更新日: 2021.06.21 子育て
私立中学の学習費は公立の約3倍 期間限定の補助金をもらうには
この事業の背景と概要についてお伝えします。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
私立小中学校の教育費の実態
文部科学省「平成26年度子供の学習費調査」によると、私立小学校の学習費総額(年額)は約153万6千円で、公立小学校の4.8倍となっています。このうち学校教育費は約88万6千円で、内訳を見ると、授業料の約46万9千円が最も高く、次いで、入学金等が含まれる学校納付金等の約23万1千円、通学関係費の約9万円、修学旅行費・遠足・見学費の約4万3千円などとなっています。
特に、塾や習い事などの学校外活動費が約60万4千円と突出しています。よほど経済的に余裕がないと私立小学校に通うのは厳しいことがわかります。
一方、私立中学校の学習費総額(年額)は約133万9千円で、公立中学校の2.8倍となっています。このうち学校教育費は約102万2千円で、内訳を見ると、授業料の約43万6千円が最も高く、次いで、入学金等が含まれる学校納付金等の28万1千円、通学関係費の約13万9千円、修学旅行・遠足・見学費の約6万4千円などとなっています。学校外活動費は、約31万2千円と、私立小学校と違い、公立中学校とほとんど差がありません。
出所:文部科学省「平成26年度子供の学習費調査」
※1 授業料、学校納付金等(入学金、寄付金、学校の施設設備費、後援会費、PTA会費など)、修学旅行・遠足・見学費、通学関係費、図書学用品・実習教材費等、教科外活動費、その他
※2 補助学習費(学習塾費、家庭内学習費、家庭教師費等)、芸術文化活動、スポーツ・レクリエーション、体験活動・地域活動、教養・その他
私立小中学校等に通う生徒への経済的支援に関する実証事業
文部科学省は平成29年から、私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関し、年収400万円未満の世帯の児童生徒について、授業料負担の軽減を行いつつ、義務教育において私立学校を選択している理由や家庭の経済状況などについて実態を把握するための調査を開始しました。
年収400万円は、父母の両方が働き、高校生以上の子供がいない場合の目安であり、家族の状況により、この年収額は変わります。対象となるためには、保護者等の課税証明書(市町村役場、出張所等で発行)の市町村民税の所得割額が、 10万2,300円未満であることが必要です。
法律で国及び地方公共団体は、能力があるにも関わらず、経済的な理由によって修学が困難な者にたいして、奨学の措置を講じなければならないとされています。
私立学校も「公の性質」を有する学校として、公立学校とともに義務教育の一翼を担っています。国公立の小中学校の授業料が無償なのに対して、私立小学校の授業料(年額)は約46万9千円、私立中学校の授業料(年額)は約43万6千円と、家庭の経済的負担が大きいことが調査の背景にあります。
保護者が調査に協力し、学校に調査票等を提出し、授業料支援の申請をすると、年額10万円が支給されます。ただし、現金で支給されるのではなく、学校が代理受領し、授業料が減額されます。授業料等の金額が10万円を下回る場合、授業料等相当額までの支援となります。実施期間は平成29年~平成33年の5年間です。平成29年は、平成29年7月1日現在、私立の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校(前期課程)、特別支援学校(小学部、中学部)に通っている児童生徒が対象です。
該当する方は活用してみてはいかがでしょうか。
※私立小中学校等修学支援実証事業費補助金の問合せ先
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shugaku/detail/1385557.htm
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。
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