更新日: 2019.01.10 その他暮らし
若者向けの詐欺まがいな商法も始めは少額。気付くともう後戻りが出来ない
「あなたにだけ特別に教えます」と言われると、人は気分がよくなってしまうものなので、注意が必要です。
Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士
アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
自身の子育て経験を踏まえて、明日の子どもたちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性の起業,事業承継を中心に経営サポートを行い、大学では経営学や消費生活論の講義を担当している。
若者が狙われる典型的な手口に気を付けよう
繁華街などで「アンケートにご協力ください」「ちょっとだけお時間いただけますか」「(無料で)試食できます」などと声をかけられると、時間があれば協力してもいいかなと思う人は多いでしょう。本当にアンケートだけならいいですが、近くの事務所などに連れていかれ、高額な商品を買わされる、契約させられるなどの行為は、「キャッチセールス」です。
また、交際をちらつかせて勧誘し、契約・購入させる行為は「デート商法」です。
出会い系サイトなどで知り合い、デートを重ねた相手が、実は販売員だったというケースは後を絶ちません。見知らぬ人から勧誘された場合はもちろん、知り合ったばかりの人に勧誘されたときは、基本的にはのらない、など、よく考えて慎重に行動しないといけませんが、難しいのは、よく知る相手、信頼できる相手から、「マルチ商法」などの勧誘を受けた場合です。
人間関係があり断ることができなかったり、相手を信頼しているために、大きなリスクに気づかなかったりと、なかなかきっぱりと断ることができないものです。
「マルチ商法」自体は違法ではありませんが、販売する商品を買い取るための初期費用を借りたりすると、商品が売れなかった場合に借金が残ることになります。大抵は、勧誘時の話と違い、思うように商品が売れず、また加入者も集められず、売れない商品の在庫と借金に苦しむことになります。
そんな都合のいいバイトはないのです。
若者の特性を利用する
今やスマホ普及率は71.8%で、そのうち13~19歳は81.4%がスマホを持っています(2016年、総務省)。インターネットの世界をバーチャルとは思わず、またバーチャルに抵抗感がない若者心理を、騙す側は利用してきます。
そして高校生は特に、警察沙汰になり学校に連絡されるのを恐れるため、誰にも相談できずに「泣き寝入り」をする人が、潜在的に多いと思われます。少しの金額で済むなら、と一度払ってしまったら、終わることはありません。
始めは、払えるギリギリの金額を要求してきます。「3万円」が最も多いそうです。3万円は若者にとって、普段のお小遣いで支払うのは難しい金額ですが、お年玉等を集めれば、払えないことはない金額なのです。
親に内緒でこっそり解決しようとして、自分の払えるギリギリの金額を払いますが、一度で終わらず、どんどん深みにはまっていくのです。
大学等の学校内でマルチ商法の勧誘をする学生もいます。そういった学生は、自分が悪いことをしている罪悪感はなく、いいことに友達を誘っている感覚でもあります。誘われた学生は、後輩が先輩の誘いを断れない、という関係性もあり、学校という閉鎖的な空間の中で、静かに事は起きていますので、注意してください。
Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士