2018.01.13暮らし

「臭い・汚い・ダサい」喫煙者受難の時代 禁煙の価値をお金に換算、いくらになる?

Text : 岩永 真理

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近年、駅やレストラン、ビジネス街など、各所で禁煙区域が広がっています。喫煙場所は、限定的になるばかりか、その範囲も年々縮小しており、愛煙家の方々には暮らしにくい世の中になっています。この傾向は日本だけではなく、全世界的な潮流です。

ニューヨークやシンガポールのレストランでは、すべて全面禁煙です。タバコは明らかに健康を害すること、また自ら吸っていなくても喫煙者の煙を吸い込むだけの受動喫煙の悪影響なども知られているため、今後もこの潮流は強まるとものと考えられます。愛煙家の皆様がいっそのこと禁煙をすると、どのような効果があり、その価値はいかほどなのでしょうか。

タバコそのものの価格

紙巻タバコの場合、JTが扱う商品は1箱10本入りで230円、20本入りだと460円程度です。海外と比較すると、ニューヨークでは、マルボロ1箱14ドル(約1,600円)、シンガポールでは、マルボロ1箱13シンガポールドル(約1,100円)など、日本はこれらの国々と比較をすれば安いと言えるのかもしれません。
 
しかし一日230円吸う場合は、30日で6,900円、半年で41,400円、一年で82,800円と見過ごすことができない金額になります。タバコの価格が高い国に住んでいれば、更にかなりの額を喫煙に投じていることになります。
 

喫煙者は減少傾向、今後も禁煙推進方向へ

 


 
厚生労働省国民健康栄養調査によれば、現在習慣的に喫煙している成人の割合(成人喫煙率)は、19.3%で、うち男性32.2%、女性8.2%、男女ともに10年間で減少傾向にあることが、上図からわかります。2012年6月に策定された厚生労働省の「がん対策推進基本計画」では、「2022年度までに成人喫煙率を12%とすること」が掲げられましたので、今後も更なる禁煙方向へと導かれることになります。
 

怖いのは肺がんだけではない

専門家の調査では、たばこを吸う人の肺がん発生率は、吸わない人に比べて、男性では4.5倍、女性では4.2倍高くなります。
 
更に、喫煙との因果関係は肺がんだけに留まりません。国立がんセンター 情報サービスセンターでは、「肺、口腔・咽頭、喉頭、鼻腔(びくう)・副鼻腔、食道、胃、肝臓、膵臓、膀胱および子宮頸(けい)部のがんについて、科学的根拠から喫煙とがんの因果関係が明らかになっている」としています。
 
同センターは、がんを予防するためには、たばこを吸わないことが最も効果的であるとしています。
 

がん治療が招く多くの負担

がんになった場合の医療費は、実際いくらかかるのか、気になるところです。病院や地域、病気の進行具合によって異なりますが、あくまで目安として厚生労働省「医療給付実態調査 平成27年度」を参考にすると、肺がん等による一回あたりの入院を含む治療費平均額は64万円で、健康保険3割負担の場合20万円程度です。
 
高額療養費制度を利用すれば、実際の一月の負担額は一般所得者だと9万円程度(健康保険適用のものに限る)になります。
 
ただし、病状次第では、抗ガン治療や放射線治療を行い治療が長期にわたるため、その分費用もかかります。先進医療を受ければ、健康保険の対象外になり高額になる可能性があります。
 
経済的な負担もさることながら、治療が長期に及べば、本人はもちろん、家族にとっても闘病生活による肉体的・精神的な負担は大きいでしょう。
 

禁煙外来はいくらかかるか

禁煙外来はニコチン依存症の治療ですので、健康保険が適用できます。健康保険3割負担の人は、使用する薬にもよりますが、約3ヶ月の治療スケジュールで、1万3,000円~2万円程度のようです。これは、タバコ1箱(460円)吸う人のおよそ1月~1.5か月分に相当します。
 
愛煙家にとって禁煙はつらい治療かもしれませんが、がん治療と比較すれば、費用的にも肉体的・精神的にも負担が少ないといえます。家計改善のみならず、家族の幸せにつながる可能性があり、検討の価値は想像以上に大きいかもしれません。
 
Text:岩永 真理 (いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
http://www.iwanaga-mari-fp.jp/

岩永 真理

Text:岩永 真理(いわなが まり)

一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表

横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/