公開日:2019.07.22 暮らし

銀座、那覇、大阪など1部で20%も上昇している土地価格 同じ土地に4つの価格「一物四価」とは

7月1日に、今年の路線価が国税庁から発表されました(※)。
 
それによると路線価は全国平均で4年連続上昇しました。銀座の一等地は最高値を更新、那覇や大阪など都道府県庁所在地の一部では昨年より20%以上も上昇しています。一方で、27年連続下落している県も複数あり、二極化が広がっているという結果となりました。
 
ところで、ニュースを見ていると、1年に何回も「土地価格」の発表があるように思えます。今回の路線価の発表を見聞きして、既視感を持った人もいるのではないでしょうか。
 
日本の土地価格には、4種類もの公的な価格があります。そのため土地は「一物四価」といわれています。これらが年間を通して次々と発表されるため頭の中で混乱してしまいます。今回は4つの公的価格について整理し、それぞれの見方、使い方について解説します。
 
橋本秋人

執筆者:

執筆者:橋本秋人(はしもと あきと)

FP、不動産コンサルタント

早稲田大学商学部卒業後、大手住宅メーカーに入社。30年以上顧客の相続対策や不動産活用を担当。
 
現在はFP、不動産コンサルタントとして相談、実行支援、講師、執筆等を行っている。平成30年度日本FP協会広報センタースタッフ、メダリストクラブFP技能士受験講座講師、NPO法人ら・し・さ理事、埼玉県定期借地借家権推進機構理事

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橋本秋人

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執筆者:橋本秋人(はしもと あきと)

FP、不動産コンサルタント

早稲田大学商学部卒業後、大手住宅メーカーに入社。30年以上顧客の相続対策や不動産活用を担当。
 
現在はFP、不動産コンサルタントとして相談、実行支援、講師、執筆等を行っている。平成30年度日本FP協会広報センタースタッフ、メダリストクラブFP技能士受験講座講師、NPO法人ら・し・さ理事、埼玉県定期借地借家権推進機構理事

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4種類の公的価格とは?

土地の公的価格は、価格を決定する目的や決定機関により異なります。まず4種類の公的価格を確認しましょう。
 
・公示価格
土地の取引価格の指標とするために、国土交通省が全国約2万6000ヶ所の調査地点について、毎年1月1日時点の価格を決定し、3月に公表しています。同じ地点を毎年調査するため、いわば土地価格の定点観測といえます。
 
・基準地標準価格(基準地価)
公示価格と同じく、土地の取引価格の指標となります。都道府県が全国約2万2000ヶ所について調査しています。基準日は、毎年7月1日で、9月下旬に発表しています。
 
・相続税路線価(路線価)
路線価は道路(路線)に面している宅地の評価額のことで、相続税や贈与税の計算の基準となります。国税庁が毎年1月1日時点の価格を決定し、7月1日に発表しています。
 
路線価により土地価格を計算する方法を路線価方式といいますが、この方式はいわゆる市街地で用いられており、市街化調整区域などでは倍率方式という別の方法を用います。
 
なお、路線価方式で宅地の評価をする際には、2本以上の道路に面している場合のプラス要因や、奥行長大・間口狭小・不整形地・がけ地などのマイナス要因を加味して、宅地ごとに個別に調整を行います。
 
・固定資産税評価額
固定資産税や都市計画税、不動産取得税の基準となる価格で市区町村が決定しています。基準日は1月1日ですが、固定資産税の評価額は毎年ではなく、3年ごとに決定します。
 

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それぞれの公的価格の関係性

4つの公的価格には、それぞれ関連性があります。関連性が分かると、ある公的価格から他の公的価格を導き出すことが可能になります。まず、公示価格と基準地価は、どちらも一般の土地取引の指標となる価格です。
 
公示価格は毎年1月1日、基準地価は毎年7月1日時点の価格です。ということは、半年ごとにどちらかの価格が公表されるため、不動産相場の流れがある程度連続的に把握できることになります。そのため、基準地価は公示価格を補完するといわれています。
 
次に、路線価は公示価格のおおむね80%の水準とされています。そのため路線価を0.8で割ると公示価格の目安が計算できます。
 
【例】
路線価が1平方メートル当たり20万円の場合、公示価格の目安は、20万円÷0.8=25万円
 
1平方メートル当たり25万円となります。同様に、固定資産税評価額は公示価格のおおむね70%の水準とされているので、固定資産税評価額を0.7で割ると公示価格の目安が分かります。
 
つまり、公示価格の調査地点ではない土地でも、路線価や固定資産税評価額を使って計算すると公示価格の目安が分かり、ある程度は価格相場の感覚がつかめることになります。
 

もう一つの価格

実際に土地の取引をする際に、売買価格は公示価格と同じ水準で決まるのでしょうか。そうとは限りません。実務上、土地取引においては、公示価格・基準地価も参考にはしますが、近隣の取引事例を元に、土地の個別の条件を考慮して価格が決まります。
 
個別の条件とは、広さ、地形、道路付け、日当たり、周辺環境などをいいます。また、売り手が売り急いでいるのか、買い手がどうしてもその土地を手に入れたいのか、といった売り主・買い主の事情や関係性によっても価格が大きく変わることがあります。
 
このようにして決まった取引価格のことを実勢価格(時価)といい、これを合わせて「一物五価」ということもあります。
 

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公的価格で分かること

4つの公的価格には、それぞれ明確な目的と役割があります。
 
公示価格には、調査地点の個別の評価額を確認する以外にも、不動産市場全体の動きをつかんだり、他の地域との比較ができたりするという要素があります。それらの分析をすることにより、国や地方公共団体の土地政策に役立てられるということも重要な役割の一つです。
 
また、路線価では、土地所有者が不動産の相続税評価額を確認することにより、不動産の所有者が相続対策の必要性や具体的な対策方法について検討することができます。
 
9月には、基準地価が発表されます。その際には公示価格、路線価からの流れもチェックしながら、不動産の価値について考えてみてはいかがでしょうか。
 
出典
※国税庁 「路線価図・評価倍率表」令和元年分財産評価基準
 
執筆者:橋本秋人
FP、不動産コンサルタント
 

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