最終更新日: 2019.06.28 公開日: 2019.02.23
暮らし

『分かっちゃいるけど、やめられない』には多くの原因がある?

執筆者 : 中西雅也

『分かっちゃいるけど、やめられない』には多くの原因があります。これは、生活においてはもちろんのこと、お金の使い方にも同じことが言えます。
 
 
中西雅也

執筆者:

執筆者:中西雅也(なかにし まさや)

酒井FP綜合事務所/お金工房わなび所属

2級FP技能士、AFP(日本FP協会認定)
「お金のことをもっと身近に感じてほしい!」をモットーに、“手帳”を使った人生設計の方法や、知っててよかったお金の話セミナーをはじめ、年間50回以上の講演を行う。

専門用語を使わないわかりやすい説明を心がけている。
http://www.fp-sakai.com

詳細はこちら
中西雅也

執筆者:

執筆者:中西雅也(なかにし まさや)

酒井FP綜合事務所/お金工房わなび所属

2級FP技能士、AFP(日本FP協会認定)
「お金のことをもっと身近に感じてほしい!」をモットーに、“手帳”を使った人生設計の方法や、知っててよかったお金の話セミナーをはじめ、年間50回以上の講演を行う。

専門用語を使わないわかりやすい説明を心がけている。
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何かをしないことを選択する理由

私たちは「〇〇したい!」と思うことで行動を起こすことができる強い生き物であると同時に、「どうして〇〇できないんだ…。」と悩んでしまう弱い生き物です。
 
人によっては、何かをできなかったことに対して自己否定を始めてしまうこともあるのですが、「〇〇をしない」ことがその人にとっての正解なのですから、誰にも責めることはできません。もちろん、自分を責める必要もないのです。
 
行動を起こしたいと思っているにもかかわらず行動を起こせないことには、その人自身にしか気づくことができない心理作用がはたらいていることがあります。
 
今回はさまざまな事例とあわせて、心理作用のひとつである『現状維持バイアス』についてお伝えします。
 

現状維持バイアスとは

現状維持バイアスとは、変化よりも現状を維持することを望む心理作用のことを言います。
 
例えば…
・転職したいと考えているけど、行動を起こせずにずっと同じ仕事を続けている
・貯金をしたいと考えているけど、いつもの付き合いを優先してしまう
・投資に興味があるけど、口座の開設すらしていない
このようなことには全て現状維持バイアスの心理作用がはたらいています。
 
人間は本能的に『よく分からない怖いものを避けてしまう』傾向があり、『よく知っている安全なものを好む』傾向があります。
 
なので、転職をして知らない人と不慣れな仕事をするよりも、知っている人たちと慣れた仕事をすることを本能的に選んでいると言えます。また、投資(冒険)したいけど、投資しないことを結果的に選択しています。
 

実は身近な現状維持バイアス

これは、生活の身近な場所でも頻繁に利用されている心理現象です。
 
先ほどもお伝えしたように、私たちは『よく分からない怖いもの』を恐れる傾向があります。ということは、一度体験してよかったお店やサービスは『よく知っている安全なもの』になりますよね。
 
感度の鋭い人ならもうお気づきかと思いますが、初回限定クーポンで値引きをしてでもお店に来てもらうことや、試供品を無料で配布することで商品を使ってもらうことは、現状維持バイアスを利用した典型的なマーケティング戦略なのです。
 
『現状維持バイアス』を知っていると、今より良いお店に巡りあうことができるかもしれませんね。 
 

知っておきたい家計のもめごと

現状維持バイアスを学ぶと、家計のもめごとを回避することもできます。
 
例えば、家計を改善しようと一念発起した奥さまが突然『今日から節約をはじめます!』と宣言したとします。『節約したお金で楽しいことができるなら』と、旦那さまも快く承諾してくれたことにより、奥さまの徹底した節約が始まります。
 
しかし、
・旦那さまのお小遣いを減らした
・外食の回数を極端に減らした
・電気の消し忘れに過剰に反応してしまう
 
など、今まで当たり前だったことが変わってしまい、小さなストレスが積み重なって次第に家庭がギクシャクしてしまう。家族のために、と始めたことなのに…。このようなトラブルを回避するためには、やはり現状維持バイアスの特徴を知っておく必要があります。
 
このご家庭の場合、奥さまの極端な節約が発端となり、今までの平穏な家庭生活が崩れて旦那さまに恐怖心を与えてしまったことが原因です。成城大学の奥田秀字氏は学生を対象とした研究のなかで、『負情報は現状維持バイアスを促進するが、正情報は現状維持バイアスを抑制する傾向がある』としています。※
 
負情報とは葛藤に伴う感情のことであり、選択における葛藤が大きいほど現状バイアスが増大する特徴がある。それに対して正情報とは、〇〇をすると“良くなる”“改善される”など、選択をした結果として現状よりも良い方向に向かうことが予想される情報のことを言います。
 
なので、家計の状況を定量的に伝え、「できることから少しずつ変えていきたい」と旦那さまに伝えることが、旦那さまの現状維持バイアスを抑制することに繋がります。
 

〇〇したいを加速させるには

〇〇したいを加速させるには、自分にとっての“正情報”を知ることが大切です。正情報を知ると、それまでに気づかなかった目標を設定することができるからです。
 
上記の例でいいますと
・旦那さまのお小遣いを減らして、家族のための旅行費にまわした
・外食の回数を減らす代わりに、栄養を考えたメニューを家で出すようにした
・電気の消し忘れを金額で『見える化』して、そのお金を貯金するようにした
と、することで現状バイアスが引き起こす負の情報をなくし、正の情報へと置換することができます。
 
今回は、さまざまな場面における現状維持バイアスを紹介しました。現状維持バイアスは「現状維持できる可能性があるなら、現状を維持しよう」とする特徴をもっています。
 
でも、現状をより良くしたいと考えているのなら現状維持バイアスの特徴を知ったうえで、どんな行動をとることが自分にとってラクで安心できるかを考えることが必要です。
 
この記事を読んだみなさまが現状を変えたいと思ったとき、その心の支えになれば幸いです。
 
出典
※CiNii Articles『葛藤状況における現状バイアス』
 
執筆者:中西雅也(なかにし まさや)
酒井FP綜合事務所/お金工房わなび所属
 



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