長期入院の味方「高額療養費」をうまく使いこなすコツ

配信日: 2019.03.19 更新日: 2019.06.26

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長期入院の味方「高額療養費」をうまく使いこなすコツ
日本の健康保険制度はとてもよくできています。病気になって病院で治療を受けても、通常は医療費の3割を支払えばいいので助かります。
 
しかし、長期入院などでは自己負担が大きくなることもあります。このような時に頼りになるのが「高額療養費」の制度です。この制度により、自己負担がずいぶん少なくなります。
 
北山茂治

執筆者:北山茂治(きたやま しげはる)

高度年金・将来設計コンサルタント

1級ファイナンシャルプランニング技能士、特定社会保険労務士、健康マスターエキスパート
大学卒業後、大手生命保険会社に入社し、全国各地を転々としてきました。2000年に1級ファイナンシャルプランニング技能士資格取得後は、FP知識を活用した営業手法を教育指導してきました。そして勤続40年を区切りに、「北山FP社会保険労務士事務所」を開業しました。

人生100年時代に、「気力・体力・財力3拍子揃った、元気シニアをたくさん輩出する」
そのお手伝いをすることが私のライフワークです。
ライフプランセミナーをはじめ年金・医療・介護そして相続に関するセミナー講師をしてきました。
そして元気シニア輩出のためにはその基盤となる企業が元気であることが何より大切だと考え、従業員がはつらつと働ける会社を作っていくために、労働関係の相談、就業規則や賃金退職金制度の構築、助成金の申請など、企業がますます繁栄するお手伝いをさせていただいています。

HP: https://www.kitayamafpsr.com

高額療養費とは

同じ人が同じ月(暦月)に、同じ医療機関でかかった医療費の自己負担額が、自己負担限度額を超えた場合、自己負担限度額を超えた分が後から払い戻される制度です。
 
今回は70歳未満の方の場合を説明します。70歳以上の方は70歳未満の方に比べて、さらに優遇された制度になっています。
 

例えば

100万円の医療費がかかった場合を見てみましょう。(70歳未満で、標準報酬月額が28万円以上~50万円未満の方)
 
この場合、自己負担額は3割の30万円です。いくら3割と言っても、30万円は高すぎます。でも、実際は高額療養費の対象になりますので、次のようになります。
 
まず、自己負担限度を計算してみます。
 
8万100円+(100万円-26万7000円)×1%=8万7430円
高額療養費の支給額:30万円-8万7430円=21万2570円
 
つまり、30万円をいったん負担しますが、後から21万2570円が高額療養費として戻ってくるのです。実際の自己負担額は8万7430円だけとなります。とてもいい制度ですが、高額療養費が戻ってくるまでには数ヶ月かかります。
 

うまく使いこなすコツ

では、上記の例で、最初から自己負担限度額の8万7430円だけを支払い、それで完了する方法はないのでしょうか。
 
入院などで医療費が高額になることが事前にわかっている場合、「限度額適用認定証」を病院の窓口で提示すると、入院・通院とも自己負担額限度額を払えばいいことになります。いったんでも多額の金額を支払う必要がなくなり、大変助かります。
 
「限度額適用認定証」は事前に、公的医療保険(協会けんぽや健康保険組合)から取り寄せてください。
 

その他のメリット

1年間に3ヶ月以上、高額療養費が支給されると、4ヶ月目から自己負担限度額がさらに軽減されます。先ほどの例ですと、4万4400円となります。
 
公的医療保険と公的介護保険の両方の自己負担があり、合計額が高額の場合、負担が軽減される制度があります。詳しくは公的医療保険(協会けんぽや健康保険組合)、または公的介護保険の窓口(市役所等)に相談してください。
 

留意すること

判断の基準が暦月の1ヶ月単位であることに注意してください。
 
自己負担額が11万円だったとします。それが同じ月であれば高額療養費の対象になりますが、月をまたぐと対象にならない場合があります。例えば、自己負担額が合計11万円だったとしても、前月6万円で今月5万円だとすると、どちらの月も対象になりません。
 
その他に留意することとして、合算する対象になるのは自己負担額が2万1000円以上のものに限られます。
 
同一月内で保険者が変われば、別々で判断されます。例えば、会社を退職し、協会けんぽから国民健康保険に変わった場合などです。同一月内で、同一医療機関において、入院と通院がある場合は、入院と通院は別々に計算します。
 
同一月内で、同一医療機関において、歯科診療と歯科診療以外の診療を受けた場合も、別々に計算します。所得が多いと自己負担限度額が上がります。今回の例は、自己負担限度額ランク5段階のうち、ちょうど真ん中です。
 
執筆者:北山茂治(きたやま しげはる)
高度年金・将来設計コンサルタント
 

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