あなたの身近な「国の補助金」を知って、活用する方法

配信日: 2019.08.25 更新日: 2021.06.22

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あなたの身近な「国の補助金」を知って、活用する方法
あなたは「国の補助金」と聞いて、どんなイメージをお持ちになりますか? 
 
おそらく、申請書をまとめるのが大変、審査が厳しい、資金使途が限られている、そもそも誰に相談したらよいかわからないといった、後ろ向きなものが多いのではないでしょうか?
 
今回は、創業間もないスタートアップや、小規模事業者などにとって比較的身近な「小規模事業者持続化補助金」をご紹介します。
 
村田良一

執筆者:村田良一(むらた りょういち)

CFP(ファイナンシャル・プランナー)1級ファイナンシャル・プランニング技能士、不動産鑑定士、中小企業診断士

(同)村田鑑定評価・経営研究所 代表社員

慶應義塾大学経済学部卒業後、大手総合商社へ入社し、管理部門(経営企画)の他、3つの営業部門(不動産、金融、ICT)で関係会社へ出向し、事業責任者として住宅事業、FP事業などの立上げを経験。2011年に英国赴任から帰国し、海外エンジニアリング企業や国内最大手ITベンダーと合弁を設立し、国内外でのスマートシティ事業企画なども担当。個人の「ライフ・シフト」を通じて「健幸長寿社会実現に貢献」すべく、2017年に独立し、合同会社を設立。また、国立大学発ベンチャーや士業ネットワーク会社の役員も兼務する。
https://www.mica.solutions/

まずはトライしてみたい「小規模事業者持続化補助金」とは? 

この補助金の目的は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者の販路開拓や生産性向上の取り組みを支援するために要する経費の一部を補助する、とされており、概要は以下の通りです。
 
1、対象は、商工会議所の管轄地域内で事業を行う小規模事業者であること(常時使用する従業員の数が、卸売業・小売業で5人以下、サービス業のうち宿泊業・娯楽業が20人以下、製造業その他で20人以下)、
2、持続的な経営に向けた経営計画を策定していること、
3、補助率は対象事業の3分の2までで上限金額は50万円(※)、
4、補助対象は、機械装置等費、広報費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、専門家謝金など。
※ただし、補助金交付要綱で定める条件を満たす場合は上限を100万円とする
 
メリットは以下大きく3つといえます。
 
1、自社のホームページ制作費や展示会出展費などの3分の2、最大50万円までの補助が受けられる
2、経営計画策定にあたって、専門家のアドバイス・指導が受けられる
3、採択された場合、自社の計画に一定の信用が得られる
 
本年度の公募期間は平成31年4月25日(木)から令和元年6月12日(水)までであり、採択結果は令和元年7月31日の中小企業庁ホームページで公表されています。総括すると全国から1万5202件の申請があり、そのうち1万3099件(86%)が採択されましたので、極めて採択率の高い補助金事業といえます。
 
しかし、わが国小規模事業者数が全企業数358.9万企業のうち、84.9%を占める304.8万企業(2016年時点)であることを踏まえると、もっと活用されるべきかもしれません。なお、本事業は本年度で5年目を迎えますが、当面は継続されるものと見込まれます。 ※3小規模事業者数
 

申請事例 

ご参考まで、筆者が本年度経営計画策定などを支援した事例をご紹介します。
 
■対象企業は7年前に友人2人で建築関連事業を立ち上げた小規模事業者、
■都内を中心に新築戸建ての設計・施工を行い、当初は知人紹介による安定した受注があった、
■3年前から紹介案件が逓減(ていげん)し始めたため、筆者に経営コンサル依頼があったもの、
■同社の経営環境を分析し、以下の対策案をまとめました、
 
(1)新築需要ではなく、リフォームに軸足を移す、
(2)同社特色である北米スタイルのデザイン、仕様部材を前面にアピールする、
(3)HPを開設し、中古マンション・戸建てを扱う宅建業者との連携を深める、
 
この内容を基に申請書をまとめ、窓口の商工会議所に相談したところ、経営指導員による丁寧なアドバイスを受けることができ、首尾よく採択に至りました。
 
依頼者は業界のベテランで知人も多いという自負もありましたが、人口縮減、若年層の収入源、新築へのこだわりが薄れつつあるといった社会環境などのマクロ環境や、消費者ニーズ変化に対応できていなかったようです。今後は、HPなどを通じて持ち前のノウハウ、経験を積極的にアピールし、早期に事業回復・発展されることを期待するばかりです。
 

「ライフシフト」のきっかけとして 

2017年の中小企業白書によると、男女共に起業家の年齢は上昇しています。例えば、男性の起業家年齢は、1979年には39歳以下が57.0%を占めていましたが、2012年には27%近くも減少して30.7%になりました。
 
これと比べて、50歳以上のシニアは1979年では約24%ですが、2012年には約28%も上昇して約52%となっています。
 
これからは副業・兼業含め多様な働き方(ライフシフト)が進む時代です。若手に限らず、シニア世代も広く情報を集め、経営計画策定のお手伝いをする認定経営革新等支援機関などの活用を図り、新たな世界にチャレンジされてはいかがでしょうか?
 
出典:中小企業庁HP
出典:中小企業白書2017「第2部 中小企業のライフサイクル」
 
執筆者:村田良一
CFP(ファイナンシャル・プランナー)1級ファイナンシャル・プランニング技能士

 

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