更新日: 2019.06.20 その他暮らし

知っておきたい災害のときのお金のこと。被災者への支援制度とは

執筆者 : 伊達寿和

知っておきたい災害のときのお金のこと。被災者への支援制度とは
近年、大規模な自然災害が多く発生しています。地震や津波、集中豪雨、洪水などにより日常生活に影響が出るだけでなく、住まいに大きな損害が生じることもあります。
 
いつどのような自然災害に遭うか分かりません。いざというとき、被災した場合に役立つ制度について紹介します。
 
伊達寿和

執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)

CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。

親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp

はじめに罹災(りさい)証明書の取得

被災後に各種の支援制度を受けるためには「罹災証明書」が必要になる場合が多くあります。そのため、はじめに「罹災証明書」の取得の手続きをすることを覚えておくとよいですね。
 
罹災証明は、災害で受けた住まいの被害状況を証明する書類です。
 
災害の被害に遭われた方の申請を受けて、各市区町村が住まいの家屋の被害状況を調査します。その被害の状況に応じて、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」等を認定して、証明を行うものです。
 
自動的に発行されるものではなく、被災された方の申請が必要な点は注意が必要です。
 

生活再建に関する各種支援制度

生活再建に関する公的給付や各種支援制度もあります。
 
災害の被害に遭い亡くなった方の遺族に対しては、公的な給付として「遺族年金」があります。また、被害に遭い障害状態になった方に対しては「障害年金」の制度があります。
 
これらは災害時に限った制度ではありませんが、知っておくとよいでしょう。遺族年金や障害年金の給付には条件がありますので、詳細は日本年金機構や年金事務所で確認しておきましょう。
 
また、「災害弔慰金の支給等に関する法律」に基づいて、災害の被害に遭い亡くなった遺族の方に対して支給される「災害弔慰金」があります。支給限度額は、生計維持者が死亡した場合は500万円、その他の場合は250万円です。
 
低所得者世帯など金融機関からの借り入れが困難な世帯に対しては、「生活福祉資金貸付制度」があります。
 
経済的な自立と生活の安定を図るために、生活に必要な資金を低利または無利子で借りられる制度です。大規模災害時には特例措置として貸し付けの対象者が拡大される場合があります。
 

住まいに関する各種支援制度

住まいは生活の基盤です。自然災害によって住んでいた家屋が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯には「被災者生活再建支援制度」の支援金が支給されます。支給額は「基礎支援金」と「加算支給金」の合計額です。
 
「基礎支援金」の支給額は全壊等で100万円、大規模半壊で50万円です。「加算支給金」の支給額は住宅の再建方法に応じて50万円、100万円、200万円のいずれかです。これらの支給金の使途は限定されていませんので、何にでも使うことができます。
 
支援金だけでは住宅の再建築や購入は難しいでしょう。そのため、各家庭で火災保険や地震保険に加入するなどの備えも必要といえるでしょう。
 

社会保険や税金での減免措置

被災した場合には生活資金の確保で精いっぱいになり、社会保険料の負担が難しくなることも考えられます。一方で、国民年金保険料や厚生年金保険料などの支払いが滞りますと、将来の年金受給に影響が出ることも考えられます。
 
このような場合には、所定の手続きを行って保険料支払いの免除または猶予申請を行うとよいでしょう。また、国民健康保険料、健康保険料、介護保険料などについては、災害によって受けた被害の状況によって保険料の支払いが軽減されたり、免除されることがあります。
 
所得税についても軽減措置があります。災害により住宅や家財に損害を受けた場合には、「所得税法による雑損控除」と「災害減免法による所得税の軽減免除」のどちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部または一部を軽減することができます。適用には確定申告が必要です。
 
被災者支援の各種制度については、内閣府のホームページに概要がまとめられています。どのような制度があるか確認するとよいでしょう。
 
また、支援制度が適用され支給金を受けるまでには時間がかかる場合があります。そのような状況を想定して、普段からお金の備えをしておくことも大切です。
 
出典
内閣府「被災者に対する支援制度」
 
執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員