日本在住の外国人が増えてるが、本当に外国人犯罪は増加しているのか?
配信日: 2018.07.13 更新日: 2019.08.30
既に日本には223万人以上の外国人が居住しています。現状での外国人犯罪の様子をみていきたいと思います。
執筆者:佐野誠(さの まこと)
ACROSEEDグループ 代表・行政書士
行政書士法人、社会保険労務士法人、税理士法人を併設したACROSEEDグループを設立し、外国人向け法務サービスを提供しています。
外国人やそれに関わる人々に”信頼と安心”のプロフェッショナルサービスを提供し、日本社会の調和と活力あるグローバル化に貢献しています。
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外国人犯罪の現状
外国人犯罪に関しては、警視庁刑事局組織犯罪対策部が「来日外国人犯罪の検挙状況」(平成28年3月)という資料にまとめています。
それによると平成17年に約4万8000件の検挙があった時がピークで、その後は減少し、平成24年以降は1万4000件程度で横ばいとなっています。
在留外国人の人数が確実に増加している状況で検挙率が横ばいということは、実質的には犯罪が減っていることが想定されます。(もちろん、犯罪は増加しているが検挙できていない可能性も考えられますが、ここは日本の警察の優秀さを信じたいところです。)
日本人と外国人の検挙割合
それでは日本人と外国人の検挙の割合はどうなっているのでしょうか?これについては以下のようなデータがあります。
青いラインは刑法犯で検挙された件数の中で、外国人による犯罪の件数の割合を示しています。同様に、赤のラインは、検挙された人数中の外国人が占める人数の割合を示したものです。
これをみても平成17年がピークとなり、平成22年ごろからは横ばいとなっています。
過去5年程度では外国人犯罪の検挙割合は2.6%程度が続いており、日本全体の検挙数が100件とすると、そのうちの2~3件が外国人による犯罪ということになります。
犯罪はもちろんあってはならないことですが、日本全体の割合から考えると外国人犯罪の割合はごくわずかと言えるのではないでしょうか。
外国人犯罪の具体例と助長行為
外国人犯罪と一言にいってもその内容は多種多様です。具体的には、強盗、クレジットカードの不正利用、詐欺、組織化された万引き、地下銀行、自動車窃盗、マネーロンダリング、薬物密輸などがあげられています。
当然、外国人が単独で行ったケース、それに日本人が関与しているケースも含まれています。
また、これとは別に不法就労の助長、偽装結婚、パスポートや在留カードの偽造など、犯罪を助長したり容易にする行為も見受けられます。
この中の検挙件数で最多となるのは不法就労助長罪で、平成23年から27年まで連続で最多となり、27年には総検挙数733件中370件を占めています。
ここでも日本人経営者が不法就労をさせるケースと、外国人経営者が行うケースが含まれています。
来日外国人の増加により犯罪の増加を懸念する声がありますが、実際の数字で捉えてみるとどうでしょうか。これを多いと捉えるか、少ないと捉えるかは人により異なりますが、今後は日本に住む外国人数が増加することは確実です。
その環境の中で外国人による犯罪を減らすためには、就労へのスムーズな移行、地域社会との交流、教育制度や福祉インフラの整備などが求められ、外国人が日本社会で問題なく生活できる環境づくりが重要となります。
国や行政による役割が大部分を占める部分ですが、民間企業や地域住民でも取り組めることもたくさんあり、私たち一人一人が意識をもって行動することが求められています。
Text:佐野 誠(さの まこと)
ACROSEEDグループ 代表・行政書士