2018.08.05 暮らし

「まだ使えるのに」「いつか使うかも」 捨てられない呪縛から抜け出す方法とは?

執筆者 : 横山沙織

部屋を片付けようと思っても、「まだ使えるのに」「いつか使うかも」と、なかなか物が捨てられないことってありませんか?
 
“物を大切にする気持ち”と、“要らないものを捨てられない気持ち”は一緒ではありません。心の奥では『きっともう使わないだろう。』と分かっているのに、なかなか捨てられないのはどうして?抜け出す方法はないのでしょうか?
 

「捨てる気持ち」に待ったをかける、3つの心理

心のどこかで『きっと二度と使わないだろうな……。』と予感がしているにも関わらず、何となく捨てる気になれない。これ、実は不思議な現象ではないのです。私達の「捨てる気持ち」に待ったをかける「3つの心理」について知っておけば、引きずられる気持ちを冷静に受け止めることができますよ!
 

その① 損失回避性

損失回避性とは「人間は利益から得られる満足よりも、同額の損失から受ける苦痛の方を大きく感じることから、利益より損失を大きく評価する心理のこと」を言います。同じ金額でも感じ方に違いがあり、得るときのうれしさよりも失うときのダメージの方が大きく感じてしまうのです。
 
例えば同じ100円でも、もらったうれしさよりも100円を無くしたときのショックの方がより大きく感じてしまうということです。
 
この心理により、人間には損失を回避しようとする性質があるそうです。何かを捨てるという行為は損失そのものですよね。損失回避性という心理から考えれば、捨てるときの心のダメージを想像して、無意識にそれを避けようとしていても不思議ではありません。
 

その② 授かり効果

授かり効果とは「自分がすでに持っているものを高く評価してしまう心理のこと」を言います。一度自分の所有物にしてしまうと、同じ物でも所有していない場合に比べ、高い評価を付けてしまうのです。
 
授かり効果が起きる心理は、その①で説明した損失回避性が原因の1つと言われています。失うことによる損失を強く意識しすぎてしまう結果、自分がすでに持っているものを普段より高く評価してしまうのです。
 

その③ サンクコスト

サンクコストとは埋没費用とも言われるもので、「すでにかかってしまった費用のこと」です。サンクコストは、本来今後の選択に影響しないものであるにも関わらず、それを意識して判断に影響を及ぼす心理があります。
 
例えば、毎号パーツが付いてくる雑誌を買って何か趣味の物を組み立てていたとします。ですが、あなたはだんだんと飽き始めていて、もう止めてしまおうかと迷っているとしましょう。この場合、
 
◆このままパーツを集めて最後まで組み立てる場合のコスト
これまでのパーツにかかった費用+これからのパーツにかかる費用
 
◆止める場合のコスト
これまでのパーツにかかった費用+新しいことにかかる費用
 
となるので、冷静に比べてみると「これまでのパーツにかかった費用」はどちらの選択肢にも加算されるため、今後の判断には関係ないことが分かります。
 
けれどそうは思わず、『ここまで続けてきた〇〇円分のパーツがムダになってしまう。』という考えになってしまい、ずるずると止める決断ができなくなるのが、「サンクコストを意識してしまう心理」です。
 

捨てられない心理に惑わされず判断するための3つの方法

このように厄介な「捨てられない心理」。では、これらの心理に惑わされず、冷静に判断するためにはどのような対処法があるでしょうか。
 

対処法① “お試し期間”を作る

例えば基礎化粧品のトライアルセットなど、1週間のお試しサイズの物が売られていたりしますよね。まずは一定期間その商品を試してみて、良ければ大きいサイズを購入する。そんな仕組みです。私がオススメするのは、その反対。「捨てた状態のお試し期間」を作る方法です。
 
物を捨てる場合にも、捨てられないと思っている物を本当に捨てる前に一定期間隠すのです。その物が無い生活を一定期間過ごしてみて、何も困ることがないことを確かめてから本当に捨てます。この方法なら、自分の脳も「やっぱり必要ないんだな」という納得感が増すはず。仮にお試し期間中に困ったことが起きたなら、また箱から出して元に戻せばいいだけです。
 

対処法② 持っていなかったとしたら?と考える

もし、今それを持ってなかったとしたら?という視点で考えてみることで、授かり効果に惑わされず自分の持ち物を冷静に評価することができます。
 
例えば、もう着ない予感がする服。もし今、その服がお店に売られていたとしたら、あなたはその服を買いますか?いくらなら買いますか?このように自分に問いかけてみるのです。自分の所有物であるという事実を一旦無視して評価すれば、『やっぱり要らないから捨てようかな……。』という気持ちも起こりやすくなるでしょう。
 

対処法③ サンクコストより機会費用を考える

サンクコストとは反対に、選択肢の未来に影響すると言われているのが「機会費用」です。機会費用とは、「選ばれなかった方の選択肢を選んでいた場合に得られたはずの利益は、損失とみなす」という考え方のこと。
 
例えば、先ほどのパーツを組み立てる雑誌を毎号買い続ける例について考えてみましょう。もし、その趣味を過去に費やしたお金がもったいないからという理由で、今後も続けていたとしたら、どうでしょうか。
 
この場合、選ばなかった方の選択肢、つまり「止めて新しいことにお金を使う」ことで得られる利益は、損失とみなして考えるのが機会費用の考え方です。飽きてしまった趣味を止めたら、その分のお金で新しいワクワクするコレクションを買うことができるかもしれません。
 
空いた時間や、捨てて広くなった場所で、代わりにもっと楽しい趣味を始められるかもしれません。そう考えるのが機会費用です。サンクコストに気持ちを惑わされそうになったら、視点を未来に向けて機会費用を考えるようにしましょう!
 

心地良いと感じる暮らしを実践しよう!

今回は捨てられない3つの心理と、それに惑わされず判断するための3つの対処法をご紹介しました。もったいないと思う気持ちは悪い事ではないですが、そのせいで今の暮らしにモヤモヤが溜まっているのなら、思い切ってリセットするのも良いことです。
 
自分の本当の気持ちを考えてみれば、すでにその“物”から気持ちが離れていることにも気付くはず。次に買い物をするときには、本当に気に入った物を厳選して買うように心がければ、捨てることも活きた経験になるでしょう。
 
心地良い暮らしを実践して、毎日を気持ちよく過ごしましょう!
 
TEXT:FPwoman 貯金美人になれるお金の習慣
Text:横山沙織(よこやま さおり)
FPwoman Money Writer’s Bank 所属ライター
ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザー

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横山沙織

執筆者:横山沙織(よこやま さおり)

FPwoman Money Writer’s Bank 所属ライター

ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザー
FPmama Friends認定 おこづかいセミナー講師
「女性と子どもの自立」をテーマに活動するFP。自立とは“自分で考えて”“決めること”。女性と子どもの自立が明るい未来につながるという想いから「女性の自立=ライフプラン」「子どもの自立=おこづかい教育」を2本の柱として活動している。

《 FPwoman 貯金美人になれるお金の習慣》
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