2018.07.09 暮らし

派遣社員には死活問題?~復帰を前提として育休・産休を取得したら事業所抵触日はどうなるの~

Text : 柘植輝

2015年9月30日、改正された労働者派遣法により、原則として同一の事業所において、3年を超える期間、継続して派遣社員を受け入れてはならない。との制限が定められました。
 
では、この期間に派遣社員が復帰を前提とした育休・産休により、一時的に派遣先を離れるとしたら、どうなるでしょうか。
 
その期間も3年の期間としてカウントされてしまい、派遣先へ戻ることができなくなってしまうのでしょうか。
 

そもそも事業所抵触日とは

冒頭で述べたように2015年9月30日以降、同一の事業所において派遣社員を受け入れることができる期間は、一定の例外を除き、原則3年までとされています。
 
この期間制限の到来する日を、「事業所抵触日」といいます。
 
事業所抵触日は事業所全体で考えるという点で、個人単位の抵触日と異なります。
 
例えば、これまで派遣社員を受け入れていなかったA事業所において、派遣社員のBさんを2016年10月1日から受け入れたとします。その場合、A事業所の抵触日は2019年10月1日に到来します。
 
この条件のもと、A事業所にてCさんを2018年10月1日に受け入れたとします。
 
すると、BさんもCさんも、事業所単位の抵触日は同じ2019年10月1日となるのです。
 
また、事業所単位の抵触日にはクーリング期間が設定されています。
 
事業所において、派遣社員を一人も受け入れていない期間が継続して3カ月を超えることで、事業所抵触日はリセットされ、次に派遣社員を受け入れたときは新たに抵触日のカウントがスタートします。
 
では、これらの基礎知識をもとに、具体的な事例で検討していきましょう。
 

復帰を前提に育休・産休を取得したBさん

Bさんは2016年10月1日に、A事業所において派遣社員として就業を開始しました。(これまでA事業所に派遣社員は存在しなかったものとします。)
 
その後、2018年10月1日から2019年9月30日までの1年間、復帰を前提に育休と産休を取得したと仮定しましょう。すると、Bさんが復帰する日である2019年10月1日は、事業所単位の抵触日が到来しています。
 
この場合、Bさんは派遣先へ復帰することができるのでしょうか。
 
A事業所に派遣社員であるCさんが存在する場合と、しない場合とで、分けて解説していきます。
 

A事業所に派遣社員のCさんが存在しない場合

この場合、BさんはA事業所へ復帰することができます。
 
なぜなら、Bさんが育休・産休にて派遣先を離れている間、A事業所には派遣社員が存在せず、3カ月を超える期間が経過しているからです。
 
それにより、事業所単位の抵触日はリセットされ、Bさんが派遣先に復帰したときから新たに3年間のカウントが進行します。
 
つまり、2019年に10月1日にBさんが復帰したとすると、次の抵触日は2022年10月1日に訪れることとなります。
 

同じ事業所に派遣社員のCさんの存在する場合

では、Bさんと同じく2016年10月1日に就業を開始し、その後2019年9月1日に退職したCさんという派遣社員がA事業所に存在すると仮定します。
 
この場合、Bさんは派遣先に復帰することはできません。
 
なぜなら、Bさんが復帰する2019年10月1日にはA事業所において事業所抵触日を迎えており、かつ、Bさんが育休・産休でA事業所を離れている間においても、Cさんは就業を続けており、クーリング期間が適用されないからです。
 
そのような理由から「Bさんは派遣先に復帰することはできない」という結論が導かれます。
 

事業所抵触日は事業所全体で考えます

派遣社員のうち一人が事業所を離れたとしても、他の派遣社員がその事業所において就業を続けている限り、事業所抵触日はカウントを続けます。
 
そして、事業所抵触日はその事業所に就業する派遣社員全員に等しく適用されます。
 
また、育休や産休などで復帰を前提に一時離れているだけであっても、3カ月を超える期間事業所内に派遣社員が存在しない場合、事業所抵触日はリセットされることとなります。
 
少々複雑な仕組みではありますが、派遣社員として働き続けるのであれば事業所抵触日について充分に理解しておく必要があるでしょう。
 
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー

柘植輝

Text:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士・2級ファイナンシャルプランナー

大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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