2020年進学者から変わる奨学金制度。対象者と注意点は?
配信日: 2019.07.10 更新日: 2020.03.11
この日本学生支援機構の奨学金は、勉学に対し意欲ある学生が経済的理由で進学をあきらめてしまうことのないように、国が進学を支援する制度です。
2020年より給付型奨学金の枠が拡充し、大学側の授業料減免などを合わせると実質無償化することになるため、利用できるなら利用したいと考える方は多いことでしょう。
ただ、家計基準はさほど厳しくなく、基準は緩和されつつあるものの、収入要件などにより奨学金が借りられないケースは少なくありません。
すでに、来年春に進学する現在の高校3年生および既卒生の奨学金申し込みがスタートしていますが、ここでは、この制度がほんとうに利用できるのかどうか、その留意点などを確認したいと思います。
執筆者:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士
アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
自身の子育て経験を踏まえて、明日の子どもたちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性の起業,事業承継を中心に経営サポートを行い、大学では経営学や消費生活論の講義を担当している。
奨学金の申し込みには、マイナンバーが必要
まずは、6月以降に学校を通じて募集の案内がありますので、必要書類を入手します(既卒生は卒業した高校から入手)。学校によっては説明会などを催して、申し込み期限や申し込み方法、準備する資料などを指導する学校もあるでしょう。
そして必要書類を高校に提出した上で、実際の申し込みにはインターネット(スカラネット)を利用しますので、手順をしっかりと確認しておく必要があります。
このとき、マイナンバーの提出も必要ですので、前もって準備しておきましょう。
マイナンバーは、学校を通さずに、JASSOへ直接郵送する形式です。
スケジュール上、気を付けること「奨学金は入学後の後払い?!」
必要書類を提出しても採用されるかどうかわからない、予定の金額が借りられるかわからないうちは安心できません。採用候補者の決定は秋頃(10~11月頃)ですので、この間に推薦やAO入試が始まる方もいます。
推薦やAO入試であっても、合格が出れば入学金の納入が必要なので、受験料を含めてこの時期にかかる費用には、奨学金はあてられません。そして、採用候補者となった人には、学校を通じて「採用候補者決定通知」が交付されますが、進学後に「進学届」を提出してはじめて、採用が正式決定します。
つまり、奨学金の初回振り込みは4~5月頃になるわけで、ということは、一般入試の合格後に納入する入学金や授業料にも、奨学金はあてられないわけです。
また、5月頃から毎月奨学金が振り込まれたとしても、後期授業が始まる前に授業料を納めることを勘案すると、使わずにとっておかないといけません。
誰でも借りられるわけではない、収入要件がある
無利子の第一種、有利子の第二種によって、また世帯人数や自宅もしくは自宅外から通うかによって、家計の基準額が異なります。また、国公立大学か私立大学、サラリーマン世帯か自営業世帯かによっても変わってきます。
私立大学に進学し、家計支持者が給与所得世帯の場合、年間の給与収入の上限は以下のようになっています。
また、以前の給付型奨学金は、非課税世帯のみが対象で、学校長の推薦が必要でした。つまり成績優秀者でないと難しい状況だったのですが、新制度では、低所得世帯も対象になり、所得に応じて支援額を変えるというものになります。
これらの制度の詳細については、日本学生支援機構のホームページに詳しく述べられていますので、まずは、ここでこれらの仕組みをよく理解し、具体的な行動に移るようにしてください。
執筆者:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士