副業とフリーランス、年収はどちらがいいの? 労働時間は?
配信日: 2018.06.10 更新日: 2019.01.08
「いやいや、いきなりリスクを負うより、まずは副業で小さくはじめていこう」と思う人もいるでしょうね。
もちろん、フリーランスの人たち、本業で稼ぎながら副業で稼いでいる人たち、いったいどちらの年収が高いのでしょうか?
Text:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家
明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。
副業をしている人やフリーランスの年収はどうなの?
国が発表した『「多様で柔軟な働き方」の実態について (各種調査まとめ)』(2017年3月 経済産業省)という統計資料があります。
この中の『「柔軟な働き方」の年収、労働時間』(9P)では、「雇用関係なし(=フリーランス)」「雇用関係あり×雇用関係なし(=本業があって副業にも従事)」の年収と労働時間について比較しています。
(注)同資料には「兼業」の調査結果も紹介していますがここでは省略します。また、ここでは「フリーランス」「本業+副業」とわかりやすく言い換えます。
同ページのグラフを「フリーランス(主たる生計者)」「本業+副業」の数字に絞って、こちらで再作成した表が次の図1です。「主たる生計者」とは、フリーとして家計を支えている人のことです。
単純に年収を合算していくと、年収600万円以上の人は「フリーランス(主たる生計者)」が26%、「本業+副業」の人は28%です。他の数字を比較しても、ほとんど同じですね。
これが、一般のビジネスパーソンと比べてどうなのか? 同資料では、「一般の雇用者」のデータを比較としてあげています。年収600万円以上の数字を合算すると10%。
ただし、このデータ自体が年収600万円以上999万円以下を合算していて、ちょっと比較しづらい表になっています。また、非常に低い年収も多いので「雇用者」というとらえ方がとても幅広く、参考程度に見るという姿勢にとどめておきたいです。
それでも、「フリーランス(主たる生計者)」「本業+副業」の人の方が、「雇用者全体」より年収は高めだと見て取れるのではないでしょうか。
副業をしている人やフリーランスの労働時間は長いの?
「副業をしている人やフリーランスの人たちは長く働いているんだから年収が上がって当然じゃないか?」とも考えられます。同資料には「週労働時間」についても記載してあります。そこから図2を作りました。
単純にこの図を見ると、「フリーランスの人は労働時間が短めじゃん!」と言ってしまいそうですが、よくみると「フリーランス(全体)」となっています。
つまり生計者じゃない人も入れているので、短めの労働時間になったのではないでしょうか。筆者の推測ですが、もう少し長いのではないかと思います。
それよりも注目すべきは「本業+副業」の人が、普通の働き手とそんなに労働時間が変わらない、むしろ短いことです。
この統計資料をそのまま信用すると、「副業をやっている人は時間をうまく使い、あるいは本業の会社の理解を得て、そんなに労働時間を長くしていないのではないか?」という仮説が立てられます。
「副業を行うと、時間の使い方を工夫するようになる」という話は筆者のまわりでよく聞きます。副業をしている人、フリーランスで働く人は、より時間の使い方がうまくなるのかもしれません。
Text:藤木 俊明(ふじき としあき)
明治大学リバティアカデミー講師・副業評論家