更新日: 2019.07.17 その他暮らし
【もう無理】旦那と離婚したいけどお金が不安。女性が知っておくべき支援金
お金の不安をなくして新たな人生を前向きに歩むためには、離婚に関するお金についてよく知り、しっかり今後の生活の計画を立てておくことが大切だと思います。
前編では、離婚の手続きそのものにかかるお金と、離婚時に払われるお金についてお伝えしました。後編では、離婚前と離婚後に分け、生活費などに使えるお金について詳しくお伝えしたいと思います。
離婚準備中に別居するなら婚姻費用の分担
夫婦が不和になったとき、必ずしもすぐに離婚の結論が出るとは限りません。離婚することが決まったとしても、お子さんのことや財産分与など、すぐに話がまとまらずに別居して話し合いを重ねる場合も多いと思います。
離婚前に別居する場合、引っ越し費用、住居費、生活費、お子さんも一緒であればお子さんに関する費用も必要になりますし、相手が出ていった場合も引っ越し費用以外は同様です。
しかし、離婚が成立しなければ受けにくい公的制度も多く、ご自身にまったく収入がないなら生活保護を受ける選択肢もありますが、収入が少しはある場合は難しいこともあります。では、こういった別居中の生活費などについてはどうすればいいのでしょうか。
・婚姻費用の分担とは
「婚姻費用」についてご存じでしょうか。夫婦が別居すると、夫婦の収入や子どもの養育状況などによって、収入の少ない側や別居時に子どもを養育している側は、配偶者に婚姻費用の分担を請求することができます。夫婦は同じ生活レベルで暮らせるようお互いに助け合う生活保持義務があるからです。
相手が婚姻費用を払ってくれない場合は、家庭裁判所で「婚姻費用の分担請求調停」を申し立て、調停委員を交えて話し合って決めることになり、『養育費・婚姻費用算定表』の金額が目安となります。
毎月の支払い義務が決まると、もし相手がこれを支払わないときには強制執行手続きによって給与などを差し押さえることができます。
すんなり話し合いで決まる場合は、夫婦で合意できる金額であればいくらでもかまいませんが、可能であれば合意内容は何かあったときのために公正証書にしておくといいでしょう。
・婚姻費用分担の注意点
支払われる婚姻費用の分担は、収入、お子さんの数や年齢などによりますが、月に3万円~10万円くらいのことが多く、それだけでは生活できないことがあります。そのため、足りない分は自分で働くか預金を切り崩すことが必要になります。
また、あくまでも婚姻中の別居期間の費用ですので、別居後にすぐ離婚が決まったとき、もしくは別居が解消されて同居が再開されたときは請求できません(同居していてもまったく生活費を入れないといった事情のある場合は認められる場合もあります)。
さらに、離婚が成立した後、何年も経過してから婚姻費用分担を求めたり、さかのぼって過去に別居した際の婚姻費用を求めたりといったことは認められないことが多いため、別居した段階で先ほどの婚姻費用の申し出、調停など、早めに行動に移すことが大切です。
離婚前でも使える公的制度
そのほかにも離婚の成立前でも使えるかもしれない制度を知っておきましょう。
・「児童扶養手当」
ひとり親家庭の児童への経済的支援をおこなう国の制度です。通常の別居では支給の対象になりませんが、父または母がDV防止法の保護命令を受けた児童も平成24年8月から支給対象に加わっており、該当する場合は離婚前でも制度が使えることがあります。
ただし受給者の所得制限のほかにも同居の扶養義務者についても所得制限が設けられ、養育費を受け取っている場合はその8割が受給者の所得として算入されます。また受給者や児童が公的年金を受給する場合は、手当額から年金額を差し引いて支給する併給制限などがあります。
・「児童育成手当」
「児童育成手当」は自治体ごとの制度で、「児童扶養手当」と違って受給者のみに所得制限がかかり、その限度額はより高く設定されています。
同居の扶養義務者の所得制限や養育費は所得に含まれない、年金受給による手当額の併給制限がないといった、さまざまな特徴がありますので、お住まいの自治体に問い合わせてみましょう。
・「児童手当」
児童の監護者に支給される「児童手当」は、子どもを連れて別居した場合には離婚調停中であることの証拠があれば手当の給付が受けられます。
具体的には、協議離婚申込書を相手に送っている場合にはその写しと、別居していることがわかる住民票等が必要です。所得制限は受給権者である親、つまり子どもと同居している親の所得によって判断されます。
離婚後に利用できる公的資金
次に、離婚が成立した後で経済的に困ったときに使える公的な制度を知っておきましょう。
・「ひとり親家庭等医療費助成制度」
ひとり親家庭の保護者と児童が病院で診療を受けたときに、国民健康保険や健康保険などの自己負担分から一部負担金を差し引いた額が助成される制度です。健康保険に加入していることや市区町村が定める所得制限等の要件を満たす必要があります。
・「母子生活支援施設」
離婚した母子を入所させて保護するとともに、自立の促進のために生活を支援することなどを目的とする施設です。職員による相談受付や保育サービスなども行っていて、夫からDV被害を受けている方が入所することも多いようです。
・「公営住宅への優先入居」
公営住宅の入居者は公正な方法で選考されていますが、父子家庭・母子家庭の場合、住宅の困窮度が著しく高いものとされ、他の入居申込者よりも優先されることがあります。
・寡婦(夫)控除 や扶養控除
離婚して世帯主となり、再婚せずに、総所得金額等が38万円以下の子どもが扶養家族であるか、ご自身の合計所得金額が500万円以下の場合に受けられる「寡婦(夫)控除」、また16歳以上の子どもやご両親など扶養家族がいる場合に受けられる「扶養控除」があります。勤め先の経理課や税務署へ問い合わせましょう。
ほかにも、離婚前のところで述べた「児童手当」、「児童扶養手当」、「児童育成手当」が利用できるのはもちろん、「就学援助」が受けられるほか、JRの料金割引や水道料金等の減免制度といった補助があります。
離婚後はもちろん、離婚前の段階からしっかりのお金の準備をしておくことは大切だと思います。ご自身が使える制度を事前に確認し、できるだけ詳細にお金の計画を立てておくことが、離婚という人生の大きな局面でも気持ちに余裕を持ち、冷静に乗り切るうえでも重要なことではないでしょうか。
出典
裁判所「養育費・婚姻費用算定表」
執筆者:藤丸史果
ファイナンシャルプランナー