自動車税が引き下げられるって言うけど、どれくらい下がるの?
配信日: 2019.01.26 更新日: 2024.10.17
軽減税率といった、ややこしい制度も開始され戸惑う人もふえるかもしれませんね。
そんな、消費税増税のタイミングに消費者の消費活動が落ち込む可能性を加味したのでしょうか。自動車に関する減税を政府は考えています。
この記事では、そんな自動車の減税にフォーカスをあてて、解説してまいります。
執筆者:福本眞也(ふくもと しんや)
FPコンシェル代表取締役
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP® 認定者、証券外務員
できる限り解り易い言葉で、お一人お一人のご理解にあわせてご説明することをモットーにしています。
日系証券会社(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)で約8年間金融の基礎を学び、外資系投資銀行(TDグループ、NAB、クレディ・スイス、JPモルガン証券)では約15年間に渡り高度な金融技術を学び、独立して約9年、金融一筋に32年が経ちました。
「お金・経済・金融マーケットに関わること」について、特に個人顧客向けには住宅・保険・教育・老後の資金(運用)を目的としたご相談を得意としています。
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2019年度税制改正
政府・与党は自動車税減税の方針を固めました。その規模は総額約1300億円。
2019年10月の消費増税に伴う消費マインドの落ち込み抑制対策として、(1)車を保有する人に課される税金、(2)車を購入する際に課される税金を対象に減税する予定です。ただし、(1) (2)ともに、消費増税後に購入した車が対象となります。
(1)車の保有にかかる税金:自動車税および重量税
車の保有に際して課される自動車税は、年1000~4500円引き下げられる見込みで、その額は排気量により異なります。排気量が少ないほど減税額が大きく、1000cc以下の自動車税年額は現在の2万9500円から2万5000円となり、4500円下がる見込みです。
反対に、排気量の多い2500cc超では1000円の減税となります(下記参照)。ただし、排気量が660cc未満の軽自動車の減税はありません。
排気量(cc) 現在 2019年10月以降
660未満 1万800円 1万800円(減税なし)
660超1000以下 2万9500円 2万5000円(-4500円)
1000超1500以下 3万4500円 3万500円(-4000円)
1500超2000以下 3万9500円 3万6000円(-3500円)
2000超2500以下 4万5000円 4万3500円(-1500円)
2500超3000以下 5万1000円 5万円(-1000円)
※排気量3000cc超6000cc以下の減税額は1000円
減税期限は定められておらず、政府・与党は平均的な保有年数を13年と試算し、現段階では13年程度の期間を想定しているようです。今後の調整により恒久的に減税される可能性もあります。
新車購入の3年後および以降2年ごとの車検時に課される自動車重量税は、車種の絞り込みを行い、これまでの「エコカー減税」は大幅に見直される予定です。
(2)購入時の税金:自動車取得税
現在、車を購入すると自動車取得税がかかります。たとえば新車だと取得価額の3%(軽自動車と営業車は2%)かかるこの税金が、消費増税後は廃止されます。これに代わり、購入車の環境性能に応じて本体価格の0%~3%の燃費課税(環境性能割)の導入が予定されています。
増税後は1年間限定で一律1%引き下げられ、ほとんどの車種で0~1%程度に抑えられる予定です。また、2020年度の燃費基準に対して10%以上改善されている燃費効率の良好な車は非課税となる見込みです。
現在もなお検討されていること
今後、車の保有にかかる税金は利用状況に応じて課税される体系になる可能性もあり、現在もなお議論が重ねられています。カーシェア、レンタカーの利用などで車を保有しない人が増加するなか、政府・与党が打ち出した税金徴収の苦肉の策とも言えるでしょう。
ただし、走行距離に応じて課税するには、その走行距離を確認する術として、車にGPS装備の義務化を早急に行う必要があります。そうなると、常に追跡される可能性があり、プライバシー保護の観点からは問題視され、一筋縄にはいかない点も指摘されています。
それ以外にも、走行距離の偽装をいかに防ぐかなど問題はまだまだ山積しています。
出典
国税庁:消費税の軽減税率制度について
国税庁:環境性能に優れた自動車等に対する自動車重量税の減免措置
経済産業省:平成31年度地方税制改正要望事項
日本経済新聞:2018年12月15日「税制改正大綱の要旨」
執筆者:福本眞也(ふくもと しんや)
FPコンシェル代表取締役