2018.05.11 スペシャルインタビュー

GMOフィナンシャルホールディングス鬼頭社長に聞く、フィンテックがもたらす未来の生活とは?

Interview Guest : 鬼頭 弘泰(GMOフィナンシャルホールディングス株式会社 代表執行役社長)

Interview Guest

鬼頭 弘泰(GMOフィナンシャルホールディングス株式会社 代表執行役社長)

鬼頭 弘泰(GMOフィナンシャルホールディングス株式会社 代表執行役社長)

1967年、神奈川県生まれ。1992年、早稲田大学商学部卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。インターネットサービス企画、法人融資を担当。
 
2005年、ライブドア(現NHN テコラス)に入社。インターネット銀行設立プロジェクトに従事。同年、エキサイトに入社。
 
インターネットローン事業、FX事業の立ち上げに携わる。2008年、クリック証券(現GMOクリック証券)入社。同社経営企画部長、マーケティング室長として、事業企画、サービス企画などを指揮。
 
FXの取引高が世界NO.1にまで成長。2014年にGMOクリックホールディングス(現GMOフィナンシャルホールディングス)代表執行役社長、GMOクリック証券代表取締役社長に就任。
 
2015年にGMOクリックホールディングス(現GMOフィナンシャルホールディングス)がジャスダックに上場(証券コード:7177)。現在、仮想通貨事業、インターネット銀行事業に注力。
 
システム企画、マーケティングを得意分野とする。愛猫家。
 
GMOフィナンシャルホールディングス株式会社
https://www.gmofh.com/
 

後発ながら、2012年以降FX取引高が6年連続世界No.1*、株式売買代金も主要ネット証券第5位と大手の一角を占めるGMOクリック証券などを傘下に持つ金融持株会社、GMOフィナンシャルホールディングス。
 
今回は、同社の代表執行役社長 グループCEOの鬼頭弘泰氏に、鬼頭氏が思い描く金融の未来についてお話をお伺いしました。
 
GMOフィナンシャルホールディングスは、システムの自社開発にこだわり、「金融サービスをもっとリーズナブルに もっと楽しく自由に」という企業理念を掲げ、香港、ロンドン、バンコクにも進出しグローバルにビジネスを展開。
 
昨年9月には仮想通貨交換サービスを提供するGMOコインを連結子会社化し、今年7月にはあおぞら銀行グループ、GMOインターネットとともに準備を進める新ネット銀行の開業を予定するなど、新しい金融領域での事業拡大を進めています。
*Finance Magnates調べ。

—— まずは、貴社グループが提供する金融サービスやそのこだわりについて教えてください。

我々のグループが現在、提供しているのは、株式、FX、CFDなどの金融商品やビットコインなどの仮想通貨にインターネットで手軽に投資できるサービスです。
 
投資は、始めてすぐに成果を出せるというものではなく、知識や経験の積み重ねが必要なため、その敷居は高くなりがちですが、資産運用とは豊かな人生を過ごしていく上で必要な生活の一要素です。
 
ですから、我々は、投資をもっと多くの人にとって身近で、そして、楽しい存在にしていきたいと思っています。では、これを実現するのに我々の立場で何を提供できるのか――答えは非常にシンプルで、安さと使いやすさの2つに尽きると考えています。
 
まず、1回当たりの取引にかかる手数料が高ければ、リターンを得るためのハードルが高くなります。投資の第一歩を踏み出すのにも、また、取引を継続するのにも、取引コストは1円でも安い方がいいのです。
 
また、ツールやサービスも分かりやすくて使いやすくなければなりません。我々が徹底してこだわり追求し続けていることは、この取引コストを安くし、直感的に操作できて使っていて気持ちの良い安定したシステム、分かりやすいサービスを作ることです。
 

—— 今後、力を入れていきたいと考えている金融サービスは何ですか。

今、我々が最も注力しているのは、FX・証券・仮想通貨の3つです。FXについては、機械学習の活用によってさらに収益性を高め、引き続きシェアアップを図っていきます。
 
また、昨今、海外の法人企業からFX取引で世界シェアNo.1の流動性を持つ我々と取引をしたいとのご要望を多くいただくようになり、今年からは、新たに海外向けBtoB取引を始める予定です。
 
証券は、株式売買代金は一定の規模にまで成長したものの、商品ラインアップでは他社様に及ばないところがあるので、貸株サービスや一般信用の売り、スマホアプリの改善など、サービスを強化したいと思っています。
 
仮想通貨交換事業は発展途上ですが、成長が見込める分野だと思っています。
 
GMOコインのサービスを徹底的に強化し、使いやすくすることで、より多くの方にとって安心・安全・便利に仮想通貨をお取引いただける環境を提供していきたいと考えています。
 

—— 仮想通貨は、人々の生活をどのように変えていくと思いますか?

お金は時代の変遷とともにその姿を変えてきましたが、今後はキャッシュレス化が加速し、お金のデジタル化が進んでいきます。どれぐらいの時間がかかるかは分かりませんが、お財布を持ち歩かなくなる日はやってくるでしょう。
 
こうした流れの中で主要な役割を果たしていくのが仮想通貨であろうと思っています。
 
当社が目指しているのは、『いつでも、どこでも、世界中の投資商品に投資できる世界』で、その実現には仮想通貨やブロックチェーンなどのテクノロジーの活用は必須であると考えています。
 
今はまだ仮想通貨の利用は、価格上昇を期待した仮想通貨の売買に集中していますが、今後、仮想通貨の流動性が高まっていくと、決済シーンでの利用も増加していくでしょう。
 
そうなると、仮想通貨の持つ可能性がもっと広がると考えています。特にクロスボーダー取引においては、仮想通貨は非常に便利だと思います。例えば、ビットコイン建ての海外不動産ファンドへの投資など、仮想通貨によって、国境をまたいだ取引の利便性は飛躍的に高まる可能性を秘めていると思います。
 

—— 仮想通貨については、2018年に入って価格が下落し、仮想通貨交換業者のセキュリティーや管理体制の強化の必要性が指摘されています。今後、仮想通貨業界はどうなっていくと思いますか?

まず、金融機関として何よりも一番大切なことは、お客様の資産を守ること、セキュリティーです。
 
今、金融庁や仮想通貨交換業者など業界全体がその強化に向けて力を尽くしているということは、今後の業界の発展にとって非常に重要なことだと思っています。
 
今般、新しい業界団体が設立されましたが、GMOコインもその一員として、投資家保護の観点で必要となる自主規制等の整備に尽力し、安心安全にお取引いただけるようにしていくことで、業界に対する信頼を高め、仮想通貨の利用拡大につなげていきたいと考えています。
 
FX業界も黎明(れいめい)期は同様の課題があり、それを乗り越え成長してきました。仮想通貨交換業界も、業界が一体となって乗り越えていけると信じています。
 

—— 仮想通貨に限らず、フィンテックをどう捉えていますか?フィンテックの進化によって、人々の生活は今後どう変わっていくと思いますか?

私自身は、テクノロジーとは、人々の生活が便利になる、豊かになる、幸せになるために使われるべきものであるということを肝に銘じています。
 
つまり、テクノロジーは手段であって、ユーザーにとってのベネフィットそのものではないということを忘れてはいけない。大事なのは、そのサービスを利用することで一体何が解決されるのか、ユーザーがどのようなベネフィットを得られるのかという目的だということです。
 
では、テクノロジーが生み出してきたベネフィットは何かというと、大きくは「制約からの解放」です。
 
例えば、自動洗濯機などの家電製品は、家事の「時間」から人々を解放し、携帯電話は、いつでもどこでも通話ができるという「時間」と「場所」の制約を超えた利便性を実現しました。
 
世の中に広く受け入れられてきたサービスとは、制約からの解放に加えて、コストメリットを享受できるサービスなのです。つまり、便利で安いサービスです。
 
金融の分野でも、インターネットやスマホの登場によって、証券や銀行などのサービスの利用において、「場所」からの解放が進みました。次は「時間」からの解放です。
 
FX取引は24時間、仮想通貨は24時間365日取引が可能であるように、その他の投資商品や多くの金融サービスはいつでも取引できるようになっていくと思います。
 
また、AIなどの活用によって、知識や経験がなくても投資ができるようになり、興味関心やライフスタイルに合わせてパーソナライズされた質の高い金融サービスを低コストで利用できるようになっていくでしょう。
 
その他にも大きな変化の流れとしては、人と人、人と企業が直接ネットワークでつながる金融の時代が到来しつつあることです。投資をしたい個人と資金調達をしたい企業を直接結びつけるソーシャルレンディングやICOなどはその一例です。
 

—— GMOクリック証券では、2017年1月にVRを用いたFXのツール(GMO-FX VRトレード)をリリースされていますが、ユーザーの活用状況はいかがでしょうか?また、今後、金融においてVRの活用にはどのような可能性があると考えていますか?

「GMO-FX VR トレード」は、スマホ装着型VRゴーグルをつけると、目の前に立体的なディーリングルームが広がり、目線を動かすだけでチャート操作やFXの注文までできるというもので、おそらく金融取引ができる世界初のアプリだと思います。
 
新しい技術は試してみないと分からないので、経験値を高める意味で開発しました。当初は利用する人は少ないだろうと思い、リリースから一定期間経過後には提供を終了する予定でしたが、思いのほか利用者がいて、今もサービス提供を続けています。
 
VRは、今後、オンラインでありながら対面さながらのサービスを提供していく手段として、例えば、投資商品や保険などの相談窓口としての活用可能性があると思っています。
 

—— 今後の金融業界はどのように変化していくと思いますか?

人工知能(AI)やロボットによって、多くの業務は自動化されていくと予測されていますが、金融業界もその例外ではありません。
 
金融機関はスリム化され、こうした中で、勝ち残っていくのは、「ユーザーにとってのベネフィットは何か?」ということを徹底して考え抜き、思い描く未来に向かって、創造力を結集して新たな金融サービスを創造していくことのできる企業であると思います。
 
結局、AIになくて人間だけが持っているもの、「こういう未来にしたい!」というWillと創造性の勝負の時代になるのではないでしょうか。
 
金融機関は、いわゆる「頭脳明晰(めいせき)」な人材を集めてきましたが、当社は「自分の頭で考える人」かつ「思いやりがある人」を採用しています。
 
それも、金融業界のこうした未来を見据えているからです。テクノロジーが発達していくことで、世界を無機質で温かみを失ったものにしてはいけない。だからこそ、より「人間性」を大事にしていきたいと思っています。
 
GMOフィナンシャルホールディングス株式会社
https://www.gmofh.com/
 
interviewer : FINANCIAL FIELD編集部

FINANCIAL FIELD編集部

interviewer:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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