子どもがバイト先で不適切動画を投稿!会社が損害賠償請求するというけれど…親はどうなる

配信日: 2019.04.26 更新日: 2019.06.19

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子どもがバイト先で不適切動画を投稿!会社が損害賠償請求するというけれど…親はどうなる
近ごろ、バイト先の大手レストランやコンビニなどで、ひどい悪ふざけをした様子を動画に撮って、ツイッターやインスタグラムに動画を投稿して炎上させる、いわゆる「バイトテロ」が問題になっています。
 
その影響でお店を閉店せざるを得なくなったり、大きな影響が出たりすることで、運営先の会社も激怒します。激怒ではすまず、損害賠償を請求するなどという動きもあります。
 
自分の子どもがそんなことをやらかしてしまった場合、親も責任をかぶらなくてはならないのでしょうか?
 
藤木俊明

執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)

副業評論家

明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。

内藤悠作

監修:内藤悠作(ないとう ゆうさく)

弁護士/東京桜橋法律事務所

2009年弁護士登録。2016年にニューヨーク州のロースクールへ留学のため登録抹消するも、翌年復帰。

ITベンチャーを中心とした企業法務から、個人の法律問題まで、幅広く手掛ける。一歩先の展開を見通す状況分析を心掛けると同時に、依頼者の立場・心情に対する的確な理解を大切にしている。座右の銘は「生涯成長」。

バイトテロで会社がアルバイト従業員を訴えると発表!

Mさんの子どもは高校生になってから、ある大手居酒屋チェーンでバイトをはじめました。バイト仲間とも仲良くなり、ある日の閉店後、店の食べ物を粗雑に扱ったり、ゴミ箱のゴミを調理場に出したりなど悪ふざけをはじめてしまいました。
 
その様子を撮った動画を、仲間の一人がツイッターに投稿してさあたいへん。大炎上して、運営先の会社に「不潔だ」とか「こんな店もういかない」などの苦情が押し寄せました。
 
運営会社は謝罪を発表するとともに、そのお店をしばらく休業とするとしました。そして……。悪ふざけをしたMさんの子どもなどに法的責任をとってもらうと発表したのです。
 
こんな場合、Mさんたちは親として共同責任を負わなくてはならないのでしょうか?
 
*物語はフィクションです
 

バイトテロで子どもが訴えられた場合親に責任は? 東京桜橋法律事務所の内藤悠作弁護士にお伺いしました。

まず、民事責任について言いますと、原則として、親に責任はありません。Mさんがそれを「やれ」といったわけではありません。また、子どもと言っても高校生の場合、法的責任を負える年齢とされますので、親が責任を理由はないとうことです。
 
ただし、中学生であれば話は微妙です。まだ分別が付かない年齢ということであれば、責任能力が否定され、監督義務者である親の監督責任が問われますが、中学生が居酒屋で働くことはそもそも認められませんので、通常は想定しにくいケースです。
 
お店からの損害賠償請求の金額については、実際にお店が休業せざる得ない状況に追い込まれたということになると、その間得られたはずの利益などをもとに、場合によっては、数百万円、数千万円という請求もあり得るかも知れません。
 
この場合、損害賠償請求で訴えられたら、子どもさんとしてはなすすべがないでしょう。親であるMさんが法定代理人となって、会社と和解交渉を行うのが現実的かと思います。
 
他方、刑事責任について考えると、Mさんの息子さんたちには、「偽計業務妨害罪」(刑法233条)や「威力業務妨害罪」(刑法234条)、「名誉毀損罪」(刑法230条1項)等に問われる可能性が一応考えられます。
 
「偽計業務妨害罪」は刑法233条に規定される犯罪で、虚偽の風説を流布し,または偽計を用いて,人の業務を妨害する罪です。法定刑は3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金と定められています。「威力業務妨害罪」も同様です。
 
「名誉毀損罪」は刑法230条に規定される犯罪で、人の名誉を毀損する行為です。法定刑は3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金と定められています。ただし、実際に立件されるケースは稀であると考えられます。
 

親に責任はないというもののそうはいかない現実

今回のバイトテロを起こしてしまったMさんの高校生の息子さん、Mさんに責任はないということがわかりましたが、何百万円と損害賠償請求されたら知らん顔はできませんよね。
 
バイトをされるのはけっこうですが、軽い気持ちでふざけたことをやると、自分にも親にもひどい迷惑がかかると言うことをしっかり言い聞かせてあげましょう。
 
執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家
 
監修:内藤悠作(ないとう ゆうさく)
弁護士/東京桜橋法律事務所
 

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