更新日: 2019.05.17 その他暮らし
もしも病気やケガで会社を休んだ場合の傷病手当金を知ってますか?意外に助かりますよ!
Text:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
傷病手当金とは?
フルタイムあるいはその4分の3以上の勤務時間で勤務する人(一定の大企業勤務の場合は週20時間以上勤務する人)は、健康保険に加入します。
元気で健康のまま会社勤めを続けられれば良いのですが、もし業務外での病気やケガ、つまり私傷病が原因で療養することになり、出勤ができず給与が受けられない日がある場合、健康保険制度から傷病手当金が支給されます。
療養中の生活を保障するための給付であるといえますが、傷病手当金を受けるためには、4日以上休業していることが条件です。まず3日連続で仕事ができない状態が続き、その後の休業4日目から1日単位で支給されることになります。
傷病手当金の計算方法は?
その傷病手当金の額ですが、1年以上会社に継続勤務して健康保険に加入した人については、傷病手当金を受け始める日以前の継続した12カ月間の各月の月給(標準報酬月額)の平均額を30で割り、その3分の2となります【図表1】。つまり、直近1年の日給の平均額の3分の2であるといえるでしょう。
もし、勤務期間が1年未満だった場合は、傷病手当金を受け始める日以前の継続した各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1、もしくは前年度の9月30日時点で、加入している健康保険の全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額(全国健康保険協会の健康保険の場合は28万円)の30分の1、どちらか低い額に3分の2を掛けた金額となります。
傷病手当金が受けられる期間
傷病手当金が受け取れる期間は最大1年6カ月になります。
もし、受け始めて1年6カ月が経過する前に退職した場合、退職の日までに1年以上継続勤務して健康保険に加入し、すでに傷病手当金を受けている場合などであれば、退職後であっても、受給開始から1年6カ月を経過するまで受け取ることもできます【図表2】。
傷病手当金は他の給付と調整される
ただし、傷病手当金は、他の給付を受けられる場合については受給が調整されます。例えば公的年金制度から老齢年金、障害年金を受けている場合は、年金の額(年額を360で割った額)を超える部分の差額分のみの傷病手当金が支給されることとなります。
また、同じ健康保険から出産による出産手当金が支給される場合も、出産手当金が優先され、傷病手当金は出産手当金より多い場合にその差額分のみが支給されることになります。
Text:井内 義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー