「わっ、どうしよう・・」架空請求かも?50代半ばのガラケーを使っている女性の体験

配信日: 2018.11.29 更新日: 2019.01.10

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「わっ、どうしよう・・」架空請求かも?50代半ばのガラケーを使っている女性の体験
50代半ばのA子さんは、ガラケーしか使いません。
 
そんなA子さんのガラケーに怪しいショートメッセージが来ていました。
 
林智慮

Text:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

差出人は知らない電話番号

何だろう・・・と読むと、
 
「有料動画の未納料金が発生しております。本日中にご連絡無き場合、法的手続きに移行します。」
 
と、電話番号が表示されています。
 
A子さんはガラケーです。メールと電話のみしか使っていません。
 
インターネットのサイトに繋げてはいませんし、A子さんのガラケーで勝手に動画を見る家族もいません。
 
ガラケーで動画視聴が出来ないことはありませんが、いちいち細かい設定が必要だと聞いていたので、そこまでして見る気はなかったし、見たいとも思わなかったのです。
 
『法的手続き』の文字に、「わっ、どうしよう・・・」と思いましたが、全く覚えが無い上、どうやっても視聴出来ないものに請求が来るのは変です。
 
明らかに架空請求です。
 
こういった場合、決して相手に連絡を取らないようにしましょう。
 
そして、このままでは心配なときは、消費生活センター(局番無し188)や警察(警察相談専用電話#9110)へ連絡しましょう。
 

連絡してしまうとどうなる?

「契約した覚えが無い」、「スマホの誤作動かもしれない」と言っても、
 
「契約が成立している以上、払わないと訴訟になりますよ」「急いで払えば、法的手続きは免れますよ」
 
と支払いを急かします
 
それでも支払いを拒んでいると、「今日中に支払えば、95%の返金がある」とか、「保険で後から返金されますよ」と、とりあえず払っておいた方が得だと思わせます。
 
支払い方法は、コンビニでギフトカード(前払い式の電子マネー)を購入して、その番号を連絡するよう指示するか、予め購入しておいたギフトカードの支払いをコンビニで行うよう指示します。
 
現金をレターパックで送付させたり、手渡しさせたりする場合もあります。
 
一旦支払ってしまうと、「他にも未納のものがある」と、次々と新たな請求をしてきます。
 

有名企業の名称が入っていると信用してしまうことも

知らない企業名なら架空請求だと思えるのですが、名称にAmazonやYahoo!など有名企業の名称が含まれると、つい信頼してしまいます。
 
心当たりが無い場合でも、お問い合わせに連絡してしまうでしょう(Amazon、Yahoo!、U-NEXT、DMM.comの名称を使った架空請求があったことを、消費者庁で公表されています)。
 
しかし、AmazonにしてもYahoo!にしても、未払い代金をSMSで連絡してくることはありません。
 
Amazonの動画配信を含むコンテンツ利用料は、予めクレジット決済による前払いとなっており、未払いになった場合は登録されたメールアドレスに連絡が送られます。 
Yahoo!の「Yahoo!プレミアム」や動画配信の「GyaO」などの有料サービスの場合も、予めYahoo!ウォレットにクレジットカードまたは銀行口座の決済情報を登録しておかないと利用が出来ません。
 
AmazonやYahoo!でなくても、よく知られた大手企業を語る場合も考えられます。
 
その場合も、表示されたお問い合わせ先に連絡せず、消費生活センター(局番無し188)や警察(警察相談専用電話#9110)へ連絡しましょう。
 

「法務省管轄支局」や「消費生活相談センター」を名乗る『はがき』

差出人が、「法務省管轄支局」や「消費生活相談センター」という公的機関に似た名前で、架空請求はがきが来ることもあります。
 
この時も、SMSと同じく、記載された電話番号に連絡しないでください。
 
「法務省管轄支局」は、「法務省」とは一切関係が無く、実態がありません。
 
「消費生活相談センター」も、「消費生活センター」とは一切関係がありません。
 
「訴訟が提出されました」「訴訟開始」「強制的に差し押さえ」と言う文面に心穏やかではいられません。
 
取り下げ最終期日とお問い合わせの電話番号が書かれていると、「電話しなければ・・・」と焦ってしまうでしょう。
 
でも、はがきで来るのは無視してください。
 
正式な裁判所からの通達は、「特別送達」と書かれた裁判所の名前入りの封書で、直接手渡しされることが原則です。
 
はがきや電子メールで来ることはありません。
 
それでも心配な場合は、消費生活センター(局番無し188)や警察(警察相談専用電話#9110)へ連絡しましょう。
 

「特別送達」の場合は注意が必要です

はがきは無視ですが、「特別送達」で来た場合は無視出来ません。
 
たとえ架空請求でも、放置しておくと払わなくてはならなくなる場合があります。
 
まず、その発送元や連絡先が本当の裁判所から来たか確認する必要があります。
 
しかし、書類に記載された連絡先が架空の場合があるため、消費生活センターや電話帳、最高裁のホームページから、裁判所の連絡先を調べます。
 
そして、その調べた連絡先で裁判が進められているか、裁判所から通知が出されたのか確認します。
 
支払い督促の場合、本当の支払い督促には振込先の預金口座が記載されることはありませんので、絶対にその口座に振り込まないようにしましょう。
 
本当の裁判所から来たことを確認出来た場合は、対応策を消費生活センターや弁護士に相談する必要が出てきます。
 
本当の支払い督促の場合、支払い督促を受け取ってから2週間以内に、裁判所に「督促異議の申し立て」をします。
 
本当の少額訴訟手続きの場合は、指定された期日に出頭するとともに、その前に言い分を書いた「答弁書」を出しておく必要があります。
 
また、本当の裁判所から来たことを確認出来ない場合は、そのまま放っておいてもいいのですが、心配な場合は消費生活センターに相談しましょう。
 
詳しくは、消費者庁、法務省、消費生活センターのHPをご覧ください。
 
Text:林 智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
 

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