更新日: 2019.01.10 その他暮らし

数字で見るとはっきりわかる!10年間の自動車コスト、保有とシェアリングどっちがかかる?

執筆者 : 高橋庸夫

数字で見るとはっきりわかる!10年間の自動車コスト、保有とシェアリングどっちがかかる?
「若者の車離れ」、「高齢者の誤操作事故の増加」など、自動車を取り巻く環境も、時代と共に変化してきています。
 
鉄道などの交通網が発達している都市部を中心として、ペーパードライバーとまではいかなくても、「車をそんなに利用しない人」が増えているのかもしれません。
 
高橋庸夫

Text:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

自家用車からカーシェアリングに替えてみた筆者

かくいう私も、自家用車の利用が土日の買い物やお出掛けなどに限定されてきたことから、約1年前に自家用車を売却し、カーシェアリングに切り替えました。
 
住まいは東京23区内のマンションですが、自宅から徒歩2分程度のところにカーシェアリングのステーションが2カ所あります。24時間365日好きな時に、短時間(最短10分から)でも利用でき、予約やキャンセルはスマホからという抜群の利便性です。特にこれといった不便さもなく生活できています。
 
さらに、大きな違いは維持コストです。東京都内のマンションに住む30歳の方を想定して、向こう10年間自家用車を保有した場合の維持コストと、カーシェアリングを利用した場合のコストをシミュレーションしてみましょう。
 

並べてみるとこんなにもある自家用車保有の維持コスト

ベンツ、BⅯWなどの高級車ではなく、私を含めた一般的な庶民を想定し、トヨタのヴィッツ(1800cc)ぐらいのコンパクトカーの所有を想定します。1年目に250万円で購入し、10年間我慢して乗り続け、10年目で250万円で買い替えたとします。
 
(1)車両購入費 500万円(1年目に250万円、10年目に250万円)
(2)駐車場代 24万円/年、10年で240万円(月2万円で試算、少し安めですが・・)
(3)ガソリン代 6万円/年、10年で60万円(月5000円で試算、これも安めですが・・)
(4)自動車税 3万9500円/年、10年で39万5000円
(5)車検代(自賠責、重量税、印紙代)12万円、10年で48万円(3年目、以降2年ごと)
(6)自動車任意保険(30歳以上補償)4万4000円、10年で逓減し39万5000円
 
ざっと、上記の①~⑥を合計すると10年間で927万円となります。この他にも不測の事態が起これば、修理費用やオイル交換、洗車費用なども掛かってきます。ご覧の通り、少々控えめの試算として、10年で少なくとも927万円の維持コストが掛かることになります。
 

カーシェアリングの場合のコスト

業界最大手で全国9000カ所のカーステーションを保有するT社の料金体系を参考とすると、月額基本料金が1030円で、使用料はガソリン代と保険料込みで15分206円となっています。また、1030円の無料利用分があるので、基本料金と相殺され、実質的には、実際に利用した分の利用料のみの請求となります。さらに、6時間、12時間などのお得な長時間利用パック料金なども利用できます。
 
仮に、土日の利用で週2日間、6時間ずつ利用した場合、6時間パック(4020円)×2日間×4週=3万2160円/月と試算されます。1年間では約38万6000円、10年間の利用コストは約386万円となります。
  
以上のシミュレーション結果で単純比較すると、自家用車を10年間保有した場合の維持コストが927万円、カーシェアリングの場合の利用コストが386万円。差額は、実に541万円となります。駐車場の利用有無や都市部以外の地方に居住している場合など、このシミュレーション結果をそのまま利用できないケースも多々ありますが、10年単位で考えると、これほどまでに自動車の保有維持コストが家計の支出増加要因となっていることに驚かされます。
 

カーシェアリング利用者として

昨今では、「シェアオフィス」、「シェアハウス」、「シェアサイクル」などなど、あらゆるものが「シェア」されている時代です。
 
シェアは単にレンタルするということではなく、会員登録されたメンバーの中で、他のメンバーが利用していない時に、利用を希望するメンバーが手を挙げ、利用します。ひとつのものを無駄なく、より有効に活用しようという仕組みです。
 
自動車を例に挙げれば、メーカーにとっては販売台数の低下につながる由々しき事態なのかもしれません。しかし、わが国全体のことを考えれば、これから本格的に到来する少子高齢化、人口減少の時代においては、極めて有効な経済活動のひとつなのかもしれません。
 
また、これからの時代は、現代の私たちには思いも寄らない「シェア○○」が続々と登場してくる時代となるのかもしれませんね。
 
Text:高橋 庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー,住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士