあります。「保険金が使える」と勧誘された住宅修理で、不安に思ったりトラブルになった場合、消費者ホットライン188に相談しましょう。
 
(参考・引用)
国民生活センター平成24年12月6日報道発表資料「保険金を使って住宅を修理しませんか」がきっかけでトラブルに!
国民生活センター平成30年9月6日報道発表資料「保険金が使える」という住宅修理サービスの相談が増加!
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者


 

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