最終更新日: 2019.01.10 公開日: 2018.04.28
暮らし

2022年問題って?都会のど真ん中にある「生産緑地」が、格好のビジネスチャンスに!?

執筆者 : 高橋庸夫

都市部の駅から程近い住宅地のど真ん中に突然大きな畑があり、不思議に思ったことはないでしょうか?
 
これらの多くは「生産緑地地区」と呼ばれる1974年に公布された生産緑地法に基づく土地です。
 
生産緑地制度が適用されたのは首都圏・近畿圏・中部圏内などの政令指定都市の市街化地域で、土地の固定資産税は農地並みに軽減され、また相続税の納税猶予が受けられるメリットがありました。
 
ただし、いったん生産緑地の指定を受けると建築物を建てるなどの行為が制限され、農地として使用し続ける縛りがあります。
 
高橋庸夫

Text:

Text:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

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高橋庸夫

執筆者:

Text:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

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東京都だけで約3300ヘクタール

東京都23区では、練馬区(約190ヘクタール)、世田谷区(約95ヘクタール)が最も大きく、三鷹市、国分寺市など近郊にもおのおの100ヘクタール前後の生産緑地が存在します。
 
全国では、約1万3000ヘクタール(東京ドーム約2766個分)の生産緑地があるといわれています。三大都市圏での総面積は、工場跡地や造成地など1年間に新たに宅地として供給される土地の約4倍の規模にのぼると推計されています。

2022年に30年の農業縛りが解除!

生産緑地のうち約80%は、生産緑地法が改正された1992年に指定されており、原則30年間は農地のままとすることが条件とされてきました。そして、その農業の縛りがなくなるのが30年目となる2022年なのです。
 
生産緑地の指定から30年が経過すると、所有者が農業を続ける意志がない場合、市区町村の農業委員会に土地の買い取りを申し出ることが可能となります。
 
法律では、市区町村は特別な事情がない限り時価で買い取らなければならないと定めていますが、主に財政難という理由から今まで買い取るケースはほとんどありませんでした。
 
市区町村が買い取らない場合には買い手を探すこととなりますが、生産緑地として買う人(つまり農業を続ける人)がいなければ、この生産緑地の指定が解除されます。指定が解除されることで、これまで農地評価として軽減されていた固定資産税が一気に跳ね上がります。
 
生産緑地の所有者は高齢者が多く、農業を継続できないケースも多いのが現状です。そのため、土地の維持ができず、売却などで一斉に手放す所有者が続出する可能性があります。
 
これを大きなビジネスチャンスとして虎視眈々と狙っているのが、マンションデベロッパーやハウスメーカーなどです。
 
もちろん、すべての生産緑地が一斉に解除されることはないですし、実際には道路用地も必要となるため宅地の有効面積はもう少し小さくなりますが、もし、この土地に新築一戸建てが建築されれば、東京都だけでも23万戸以上の戸建て住宅が供給されることになります。
 
また、これがアパートやマンションなどの集合住宅であれば、賃貸物件の供給戸数が一気に増えることとなり、需給バランスが大きくゆがめられることも想定されます。
 

今後の税制や法改正にも注視!

まとまった土地が売りに出され、建売住宅や賃貸アパートが建てられることで住宅市場の供給が過剰となり、周辺の地価や家賃相場が下がってしまう、これが関係者が予想する2022年問題のメカニズムです。
 
税制上では、固定資産税のほかに、過去にさかのぼって納税猶予を受けていた相続税は金利分を含めて支払う義務が発生します。こちらも負担が重く、土地を手放しにくくしている要因のひとつです。
 
東京都のアンケートによると、相続税の納税猶予を受けた地主は、全体の6割にものぼるといわれています。このケースでは、17年の法改正で決まった10年間の指定延長制度を選ばざるを得ないとみられ、当面は宅地にはならないと思われます。
 
一方、早期に農業に見切りをつけそうなのは残る4割の地主の一部となります。しかし、農業を継ぐ後継者がいれば指定を延長する選択肢もありますが、アンケートによると実際に後継者がいるのは35%程度しかおらず、残りの65%は後継者がいないか未定のままの状況です。
 
農業を続けることができなければ、土地を手放すしかなく、宅地に変わる可能性が高くなります。
 
さて、これからマイホームを買ったり、空き家を売ったりする人は2022年問題をどうとらえればいいのでしょうか?生産緑地をめぐっては2022年以降の税制が一部固まっていないうえ、賃貸しやすいよう法改正がなされる見通しもあり、多くの地主は方針を決めかねている状況です。
 
宅地化の規模は現状では正確に測りにくいと思われますが、これから不動産を売買する可能性がある人は、リスクのひとつとして注視しておきたいところです。
 
Text:高橋 庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー,住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士



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