更新日: 2019.01.10 その他暮らし

話題の民泊。新法施行によって新しいビジネスチャンスとなりえるのか?

執筆者 : 菊原浩司

話題の民泊。新法施行によって新しいビジネスチャンスとなりえるのか?
2018年6月15日に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)では、個人・法人を問わず都道府県知事に一定の届け出を行えば、住宅宿泊事業いわゆる「民泊」を営むことができるようになりました。
 
民泊は世界的に見ても成長が期待される分野であり、欧米をはじめとした多くの国で盛んに行われています。しかし、日本においてシェアリングビジネスは普及しにくい傾向です。
 
また、住宅宿泊事業法施行により、多くの民泊物件が違法状態となってしまい、大手民泊仲介サ―ビスが宿泊の大量キャンセルをせざるを得ない状況となってしまいました。
 
日本における民泊事業は今後どうなっていくのでしょうか?
 
菊原浩司

Text:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

日本ならではの民泊のスタイル

欧米で一般的な民泊の形態は、アパートやマンションなどの区分所有物件を利用したものです。鉄骨鉄筋コンクリート造などで建物寿命の長い中古マンションを購入し、リフォームを行うことで投下資本に対して大きなリターンが期待できます。
 
しかし、日本においては民泊可能な区分所有物件はほぼ存在しません。これは法整備前に頻発した、脱法民泊業者と他の住民とのトラブルが原因となっています。
 
また、区分所有物件で民泊営業を行うと、宿泊客の出入りにより清掃業務が追加で必要になったり、エレベーターやロビーなどの共有部分の管理・修繕費が増加してしまいます。
 
マンション管理規約などに特段の定めがない場合、区分所有物件の管理費・修繕費は区分所有者全員で所有割合に応じて負担を担います。そのため、民泊を営んでいない住民からしてみれば、区分所有物件における民泊営業は著しく公平性を欠くと見なされるのです。
 
日本に欧米のスタイルをそのまま持ち込むのは、現状では難しいようです。
 
しかし、日本には賃貸などに使用されていない純粋な空き家が約320万戸存在しています。少子高齢化により相続した建物が空き家化するなどし、今後も空き家の増加が予想されています。日本の民泊事業の可能性は、まさにここにあると考えます。築年数の古い空き家は駅から近い良好な立地条件を有していたり、地方であっても旅行慣れしてきた観光客が宿泊する際の選択肢にもなりえます。
 
古さや田舎であるかは必ずしもデメリットとは言えないのです。法整備前の脱法民泊の隆盛を鑑みても、民泊物件のニーズはかなり大きいと考えられます。
 

公式サイトで申し込み

【PR】アイフル

aiful

おすすめポイント

WEB完結(郵送物一切なし)
・アイフルならご融資可能か、1秒で診断!
最短1時間でご融資も可能!(審査時間込)

融資上限額 金利 審査時間
最大800万円 3.0%~18.0% 1秒診断(※)
WEB完結 無利息期間 融資スピード
※融資まで 30日間 最短20分
※お申し込みの時間帯により翌日以降になる場合があります。
※診断結果は、入力いただいた情報に基づく簡易なものとなります。
 実際の審査では、当社規定によりご希望にそえない場合もあります。

民泊事業の現状と注意点

現在、民泊事業を開始する際は、自治体によって異なる添付書類の提出や消防設備や廃棄物処分などのチェックリストの作成、周辺住民への事前説明といった特別な対応が必要となっています。これが届出件数の減少に繋がっていますが、いざ民泊事業を営む場合はもっと大きな懸念点が存在します。
 
それは、不動産賃貸業を営んでいる場合、もしくは民泊のみで生計を立てているわけではないという場合、民泊事業の所得が「雑所得」に区分されることです。
 
雑所得は他の所得との損失の通算ができませんので、民泊事業単独で黒字化する必要があります。そうすると、今度は営業日の上限日数180日が重くのしかかってきます。民泊新法では罰則も強化されており、日数超過などの違反した場合は、6カ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方が課されてしまいます。
 
営業日数の上限は利用客の宿泊費に跳ね返ることになるので、従来の旅館業との価格・サービス面での競争力が大きく損なわれてしまうことになります。
 

民泊新法により新たに生まれたビジネス、住宅宿泊管理業とは

民泊新法では、従来は認められていなかった「家主不在型」の宿泊事業が可能となっています。ただし、それに伴い、住宅宿泊管理業者に物件の管理を委託し、苦情の処理や宿泊者の衛生確保など、住宅宿泊事業を適切に遂行することが必要となります。
 
民泊事業者は宿泊事業に必ずしも精通した人ばかりではありませんので、住宅宿泊管理業者となるには一定の実務経験や国家資格を有し、国土交通大臣への登録を行ってはじめて開業することが可能となっています。こうした経験や専門知識を活かして、民泊事業者と民泊利用者の円滑な滞在を推進することが望まれています。
 
住宅宿泊管理業は、従来の不動産業務の中には存在しないビジネスです。今後、民泊が普及すれば市場規模も併せて拡大していくため、法改正の恩恵を受けやすいポジションにあります。新法民泊のさらなる改善に、業界全体で努力していただきたいと願います。
 

まとめ

新法民泊は基本的には全国で展開することができ、「家主不在型」を認めるなど画期的な面もあります。しかし、税区分や営業上限日数の関係から、ビジネスとして行っていくには少々難しそうです。
 
民泊は観光客にとって便利なサービスであると同時に、増え続ける空き家対策にもなりえます。空き家は今後も増加が予想されていますから、それを活用できるという点は大きなメリットです。
 
これからの日本にさまざまな影響を与えると考えられる「民泊」。法改正など、今後の展開に注目していきたいですね。
 
Text:菊原浩司(きくはらこうじ)
FPオフィス Conserve&Investment代表
2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級