更新日: 2019.07.09 その他暮らし

空き家率は13.6%で過去最高。問題になっているのはどんな住宅?

執筆者 : 松浦建二

空き家率は13.6%で過去最高。問題になっているのはどんな住宅?
最新の住宅・土地統計の調査結果が発表され、空き家数も空き家率も過去最高となりました。空き家の多さが社会問題になっていますが、簡単に解決できる問題ではないようです。増え続けている空き家の状況を調査結果からまとめてみました。
 

松浦建二

執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

日本全国には都内の住宅数より多い空き家がある

2019年4月に総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」の結果が一部公表されました。
 
住宅・土地統計調査は1948年(昭和23年)から5年ごとに実施されてきた歴史ある調査で、住宅や居住している世帯の居住状況等の実態をあきらかにしています。住宅・土地統計調査では空き家の状況も確認しており、その最新結果からまずは空き家数と空き家率の推移をグラフにしてみました。
 

 
日本全国には住宅が6242万戸あり、そのうち居住世帯のある住宅が5366万戸あり、居住世帯のない住宅が876万戸あります。統計上では、居住世帯のない住宅はさらに「一時現在者のみの住宅」「空き家」「建築中の住宅」に分けられ、このうち空き家の数が846万戸となっています。
 
数が多過ぎて想像が難しいかもしれませんが、東京都全体の住宅数(767万戸)や九州8県の住宅数の合計(707万戸)よりも多い数の空き家が日本全国にあると言うことです。空き家率は空き家数846万戸を全国の総住宅数6242万戸で割って求められ、今回13.6%で過去最高を再び更新しています。
 
空き家数は5年前の2013年と比べて26万戸(0.1%)増えており、平成時代とほぼ同じ1988年(昭和63年)10月からの30年間でみると452万戸(4.2%)も増えています。
 
この30年間で総住宅数は48.6%(2041万戸)増えているのに対し、空き家は114.7%(452万戸)も増えており、空き家数の急増ぶりが際立っています。
 

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空き家のうち「その他の住宅」が特に問題視されている

846万戸の空き家を統計では更に細分化し、「別荘(二次的住宅)」「その他の二次的住宅」「賃貸用の住宅」「売却用の住宅」「その他の住宅」に分けています。それぞれの割合は下記グラフの通りです。
 
・別荘(二次的住宅)……週末や休暇時に避暑等の目的で使用され、普段は人が住んでいない住宅
・その他の二次的住宅……残業で遅くなった時に寝泊まりするような、普段住んでいる住宅とは別の住宅
・賃貸用の住宅……賃貸のために空き家になっている住宅
・売却用の住宅……売却のために空き家になっている住宅
・その他の住宅……解体予定や長期不在等、上記4分類以外の人が住んでいない住宅
 

 
空き家のうち、半数強の431万戸は賃貸用の住宅となっています。借り手が付けば空き家ではなくなりが、借り手が付かなければいつまでも空き家のままです。
 
賃貸住宅を探している人が新たに431万世帯以上いるとは考えづらく、一つ借り手が付けば他で一つ借り手がいなくなる状況の方が現実的のような気がします。
 
賃貸用の住宅の次に多いのがその他の住宅で、347万戸あります。時々利用することもなく、貸そうとも売ろうともしていない未活用(未稼働)の住宅が多く含まれていると考えられます。
 
このような空き家が増えると、近隣にとっては防犯面や防災面等でとても心配になります。街のイメージも悪化し、地域活動にも影響がでてきます。何とか減らしていきたいところですが、現実として10年で79万戸(29.6%)も増えているので、まずは増加を止めることを目標にした方が良いと言えます。
 
他の別荘(二次的住宅)やその他の二次的住宅、売却用の住宅は規模が小さく、その他の二次的住宅と売却用の住宅においては空き家数が減ってきています。
 
空き家数が多いのは必要な住宅数よりも多い住宅があるからです。空き家数を減らすのは人口の減少をストップさせるのと同じくらい難しく、数年で解決できる問題ではありません。
 
国や地方自治体だけでなく住宅所有者や地域住民も含めて、みんなで地域に合った良い解決策をつくっていってほしいものです。
 
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
 

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