2019.02.16 暮らし

何年も「閉店セール」の看板を出しているのに閉店しないお店って詐欺じゃないの?

商店街で「閉店セール」の看板を高々と掲げているお店。
 
ところが、1年たっても2年たっても閉店セールは続きます。これって罪に問われたりするのでしょうか?
 

いつも閉店セールをしている謎のお店

Tくんが暮らす駅の商店街、あるお店が「閉店セール」の看板を出していました。
 
Tくんは「ああ、閉店セールなら何か掘り出し物があるのかな~?」などと思いつつ通り過ぎていました。ところが、それから3年たっても、相変わらずそのお店は「閉店セール」の看板を出し続けて営業しています。
 
「おいおい! これってインチキ表示で詐欺になるんじゃないの?」Tくんは思いましたが、
これって犯罪にあたるのでしょうか?
 
*物語はフィクションです
 

延々と「閉店セール」を続けるのは犯罪なのでしょうか? 東京桜橋法律事務所の池田理明弁護士にお伺いしました。

この問題は、詐欺の問題より以前に「景品表示法」の問題となります。正式には、「不当景品類及び不当表示防止法という法律」によって規制されている行為であり、結果的には違法となる場合があります。
 
この法律は、商品の価格などの条件について、他の事業者から購入するよりも著しく有利であると誤認させるような表示(有利誤認表示)を禁止しています。
 
Tくんが目撃した事例の場合、買い物客(消費者)に対して、「閉店セール」という表示をすることで、「他のお店(事業者)で購入するよりも安く購入できるから有利だ」と勘違い(誤認)させる場合があり、景品表示法に違反する場合があります。
 
これは、お店同士が公正な競争をするために、また、買い物客が適正な商品やサービスを選ぶために決められたルールです。
 
ただし、お店によっては、「ほんとに閉店するつもりで安くしたんだから勘違いさせるつもりなんてなかったよ」と言いたい場合もあると思います。
 
もちろん「閉店セール」を行うこと自体は問題にはなりません。しかし「閉店セール」と聞くと、買い物客は「ああ、いつもの値段より安いかも」と思って来店するものです。
 
その「いつもの値段」が、一体いつの値段なのかが問題なのです。
 
この点、「景品表示法」に関する「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」という消費者庁のガイドラインによると、過去の販売価格などを比較対象として、セールなどでそれよりも安く売ると表示して販売する場合(これを二重価格表示の問題と言います)、原則として『最近相当期間にわたって販売されていた価格』といえる価格と比較して安売りだと表示することは許されると規定しています。
 
具体的には、セール開始時点からさかのぼる8週間を対象として、『最近相当期間にわたって販売されていたか価格』を基準とするように求められていますので、閉店セールの前の8週間で売られていた通常販売価格(8週間のうち過半数の日数で販売されていた価格)を基準として、それよりも安い値段で閉店セールがなされている必要があります。
 
もし、閉店セールが長引く中で、セール開始時より前の通常の値段に戻っていた場合、あるいは、セール開始時には存在しなかった商品を新たに仕入れて販売していた場合(販売実績がありませんので前の値段と比較することさえできないはずです)などには、前述の基準に照らせば、不当な有利誤認表示になりますので、景品表示法に違反します。
 
また、そもそも閉店するつもりがない段階で「閉店セール」と銘打って販売することも、同法に違反します。
 
景品表示法に違反すると、場合によっては、公正取引委員会から警告や排除命令を受ける場合があります。
 
また、不当な表示が行きすぎると、景品表示法の問題だけではなく、詐欺罪の適用が検討される場合もあり得ますので、安易な表示をして消費者を騙すようなことは、避けるようにしましょう。
 

「景品表示法」としては何年も閉店セールは問題

消費者を誤認させるような長期間の「閉店セール」は景品表示法上問題が大きいようです。
 
産地偽装など、これまで何度もニュースで取り上げられたことがあるように、広告表示の内容が不正確だと消費者の正しい消費行動が阻害されてしまいます。
 
消費者としても、広告表示には行きすぎる場合が生じやすいことに注意して、賢く見る目を持っておくことが大切ですね。
 
執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家
監修:池田理明(いけだみちあき)
弁護士/東京桜橋法律事務所
 
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藤木俊明

執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)

副業評論家

明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。

池田理明

監修:池田理明(いけだみちあき)

弁護士/東京桜橋法律事務所

第二東京弁護士会所属。
中央大学法学部卒。弁護士登録後、東京桜橋法律事務所に勤務。平成25年以降は同所パートナー弁護士に昇格し、主にIT関連、エンタメ関連の企業法務を中心として、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応している。

座右の銘は「強くなければ生きられない。優しくなれなければ生きていく資格はない。」時には、クライアント自身の姿勢を問うようなアドバイスができるよう心掛けている。



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