更新日: 2019.06.28 その他暮らし

平成31年度から創設される「専門職大学」って何?

平成31年度から創設される「専門職大学」って何?
人手不足が深刻になっています。そんな中で、就職活動の前倒しが進んでいます。企業説明会などの解禁は大学3年生の3月からですが、それまでに内定が決まっているケースも。優秀な学生は、早くから囲い込まれているようです。
 
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

インターン制度が過熱気味

「あの会社で働きたい」という強い思いで就職した会社だったはずなのに、入社してみたら「なんか違う」「やりたい仕事じゃない」と離職する例も多いです。そんなミスマッチを避けるために、インターン制度を採用している企業が増えました。日経新聞(1月17日付朝刊)に、以下の記事が掲載されていました。
 
就職情報大手のディスコが、同社のサイトに登録している2020年春に卒業予定の大学生・大学院生1210人に聞いたところ、1月1日時点での内定率が4.7%だったそうです。まだ1月なのに、もう5%近くが内定済みとは。そのうち68.4%が「インターン参加企業から内定を得た」と回答したというのです。
 
インターン先の企業との相性が良く、両者が納得して就職先が決まれば、功を奏したことになります。学生にとっては、会社を内側から観察することは貴重な体験です。企業はリクルート向けに、業績や将来性などを前面に自社のPRをします。
 
一見華やかに見える会社の仕事も、実際はコツコツと地味な作業の積み重ねです。社風を肌で感じることや職場環境を知るチャンスとして、インターンシップ制度は有効だと思います。
 
とは言えメリットがあれば、デメリットも考える必要があります。政府や経団連は“インターンと採用選考は直結させない”スタンスをとっていますが、実際は違います。上記のように早期の囲い込みに繋がっていることは確かですし、学生側もキャリア教育の場としてだけではなく、内定に繋がる期待を持っていると考えられます。
 
これが過熱することで、学業に支障をきたすのではと、大学は懸念しています。早い学生では、1~2年生からインターンに参加しています。この時期から就職を考えることは決して悪いことではありませんが、広い視野に立って勉強出来る大事な時期であるということも理解してほしいと思います。
 

就職に直結する「専門職大学」が創設されます

平成31年度より実践的な職業教育を行う「専門職大学」「専門職短期大学」「専門職学科」が創設されます。「なりたい職業に直結する理論と実践の両方を学べる、新しいタイプの大学」というのがコンセプトです。この大学には5つの特徴があります。
 
(1)授業の3分の1以上は実習・実技
(2)理論と実践をバランスよく学ぶ
(3)超・長期の企業内実習で現場を体験
(4)専攻する職業に関連する他分野も学び、応用力を身につける
(5)大学卒(短大卒)の学位がとれる

 
詳細は文部科学省のホームページをご覧ください。
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senmon/index.htm
 
平成31年度は、「国際ファッション専門職大学」と「ヤマザキ動物看護専門職短期大学」が開設を予定しています。
 
「専門職大学」という名の通り、「大学・短大」の幅広い教養や学術研究の成果に基づく知識・理論とその応用の教育、「専門学校」の特定職種の実務に直接必要となる知識や技能の教育、この両者が合体しています。
 
労働力人口の減少が進み、また時代は急速に変化しています。これらに対応できる人材を育てることが急務になっていることが、創設の根本にあるようです。
 
この専門職大学、今後は広がっていくと予想されますが、まだまだ認知度は低いようです。ベネッセコーポレーションの調査によると、高校教員の認知度は「設立を知っている:75.2%」「生徒に説明できる:29.2%」だそうです。
 
専門分野が広がれば、より実践的な教育のニーズに応えるだけでなく、学び直しの場としても期待されているのではないでしょうか。
 
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
相続診断士
 

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