2019.01.10 暮らし

「空き家」譲渡所得の特別控除の特例ってどんな特例なの?

親が亡くなって誰も住まなくなった実家を平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に売却し、一定の要件を満たした場合には、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができる特例をご存知でしょうか。ポイントを解説します。
 

空き家等の現状

平成25年住宅土地・統計調査(総務省)によると、空き家の総数は、この20年間で448戸から820万戸と1.8倍に増加しています。空き家の種類別内訳では、「賃貸用又は売却用の住宅」等を除いた「その他の住宅」が、この20年間で、149万戸から318万戸と2.1倍に増加しています。
 
「その他の住宅」とは、例えば、転勤・入院などのため、居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅などです。「一戸建て(木造)」が最も多くなっています。
 
平成26年空家実態調査(国交省)によれば、空き家となった住宅の取得原因は、相続が半数を占めています。また、空き家の所有者の約4分の1が、車・電車等で1時間超の遠隔地に居住しています。
 

空き家にしておくことのデメリット

管理不全の空き家は、倒壊、崩壊、火災発生の恐れがあります。ごみの不法投棄、蚊、ハエ、野良猫の発生など、衛生面も悪化します。景観も損ないます。空き家に不審者が侵入するなど犯罪も誘発します。他人にケガを負わせた場合には、損害賠償責任も生じる可能性があります。
 
管理不全の空き家の増加に対応するため、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が平成 27年2月26日に施行されました。
 
この法律では、(1)倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態 (2)著しく衛生上有害となるおそれのある状態 (3)適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態 (4)その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にある空家等を「特定空家等」とし、市区町村による措置の実施のための立入調査、所有者に対する助言又は指導、勧告、命令、さらに、代執行(強制的に取り壊し、費用を請求)の措置が取られます。
 
税制面の不利益もあります。勧告の対象となると、固定資産税を6分の1、都市計画税を3分の1に軽減できる対象から除外されます。空き家を解体しても同様です。
 

「空き家」譲渡所得の特別控除の特例

空き家への対応としては、「特定空家等」の対象とならないように維持管理する、賃貸化して有効利用するなどさまざまな対応が考えられます。ここでは、平成31年12月31日に期限が切れる「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」について確認しましょう。
 
これは、相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は、被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から平成31年(2019年)12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができる、という特例です。
 
親と同居せず、遠方に住居を構えている子どもは珍しくありません。子どもの学校や仕事の関係などで親が亡くなったからといって実家に戻ることはなく、空き家のまま放置しているケースが少なくありません。
 
将来的に実家に住む予定がなければ売却したいところですが、売却すると多額の譲渡税が発生する可能性があるので売却を躊躇してしまいます。
 
相続した実家を売却する時の取得費と取得時期は、亡くなった親の取得費と取得時期を引き継ぎます。取得費が分からないときは、取得費は売った金額の5%相当額となります。
 
仮に売却額が3,000万円、取得費150万円(3,000万円×5%)とすると、譲渡税は、(3,000万円−150万円)×20%(長期譲渡の場合)=570万円になります。なお、諸費用や復興特別税は考慮していません。
 
「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」の一定の要件に当てはまれば、この570万円の税金を払わずにすみます。
 
なお、この特例の対象となる空き家は、一戸建てでかつ昭和56年5月31日以前に建築された建物に限定されています。譲渡時に一定の耐震基準を満たすか、あるいは、更地にして売却する必要があります。
 
特例の適用には、細かい条件がありますので、自分で判断せずに、税務署や税理士に確認するようにしてください。
 
参照
国税庁タックスアンサー「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー
 
関連記事
■問題となっている「空き家問題」空き家を放置し続けると、固定資産税の税額がはね上がる!?
 

新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

商品比較
商品比較


▲PAGETOP