更新日: 2019.01.11 その他暮らし

購入後の修繕積立費や管理費問題…自分の老後と一緒に考える、マンションの20年後

執筆者 : 宮﨑真紀子

購入後の修繕積立費や管理費問題…自分の老後と一緒に考える、マンションの20年後
マンションを購入するとき、一括で支払う人は少数派です。1番気になるのは住宅ローンの返済ですが、毎月支払う費用はほかにも修繕積立費とマンション管理費があります。
 
今回は、購入したマンションの20年後を考えます。
宮﨑真紀子

Text:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

ずっと住み続けるための修繕積立金

多くのマンションで修繕積立金が不足して、大規模修繕ができない状況が問題となっています。長期的な修繕計画が不十分であったために、積立金が不足して工事ができない例が多いといいます。
 
資金不足に陥ったからといっても、マンションの老朽化とともに住人も高齢になり、積立金額を増やすことや一時金を徴収することは難しいのが現実です。住戸数が多い物件では、工事が大掛かりになるだけでなく、住民の意見を集約することも大変です。
 
先日テレビで見た例は5階建ての物件でした。エレベーターがないので、最上階に住む高齢者は一苦労です。エレベーターを設置するには、相当の費用が掛かります。その負担を全員で出し合うとなれば、1階の人は納得しないのではないでしょうか。老朽化して建て替えとなると、なおいっそう難しくなります。
 
マンションを購入したら、住居に関しては安心だと思い込んでしまいがちですが、自分の住むマンションの修繕計画や積立金がどうなっているか、確認しておくことをお勧めします。
  

安心して暮らすための管理費

昨今の人手不足の影響で、マンション管理費が上昇しています。東京カンテイの調査によると、2017年に首都圏で分譲された新築マンション管理費の平均は70平方メートルの住戸で1万6848円、これは前年に比べて6%上昇し、過去最高値だそうです。
 
マンションの管理が、行き届いているか否かは重要です。清掃や植栽の手入れができていないと、外観がよくないだけでなく防犯上も不安です。ゴミ出しのルールが散漫、電球が交換されていない、となると資産価値も下がってしまいます。
 
こういったことが理由で空き室になるケースもありますので、投資用物件では大きな問題です。自分の住むマンションとしては、気持ちよく暮らすためにきれいであって欲しいものです。
 
管理会社に経費を節約する努力をして欲しいですが、質を下げて欲しくはありませんから、将来の値上げは視野に入れなければなりません。
 
某マンションは最寄り駅から徒歩3分の好立地にあります。分譲されてから20年が経ちました。住環境がよいことから当時の物件価格は高めで、購入者の中心は30~50歳代でした。つまり現在は住人のほとんどが50~70歳代になっています。
 
好立地が故に高齢化とともに車を手放す人が増え、部屋は満室なのにマンション内の駐車場は空きが目立つようになりました。この駐車場の収支状況の悪化はマンションの管理費にも影響し、このまま改善されなければ管理費の値上げを検討することになるそうです。
 
20年経つとライフスタイルが変わり、当初予想しなかった問題が起こることもあります。
 
住宅ローンを完済すれば、あとは楽に暮らせると考え、計画するのが一般的です。しかし、マンションの修繕積立費や管理費は、ローン完済後もかかることを念頭に置き、これらが増える可能性を見込んでおくと安心できると思います。
 
Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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